<   2012年 05月 ( 54 )   > この月の画像一覧

都区内パスの旅2011 インデックス

f0113552_23554718.jpg

都区内パスの旅2011   2011.7.22

当日の記録
都区内パスの旅2011


掲載の趣旨
一大事


旅日記
01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-31 23:56 | | Comments(0)

都区内パスの旅2011 まとめ

f0113552_227880.jpg

 東十条界隈で「カンナ、アンナカ」や「カンナ、カシオペア」を見送ると、時刻は16時30分になっていた。その後の予定は特に決めていなかったが、もう一箇所くらいどこかで「いい風景」を眺めたいなという気持ちはあった。

 それで何となく東十条駅から京浜東北線の南行電車に乗り込んだ。この辺りから都心へ向かって行くのは、この日三回目のことであった。

 どこか「いい風景」を探そうと、先頭車の運転台後ろに突っ立ち、前面展望に目を凝らした。やがて田端駅を過ぎ、山手線と併走するようになった。そして、私の乗った京浜東北線の電車は、山手線の外回り電車をずっと追う形となった。その外回り電車が往く姿を追いながら、これも最近私が求めている「山手線の風景」の一つだなと思ったりしていた。

 そうしているうちに上野駅も東京駅も過ぎ、電車は品川駅に着いてしまった。そのままさらに京浜東北線に乗り続けても良かったが、特に行きたいところも思い当らなかったので下車した。そして、山手線に乗り換え渋谷駅へ向かい、帰途に就いた。この日是非とも見たいと思っていた下りの「カシオペア」を見ることができたという達成感があった所為か、このときもうすっかり気が抜けた感じであった。それで何となく旅は終わってしまったが、回りたいところを十分に回れたような気はしていた。

 とは言え、ずいぶんと無駄の多い行程ではあった。同じところを何度も行ったり来たりしてしまった。

 でも、そんなふうに無駄な動きができるのも、都区内パスというフリーきっぷを手にしていればこそのことであった。それによって、思いのままの「旅」をすることができた。

 さて、私はまだまだ都区内に見てみたい風景が山ほどある。そんな風景を思いのまま眺めるために、きっと私はまた「都区内パスの旅」に出ると思う。


~都区内パスの旅2011 完~






都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-31 22:59 | | Comments(0)

211系の音

f0113552_2202449.jpg

 王子や東十条界隈を訪れた「都区内パスの旅2011」では、東北本線の線路沿いをずいぶんとウロウロした。

 その間、線路の見えるところで多くの列車を見送ったが、線路の見えないところにいる時間も長かった。飛鳥山公園の木立の中を歩いているときや、東十条と王子の間で線路から一区画を隔てた道を歩いているときなどである。

 そんなときに、東北本線・東北貨物線・京浜東北線を走る電車の音だけが聴こえてきた。音はすれども姿は見えずというわけだが、東北本線の211系だけは、姿が見えなくても「あ、211系だな」とすぐにわかったものである。通勤電車では唯一「国鉄世代」の211系だけ、その走行音が明らかに違うからである。

 私はいわゆる「音鉄」ではないのであまり巧くは言えないが、電車の走行音からは、高音域と低音域の二種類が発せられていると思う。

 このうち、いわゆるEシリーズの東北本線・高崎線・湘南新宿ラインのE231系や、京浜東北線のE233系などは、高音域の方が強いように聴こえる。かたや「国鉄世代」の211系だけは、低音域の方が強いように聴こえる。重低音が利いていると言ったら良いのだろうか。

 そんな走行音は「国鉄世代」車両の特徴であるとも言える。そして、かつてここを走っていた103系や115系の走りを彷彿とさせるものがある。

 だから、211系の音だけを聴いたときに私は「よもや115系では」とか「103系では」とハッとなったりしたものである。

 もちろんそんなことがあるはずもないのだが、そんなとき私は思わず線路際に出て、走り行く車両の形式を確認したくなったほどである。

 そういうふうに想わせる211系の音は、いまや貴重なものだと思う。

 やがてこの王子・東十条界隈を往く通勤電車の走行音も、Eシリーズの甲高い音に統一されていくのだろう。

 そうなるまで、この211系の音を聴きながら、103系や115系などの轟音を思い出して楽しみたいと思う。


高崎線
211系電車 東北本線尾久駅~赤羽駅にて 2011.7.22





都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-31 22:58 | JR東日本 | Comments(0)

