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夏の乗り換え駅

 遠い夏の日、幹線を往くローカル列車に揺られていたときの思い出がある。



 車内放送で「アルプスの牧場」のチャイムが鳴った。節目となるような駅に到着する合図である。その後に車掌の案内が始まる。

 「お待たせしました、間もなく○○に到着します。お出口は右側です」

 その駅では枝線が分岐しているから、乗り換え案内も入る。

 「□□方面の△△線に乗り換えの方は、橋を渡りまして○番線へお回り下さい」

 この「橋を渡りまして」という表現が好きだった。橋とは跨線橋のことだが、跨線橋と言わず単に「橋」というところに趣があるように感じられた。



 でも最近は、そうやって「橋」と呼べるような跨線橋も減ってきた。
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 この跨線橋を目にしたとき、そう思った。


内房線五井駅にて
2015.8.7
by railwaylife | 2015-10-31 23:10 | | Comments(2)

ポツンと無蓋車

 真夏の車庫の片隅に、無蓋車が一両ポツンと留置されていた。
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 だいぶ傷んだ車体が、強い日差しに晒されていた。

 この車両は、何か役割をもってここに置かれているのだろうか。

 いずれにしても、酷暑の中に無造作に置かれた無蓋車は、何とも哀れであった。
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小湊鐵道五井駅にて
2015.8.7
by railwaylife | 2015-10-31 23:00 | 私鉄 | Comments(0)

暑き日の車庫

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 古めかしい気動車が何両も並ぶ車庫の風景は壮観であった。

 しかも、ほとんどの車両が現役で動いているのだから、これはまさに生きている車庫の風景である。

 ただ、このときは何しろ暑く、ただただ暑いという感想が真っ先に出てきた。

 そんな風景でも、やがては懐かしくなるだろうし、いずれはその暑かった思い出が心地よく感じられるかもしれない。


猛暑日の旅」にて
小湊鐵道五井駅にて
2015.8.7
by railwaylife | 2015-10-30 23:00 | 私鉄 | Comments(0)

ポツンとDE10

 何本もの線路が輻輳するヤードの隅っこに、朱色のDE10形がぽつんと置かれている。
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 こういうさまが、幼い頃から見慣れたヤードの風景の象徴みたいなものである。

 だが、そのDE10形も徐々に後継のHD300形に置き換えられていくようである。

 日本の機関車の歴史に残るような、華々しい活躍をした存在ではない。

 でも、全国各地で縁の下の力持ちとして日々の運行を陰ながら支えたこの機関車を、できればどこかで末永く保存してもらいたいものだと思う。


猛暑日の旅」にて
DE10形機関車 総武快速線車内より 2015.8.7
by railwaylife | 2015-10-30 22:30 | JR東日本 | Comments(0)

猛暑日の旅

 最近の私の旅のスタイルはだいたい決まっている。

 行きたいと思ったところへ列車で出かける。そして、目的の駅周辺をぶらぶらと歩く。また、沿線の風景や、史跡や、花を眺めては楽しむ。その行程はわりと気ままで、出かけた先で思い付いたままに立ち寄ってみる場所もある。

 今年の夏もそんなスタイルで旅をしたかったのだが、あいにく私が休みを取ったのが八月のはじめで、連日猛暑日の続く最も暑い時期であった。

 そんなときに出かけてぶらぶらと歩き回るのは危険だ。熱中症にかかり、見知らぬ土地で行き倒れになるかもしれない。そう考えると、普段のような旅は断念せざるを得なかった。

 それにしてもなんでそんな時期に休みを取ったのかと自分を恨みつつも、そういう時期に合った旅をすればいいんだと考え直した。

 そこで思い付いたのが、列車に乗ることを主目的として楽しむ旅である。冷房のよく効いた車内にいれば、熱中症になることもない。

 それで、列車を楽しむ旅に出かけた。




 まずは品川駅から横須賀線-総武快速線直通の列車に乗り込んだ。

 地下区間を脱けると、列車は東へ東へと進む。そして荒川・中川・江戸川と、大河を横切っていく。河川敷に出るたび、熱気で濁った青空と、その空を映す気だるい川面が広がる。夏の車窓だなあ、と思った。

 江戸川を渡れば東京都を脱し千葉県である。いつ以来の千葉県進入だろうと考えてみる。

 千葉県に入っても、車窓風景は建て込んでいる。そんな眺めからも、日常をなかなか脱せない気がした。でも、ぼんやり車窓を眺める時間を過ごせるだけで満ち足りてきた。外も暑そうだし、こんな日は冷房の効いた列車に揺られているのがいいと思った。

 とは言え、車窓の眺めはわりと単調である。それで少しウトウトしながら千葉駅到着を迎えた。乗っていたのは内房線直通列車なのでそのまま乗り続ける。ただ、大きなターミナル駅だから列車は一呼吸置いてから発車する。それで目がすっかり覚めた。