オレンジとスカイブルー

 東十条で「カンナ、アンナカ」や「カンナ、カシオペア」を捉えるとき、両列車を待つため、線路際のカンナが咲くところにしばらく佇んでいた。

 その間、京浜東北線のE233系電車が頻繁に目の前を行き交った。

 それで、暇潰しにそのE233系をカンナ越しに撮りながら眺めていた。
f0113552_22541049.jpg

f0113552_22543269.jpg

f0113552_22545259.jpg

 いや、これは暇潰しなどではなかった。

 私は、カンナ越しのE233系という風景を十分に楽しんでいたと言える。

 と言うのも、スカイブルーの帯を巻いたE233系を背景にすると、このオレンジ色のカンナはずいぶん映えるなあと思ったからである。

 例えば、同じ花越しに中央快速線のE233系を見送っていたらどう思っただろうか。

 花と同じオレンジ色の帯を巻いた車両が通っても、カンナはあまり際立たなかったのではないかと思う。

 だからこの京浜東北線のE233系とオレンジ色のカンナは、絶妙の組み合わせだったと言える。

 こうやって、花と列車が織り成す色の組み合わせの妙を、たくさん楽しめばいいと思ったときであった。


京浜東北線
E233系電車 京浜東北線王子駅~東十条駅にて 2011.7.22





都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-30 22:48 | E233系 | Comments(0)

カンナ、カシオペア

 EF510形500番台が貨物列車の運用に就いているところを眺めたいという想いから、安中貨物を見送るため夕刻近くの東十条へ向かい「カンナ、アンナカ」の風景を眺めたが、その時間に私が東十条まで行ったのは、安中貨物以外にもう一つ見送りたい列車があったからだった。

 上野発札幌行きの下り寝台特急「カシオペア」である。



 始発の上野駅を16時20分に発車する下り「カシオペア」は、季節を問わず日暮れ前に旅立つ寝台特急として魅力的であるが、平日などは16時台に列車を見送るということはできるはずもなく、なかなかこの「カシオペア」が北へ旅立つさまを見ることはできないでいた。

 それでこの「都区内パスの旅2011」の日は、下り「カシオペア」を眺めるチャンスだとも思って、安中貨物と合わせて見送るつもりでいた。

 その「カシオペア」をどこで見送るか。



 東十条といえば、通称「ヒガジュウ」の名で知られる有名撮影地である。特に駅の南側は直線区間になっていて、線路際の道路から編成写真をバッチリ撮影することができる。

 しかし、そういう編成写真を捉えるつもりはなかった。もっとこの季節らしい風景の中で、旅立つ「カシオペア」を眺めたかった。

 そういう意味では、先に捉えた「カンナ、アンナカ」のカンナ越しに「カシオペア」も見送るのが一番良いような気がしていた。



 だが、何事につけても「二匹目のドジョウ」というのは、面白くないものだ。しかも、安中貨物も「カシオペア」も牽引機は同じEF510形500番台である。花と機関車が一緒だったら、同じような風景になってしまうだろう。

 そう考えた私は、別の場所を探すことにした。幸い、安中貨物が去ってから「カシオペア」が来るまでには小一時間ほどあった。

 それで、となりの王子駅の方へ歩いて行ってみたりしたが、なかなか望むような場所はなかった。



 結局、途中にあった名主の滝公園の木立の中で涼んだりした後、東十条駅近くのカンナのもとへ戻ってしまった。そこで「カシオペア」を迎えることにした。やはりそこが、私の見たい風景のある場所だったからである。

 京浜東北線、東北本線、東北貨物線の三線六本もの線路が並ぶこの場所は、当然「被る」というリスクはあったが、寝台特急「カシオペア」は「被り」もなくやって来た。

 そして、私の見たかった風景が現れた。
f0113552_2139122.jpg

 燃えるように咲くカンナ越しに、銀の車体が北を指して走り去った。

 午後になって青空も見え始めたものの、この「カシオペア」の通過時刻はまた雲が増え、すっきりしない空模様であった。

 それでもどこかヌルッとしてジメッとした空気と、咲き誇るカンナの花に私は、十分に夏を感じていた。

 そして、その東京の夏を旅立つ「カシオペア」の姿に、はるか行く手の北海道の夏を想わずにはいられなかったものである。
f0113552_21394185.jpg

寝台特急「カシオペア」 東北本線尾久駅~赤羽駅にて 
2011.7.22





都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-30 22:47 | 寝台特急 | Comments(0)

カンナ、アンナカ

 EF510形500番台機関車がデビューしたのは2010年7月のことであったが、それから一年が経過しても、私はまだこの機関車が寝台特急を牽いている姿しか見たことがなかった。

 寝台特急を牽いている姿「しか」というのは、この機関車には別の列車を牽く姿があることになる。
 
 それは、貨物列車を牽く姿である。



 EF510形500番台機関車にとっては、東北本線の寝台特急「カシオペア」「北斗星」を牽く役割が花形であり、車体の塗装もその列車に合わせて施されているわけであるが、それはいわば「夜の顔」であり、もう一つの「昼の顔」として貨物列車を牽くという重要な役割もある。

 その役割には2010年の12月から就くようになったが、私はそういう「昼の顔」のEF510形500番台も見てみたいと思いながら、その機会もなかなかなく、半年余りが過ぎてしまっていた。

 それで「都区内パスの旅2011」で日中に自由な時間のあったとき、このEF510形500番台の「昼の顔」を見てやろうと思い立った。

 そのターゲットとしたのが「安中貨物」こと5781列車である。常磐線の泉駅から都内へ入り、隅田川貨物駅から東北貨物線、高崎線、信越本線を伝って安中駅まで行くこの列車は15時台に都内を通過するので、比較的捉えやすい列車だ。しかも牽引するのはトキやタキという貨車であり、貨物列車らしい貨物列車であるとも言える。

 そんな「安中貨物」の先頭に立つEF510形500番台をどこで捉えようかといろいろ考えたが、思い付くのはやはり有名撮影地として知られる「ヒガジュウ」こと東十条駅近辺であった。私も何度か訪れたことがあり、土地勘のある場所でもある。



 そこで、東京駅近くの「旅の図書館」へ立ち寄った後に、朝の「枯れあじさい列車」と昼の「北王子貨物」で訪れた王子に続き、三たび京浜東北線でこの界隈に向かい、15時30分頃に東十条駅に降り立った。

 そして、いわゆる有名撮影地とされる線路西側の道へと行ってみた。すると、すでにカメラをセッティングした人が何人も線路脇に立っていた。おそらく「安中貨物」狙いなのだろう。その人たちの邪魔にならぬよう、どこか貨物列車としての編成写真が巧く捉えられそうな場所がないものかと探してみたが、すぐにいい場所が見つかった。

 それは、線路際にカンナの花の咲くところである。せっかくこの夏の時期に「安中貨物」を撮るのだから、夏らしい風景を捉えるのがいいじゃないかと私は思い付いた。

 それでその場所で花越しに列車を待ち構えていると、程なくして「安中貨物」は重々しく現れた。青い501号機だ。その青が、花へ迫ってくるところを捉えた。
f0113552_21221314.jpg

 カンナ越しのEF510形500番台をどうにか捉えられたなと満足し、貨車を従えて過ぎ去って行く機関車を見送っていたが、考えてみれば花と機関車のことばかり頭にあって、貨物列車かどうかもわからない写真になってしまった。