 地上に出てからずっと高架区間が続いていたが、蘇我駅付近から線路はようやく地上に下りる。車窓に緑が増えてきた。強い日に照らされた緑を眺めていると何だかホッとしてきた。

 蘇我駅から三つ目の五井駅で下車する。小湊鐵道の乗り換え駅である。
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 となりのホームから発着する小湊鐵道は、昭和にあった風景がそのまま残っているような路線である。まさに「跨線橋を渡るだけで時代が変わる」気がした。

 熱風がやわっと吹く中、そんなキャッチコピーを思い付き独りで悦に入っていたが、小湊鐵道には乗らない。後続の内房線の列車に乗り込む。209系の4両編成であった。

 沿線には田圃が広がった。すでに稲穂がほんのりと黄色くなっていた。最近は田圃の様子の移ろいで季節を感じることが少なくなった。

 五つ目の木更津駅で下車した。

 降り立ったホームの反対側には新しいディーゼルカーが1両でポツンと停まっている。キハE130という形式である。
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 これが、今回の旅の目的である久留里線の列車である。

 発車時刻が迫っており、車内のロングシートの座席ははすでに埋まっていた。それで、フリースペースに立って発車を待った。

 乗ってしまうと新型電車と変わらない気がした。ディーゼルカーにしては走り出しもスムーズである。ただ、つっかえた感じのない横揺れが単行らしい気がした。久々に乗る単行列車である。

 叢の中に蓮の花を見つけて驚いたりしているうち、列車は田園地帯に出た。色付き始めた稲穂が、くすんだ夏空の下で鮮やかに見えた。それにしても房総の実りは早いなと思った。
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 国鉄式駅名標のある馬来田駅で中学生が大挙して下車して行き、車内はガランとなった。それで、ロングシートにゆったり腰掛け、車窓を楽しむことにした。

 ここから列車は南へ下った。夏の午後の気だるさを吹き飛ばすように、新型気動車は速度を上げる。気が付くと左窓の山並かだいぶ迫っていて、小櫃駅を過ぎてからは初めて上り勾配の重みを腰に感じた。だいぶ奧まってきた気がした。

 さらに上って久留里駅に到着する。途中駅だが、この列車はここが終着である。終着まで乗っていたのは7人であった。

 次の列車まで時間があるので一旦駅を出た。駅前は思った以上に静かで、ただただ暑いだけであった。

 気候が良ければ久留里城にでも行ってみたいところだったが、何せ暑い。それで近くの久留里商店街へ行くだけにした。
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 少し歩くと幟の立ったそば屋が目に付いた。そこで昼食をとることにした。名水手打ちのそばである。

 手打ちならではの食感と、名水のすっとしたのどごしが感じられた。久留里にはこのそばを食べに来たんだな、と思った。

 食べ終わって駅へ戻り、後続の上総亀山行き列車を迎えた。2両編成であった。時間帯からして、普段は折り返しの上り列車が下校する学生を大勢乗せることになるのだろう。もっともこの日は夏休み中だったから、2両編成は過分な気がした。

 久留里駅から先は山深くなる。新型ディーゼルカーは低く唸りながら勾配を上って行った。やがて谷も深くなった。線路は段丘の上に出たようであった。この辺りまで来ると、心なしかこれまでより稲の生育が遅いように感じられた。

 草木が線路脇に伸び、主張の強い枝葉が窓をたたく。空は高曇りになった。すっかり雲が増えて空が白っぽい。酷暑の風景が余計にぼうっとしてきた。

 車窓に空と緑しかなくなり、上りながらトンネルをくぐると少し開けて終着上総亀山駅にたどり着いた。
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 中途半端な行き止まり駅に思えたが、線路の切れた先には山が立ちはだかっていた。戻るしかないように思われた。

 わずかな停車時間で折り返していく上り列車に乗る。

 この久留里線のような枝線に乗り往復する場合、帰路をどう過ごすかは大問題である。行きに見た車窓風景をまたすぐに 巻き戻しで見なければならないからである。

 今度は勾配を下って行くことになるが、列車は慎重に走って行く。ただ、行きに見て展開はわかっているからどうしても緊張感がない。しかも川沿いを下って風景が開けていくのだから気持ちは自然と弛緩してくる。