 貨物列車を牽くEF510形500番台を捉えたいという当初の目的はすっかりどこかへ行ってしまっていたが、私としてはやはり、季節感のある風景の方が面白く感じられる。だから、ここでこの列車を見送って良かったと思っている。


EF510-501号機牽引5781列車 東北貨物線田端操駅~赤羽駅にて 2011.7.22





都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-30 22:46 | 貨物列車 | Comments(0)

旅の図書館

 王子駅で「北王子貨物」を見送った後、せっかく再び「枯れあじさい」のある飛鳥山公園近くまで来たのだからと思って、しばしまた「枯れあじさい」を眺めていくことにした。

 それで、公園の中をしばらくぶらぶらしてから、次の目的地に向かうべく、午前中に続いて再び都心方面へと向かった。

 次に行きたかったのは、東京駅の近くにある図書館である。その名を「旅の図書館」という。



 財団法人日本交通公社が運営するこの図書館は、その名の通り旅に関する書籍を収蔵している図書館である。ガイドブックを初めとした観光文化に関する資料が閲覧できるので、旅の計画を立てたり、予習をしたりするにはもってこいの場所である。

 だが、私がここを訪れたいと思っていたのは、そうやってこれからの旅のために資料を準備したかったからではなく、過去の旅の資料を求めていたからである。

 その資料とは、他ならぬ時刻表である。



 時刻表の出版社に関連する財団法人が運営しているだけあって、この図書館にはかなり昔からの時刻表がずらりと揃っていて、閲覧することができる。それは、なかなか貴重なことである。

 もちろん、古本屋などを巡れば古い時刻表も見つからないことはないが、なかなか「何年何月の時刻表」というのをピンポイントで見つけることは難しいものだ。私は自分が旅したそのときの時刻表を見て、自分の旅程を追いたかった。

 そういう意味では、過去38年分に関しては12ヵ月すべての号が揃っているこの図書館は安心である。

 それで前から一度訪れてみたいと思っていたが、あいにく平日の日中しか開いていない図書館なので、なかなか行けずにいた。

 そこで、平日に有給休暇を取れたこの日、ぜひともここへ行きたいと考えていて再び都心へ向かうこととなった。



 京浜東北線で東京駅に着くと八重洲口に出て、目指す旅の図書館へと向かった。実はだいぶ昔に一度行ったことがあって、何となく場所はわかっていたのだが、何しろ最近の東京駅周辺は変化が激しく、表に出てみると見慣れない風景が広がっていて、図書館の位置がよくわからなくなってしまった。

 それでも、外堀通りに出ればすぐにわかった。そしてビルの地下にある図書館へと入った。
f0113552_21162073.jpg

 観光資料などは開架の書棚にあって自由に閲覧できるようになっていたが、時刻表は閉架にあるようだった。それで係の人にお願いすると、どの号が見たいかと聞かれたので、私は差し出されたメモ紙にすばやく指定の号を四つほど記入した。すると係の人は、すばやくその四冊を出してくれた。

 古い時刻表には独特の香りがある。その香りと、見覚えのある表紙で、懐かしさに浸ることができた。

 そして、中を開けば、これまた懐かしい列車の名が出てくる。何と言ってもまず眺めるのは、東海道本線東京口の夕方のページである。そこに居並ぶ星印すなわちブルートレインの時刻を、じっくりと眺めた。

 いや、そんなことをしている場合ではなかった。過去の旅路を追わなければならない。そう思い直して、それぞれの号でそれぞれの旅を追った。すべて小学生の頃の旅である。

 昔から私はノートに旅程を丁寧に書いていたので、どこでどの列車に乗って、次にどの列車に乗ったかということは、はっきりとわかっていた。その旅程が、時刻表の活字を通して、また鮮やかに蘇ってきた。懐かしい、というより、切ない想いになってきた。そして、自分が乗った列車だけではなく、その前後にどんな列車が走っていたかということもわかり、自分の旅した時代が、立体的に浮かび上がってきた。

 そうやって旅程を追いながら、自分の乗った列車が掲載されたページに付箋を挟んでいった。そしてそのページをコピーしていくことにした。

 閲覧室の隅にあるコピー機は、1枚30円であった。付箋の挟まれているページを次々とコピーしていくと、けっこうな額になってしまった。

 実は、四冊出してもらった時刻表のうち、三冊は過去の旅の行程を調べるためであったが、もう一冊は別の目的で出してもらったものであった。

 その目的とは、新幹線開業前の上野駅の時刻表を確かめることであった。



 1982年(昭和57)に東北・上越新幹線が開業するまで、上野駅には在来線の優等列車があふれていた。当時幼かった私は、父によく上野駅へ連れて行ってもらい、ひっきりなしに発着するその優等列車を眺め、まだ見知らぬ北の地へ憧れを膨らませていたものであった。今の東北への想いの原点がそこにあると言えるが、その当時の上野駅の繁栄ぶりを時刻表で改めて確かめておきたかった。

 それで新幹線が開通する前年の1981年(昭和56)8月号も出してもらっていた。そして、上野発着の列車が載っている高崎線・上越線・信越本線のページと東北本線のページ、そして常磐線のページをすべてコピーするつもりであった。

 8月号を選んだのは、夏休みの繁忙期で臨時列車の本数が最高潮のときだからである。実際、上野発着の列車が載ったページは、実に華やかであった。その繁栄の証を、私は是非とも手元に置いておきたいと思った。

 しかし、他の三冊のコピーだけでけっこう代金がかさんでしまったし、だいぶ時間もかかった。この後にも行きたいところがあったので、上野駅関係のページのコピーは断念することとした。またの機会があったら、じっくりと眺めてみたいと思った。

 目的がすべて達成できなかった心残りもあったが、過去の旅における貴重な資料を取り揃えることができたという点では大いに満足であった。

 これから、今回入手した資料をもとに、私の大切な思い出の旅をきちんとした形でまとめ、残していきたいと思った。そしてもし余裕があったら、その旅の思い出をこのブログにも綴り、時刻表という確実な資料とともに記録しておきたいとも考えた。
f0113552_21144216.jpg

 さて、三冊分のコピーを終えた私は、受付の人に時刻表を返却し、すぐに図書館を出て東京駅へと急いだ。次なる「見たい風景」を見るためにである。






都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-29 23:23 | その他 | Comments(0)

北王子貨物への想い

 田端の「あじたば」を見た後、病院の予約があった私は山手線で一気に大崎へと向かった。

 そして、昼前に病院の診察を終えると、大崎駅から湘南新宿ラインの北行列車に乗り込み赤羽駅へ出て、京浜東北線でこの日の朝に「枯れあじさい」を見ていた王子へと舞い戻ってきた。

 都区内にぐるっと楕円を描くようにして元いた場所へ戻ったのは、また「枯れあじさい」を見ようと思ったからではない。ここで見送りたい列車があったからである。



 その見送りたい列車は、王子駅へ来る度に気になっていた。

 王子駅の南口を出て、飛鳥山公園へ渡る跨線橋に上ると、幾本もの線路を見ることができる。公園側から東北貨物線の上下線とその引込線、東北本線の上下線、京浜東北線の上下線、そして高架上の東北新幹線上下線である。

 いや、もう一本線路がある。京浜東北線の外側、新幹線の高架橋との間にある単線の線路である。北王子支線と呼ばれる貨物線だ。

 田端信号場から伸びて来ているこの線路は、王子駅の北側にある製紙会社の物流拠点までつながっている。そこまで、紙輸送のコンテナ車が行き来している。支線であるため、小さなディーゼル機関車がコンテナ車を引っ張っているそうで、なかなか特異な風景だなと思い以前からその貨物列車を一度見てみたいと思っていた。

 しかし、この支線を行き交う列車は3月の震災以来ずっと運転を休止していた。というのも、ここへ運び込む紙を生産している宮城県の岩沼・石巻の工場が震災の影響で操業を停止していたからである。