 それで空の様子を眺めて楽しむことにした。天気は回復し、青空にモクモクとした白い雲が出ている。夏に乗った証だなあと思う。

 そんなことを考えているうち、眠くなってきた。これはしめたものだと思った。ローカル列車に揺られて居眠りするのもまた贅沢である。

 しばらく眠り、目が覚めると横田駅であった。対向列車との交換待ちで7分停車した。のんびりした時間であった。

 横田駅を発ち、寝起きでぼんやりするうち木更津駅へ戻った。なかなか面白い久留里線の旅であった。

 木更津駅からは総武快速線・横須賀線直通の列車に乗り、都心へと戻った。

 ローカル線に乗ってから再び幹線に乗ると、その力強い走りを改めて実感することになる。でもその感覚が、旅の終わりの合図でもあった。

 こうして、久々に列車の旅をじっくりと楽しむことができた。

 帰宅してから気象庁のホームページで気象データを調べてみると、この日の木更津の最高気温は37.6℃であった。


写真はすべて
2015.8.7




 さて、次の記事からはこの旅で印象に残った風景をいくつか載せていきたい。

by railwaylife | 2015-10-29 23:40 | | Comments(0)

真夏の8000形

 思い入れのある車両、気に入っている車両、普段よく目にする車両を、いろいろな風景の中で見送りたいと思っている。

 この「いろいろな風景」というのは、必ずしも「いい風景」である必要はないと思っている。冴えない風景であってもいい。どんな風景であっても、積み重ねていけばその一つ一つがやがて大事な思い出になっていくと思う。

 とは言え、そういう車両を「いい風景」の中で見送ることができたときは、やはり格別に嬉しいものである。
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 この小田急8000形の風景を目にしたときも、何とも言えない嬉しさが込み上げてきた。


小田急
8000形電車 小田急小田原線和泉多摩川駅~登戸駅にて 2015.8.6
by railwaylife | 2015-10-27 23:00 | 小田急 | Comments(0)

VSE2015夏

 夏休みと言えば箱根にとってもオンシーズンのひとつであると思うが、2015年の夏、箱根は観光客で賑わっていただろうか。春先からの噴火の影響がまだ続いていた頃である。

 その箱根へ向かう小田急ロマンスカーVSEも、この夏は十分に活躍できただろうか。たくさんのお客を箱根へ運ぶことができただろうか。
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 そのことがちょっと心配になった。


小田急
50000形電車 小田急小田原線和泉多摩川駅~登戸駅にて 2015.8.6
by railwaylife | 2015-10-26 23:40 | 小田急 | Comments(0)

夏雲小田急

 猛暑日の夕刻、所用のついでに登戸の多摩川河川敷に立ち寄った。

 雲が多かったものの青空も日差しもあって、空の広く見える川原でどんな風景を眺められるだろうかと期待しながら足を運んだが、そこで夢中になったのは夏雲であった。
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 モクモクした雲を背にしてやって来る小田急線の電車を何本も何本も見送り、夏らしい風景を楽しんだ。


小田急
3000形電車 小田急小田原線和泉多摩川駅~登戸駅にて 2015.8.6
by railwaylife | 2015-10-25 14:00 | 小田急 | Comments(0)

ヒマワリを求めて

 8月の初めのこと、井の頭線の電車に乗っていると車窓にヒマワリの花がちらっと見えた。

 その花をじっくりと見てみたい、そしてその花越しに電車が往くさまを見てみたい、と思った。

 それで数日後、車窓に花が見えた場所へ出かけてみた。


 いろいろあって、花のもとへ着いたのは暑い盛りの時間であった。

 夏の日がジリジリと差してくる中、花に近付いてみると、咲いているものはすべて日差しに向かって背を向けていた。つまり、花に向かってカメラを構えると逆光になった。おかげで花の表情を窺い知ることもできなかった。

 ヒマワリは太陽に向かって咲く、なんていう話を聞いたことがあったが、それは嘘だな、とこのとき思った。そんなわけで、花越しに電車が往く風景など巧いこと捉えられるわけもなかった。

 だが、そこでがっかりする必要は何もなかった。目の前には、夏らしくベタッとした井の頭線の風景があったからだ。

 それを、楽しめば良いだけであった。
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京王
1000系電車 京王井の頭線駒場東大前駅~池ノ上駅にて 2015.8.6
by railwaylife | 2015-10-23 23:10 | 京王井の頭線 | Comments(0)

2015年夏の思い出

 今年の五月だったか六月だったか、まだ本格的な夏がほど遠い頃、テレビで誰かが「今年はエルニーニョ現象が起きていますから冷夏になりますね」と言っているのを耳にした。

 それを聞いて油断していたわけではないのだが、今年の夏の暑さは予想以上に厳しく、体に堪えるものがあった。結局、東京では猛暑日の連続日数が過去最高を記録するという暑さであった。

 ただ、八月の後半になると急に涼しくなり、拍子抜けしてしまった感もある。何だか中途半端な終わり方の夏であった。

 そんな2015年夏の思い出のいくつかを、これからぼちぼち載せていきたいと思う。
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by railwaylife | 2015-10-22 23:30 | その他 | Comments(0)