 それでも、7月に入ってようやく現地の工場と鉄道が操業を再開し、都内への紙輸送が復活したことにより、北王子支線にも列車が再び走ることになった。そこで私は、この日にここを走る列車を眺めたいと思い立った。

 もともとここの列車は平日しか走らないこともあって、この有給休暇の日に見ようと思ったわけであったが、当面は毎日朝昼の一往復が運転されるということであった。朝に北王子へ紙を輸送し、昼に空のコンテナ車を田端まで返却するというダイヤである。

 本当は朝の列車を見送りたかったが、その時刻にこの王子まで来るのは無理だったので、昼の返却列車を見ることにした。そして、せっかくだからいつもこの支線の存在が気になっていた王子駅南口の跨線橋で見送ることにした。

 ただ、その列車の姿をそこで捉えるとなると、一つ懸念があった。それは、手前を頻繁に行き交う京浜東北線の電車が北王子支線の列車に被ってしまうのではないかということである。

 それで、跨線橋に着くと、王子駅のホーム越しに貨物列車を捉えることがためらわれ、どうしようかとおどおどしてしまった。そのうちに、紅いDE10形ディーゼル機関車が早くもホームの向こうに姿を現していた。京浜東北線が被ることなくである。

 もともと王子駅に着いた時間が貨物列車通過時刻のぎりぎりだったため、迷っている余裕などなかった。それは病院の時間があったことだから仕方なかったが、とにかく撮影する機を逃してしまった。

 それで跨線橋上の踊り場に上がり、去り行くコンテナ車を後追いした。
f0113552_2181636.jpg

 これでは、ディーゼル機関車がコンテナ車を牽くというさまはちっともわからない。でも、北王子支線が確かに復活したということを確かめることはできた。

 そして、折しもすぐ横の高架上にE3系「こまち」が姿を現していた。新青森・秋田行きの「はやて」「こまち」167号である。都内に居ながらも、東北が復旧しつつあることを実感する瞬間であった。


東北貨物線北王子支線田端操駅~北王子駅にて 
2011.7.22





都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-29 23:21 | 貨物列車 | Comments(0)

あじさい列車2011第三十一章 あじたば

 王子の飛鳥山公園でまず「枯れあじさい列車」を眺めた「都区内パスの旅2011」の日は、飛鳥山公園以外にも「枯れあじさい列車」を見てみたい場所がもう一つあった。

 それは飛鳥山公園と同じく、先の「東北の旅2011夏」で山形新幹線に乗車しているときに、車窓に見つけたものであった。



 東京駅から北へ向かう新幹線の列車は、上野駅に向けてすぐに地下へもぐってしまうが、上野駅を過ぎればまたすぐに地上へ顔を出す。それが在来線の日暮里駅辺りであるが、そこから一気に高架上へ駆け上がり、次第に眺望が開けてくる。

 そんな眺めを「東北の旅2011夏」で「つばさ」に乗っていたときも楽しんでいたが、ふと左窓の下を見遣ると、そこにあじさいが見えた。あんなところにあじさいがあるのか、と私は驚いたものである。

 それは在来線の線路際であった。山手線と京浜東北線が並走しているところである。線路は切り通しになっていて、花は崖上の道沿いに咲いていた。少し先には駅のホームが見えた。田端駅だ。あじさいは田端駅のすぐ南側にあることになる。

 私はそのあじさいを、ぜひとも近くで眺めてみたいと思った。

 ただ、このときは東北への旅が始まったばかりのことであった。それで、きっとこれからの旅で普段見慣れない風景をいろいろと眺めていったら、この田端のあじさいのことなど頭の中からすっ飛んでしまうだろうという気がした。

 そこでノートを取り出し、隅の方に「田端駅南口 山手線内側 あじさい」と書いておいた。すると横にいた妻が私からペンを借り、その下に「あじたば」と書いた。田端のあじさいだから「あじたば」なのだろうか。

 そんなメモのおかげもあって私はこの「あじたば」のことを忘れることもなく、東北の旅から五日後の「都区内パスの旅2011」で、王子の次に田端へと向かった。





 飛鳥山公園で「枯れあじさい」を眺めた後、最寄りの王子駅から京浜東北線に二駅乗って、田端駅に着いた。

 小さな南口の改札口を初めて出てみると、目の前に続く道の先に「あじたば」はあった。そしてその花は、私の望む通りに「枯れあじさい」になっていた。

 ここの花が「枯れあじさい」になっていることは、最初に「つばさ」の車窓に見えたときからわかっていたことであった。それで私は、すぐに見に行ってみたいという気持ちになるとともに、来年になってから花が盛りになるまで待ってみようかとも考えていた。せっかく新しく見つけた場所だからである。

 でも、あじさいへの思い入れをさらに強くしていた今年は「枯れあじさい」の風景さえ眺めたいと考えていたので、この「あじたば」の「枯れあじさい」も見るべき風景、いや、見たい風景であると思った。

 それで、わざわざこの日の田端駅に降り立ったのであるが、憧れの「枯れあじさい」を前にして私は、うきうきとしていた。

 その「枯れあじさい」のある道は、左側がすぐに線路のある切り通しで、右側に花の咲くちょっとした土手があった。その土手の上には別の道があって、そこからは花越しに切り通し下の線路が眺められそうであった。

 そんな眺めこそが、私の求めていたものだったわけであるが、その風景は意外と見づらいものであった。花の下の道沿いに、高い金網が続いていたからである。それに、切り通しは思っていたよりも深かった。だから、切り通しのすぐ下を往く山手線や京浜東北線の電車は「あじさい列車」の風景にはなりそうになかった。

 その代わり、切り通しの奥の方を往く東北新幹線の列車の姿は、花越しによく見えた。
f0113552_2058368.jpg

 これまでずっと「あじさい列車」の風景を探し求めてきたが、正直言って新幹線の「あじさい列車」が見られるとは思っていなかった。山形新幹線や秋田新幹線のような新在直通の区間は別として、フル規格の新幹線の線路際にあじさいなどないだろうと思っていたからである。

 しかし私は、新幹線の車窓にあじさいを見つけ、今度はそのあじさい越しに新幹線の列車を見送った。そして、この「あじさい列車」シリーズに、ついに新幹線を登場させることができた。

 もっとも、上に掲げたE2系は、東京新幹線車両センターの車庫に入るところであったが、その後はこの「あじたば」越しに、ちゃんと営業運転中の新幹線の列車も見ることができた。そして、いろんな鼻の列車を花越しに眺めることができた。

 200系の丸い鼻も「あじたば」越しに見た。
f0113552_20582972.jpg

 E5系の長い長い鼻も「あじたば」越しに見た。
f0113552_20585648.jpg

新幹線
200系・E2系・E5系電車 東北新幹線上野駅~大宮駅にて 2011.7.22





都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-29 23:19 | 新幹線 | Comments(0)

あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

 王子駅近くの「飛鳥の小径」で「枯れあじさい」越しに「あじさい列車」を見送りに行ったとき、私は自分の一番憧れる列車も「あじさい列車」として眺めた。



 札幌発上野行きの寝台特急「北斗星」である。
f0113552_2365547.jpg

 この日は午前中に大崎の病院へ行く予定があったのだが、自宅より大崎へ向かう経路からすればまるで明後日の方向にあるこの王子へ朝の時間にわざわざ立ち寄ったのも、すべてこの「枯れあじさい」越しに「北斗星」を見送ることにあった。自分の思い入れが強い列車を、どうしてもあじさい越しに見送りたいという想いがあったからである。

 ただ、考えてみると去年も私はこの列車を枯れあじさい越しに見送っている。一年前の「あじさい列車2010」の「終章」として、間もなく「北斗星」の運用を外れるEF81形電気機関車が枯れあじさい越しに往くところを見送ったものであった。

 せっかく憧れている列車なのだから、もっと花が盛りのときに見送れば良いものをと思うが、なかなかこの列車の走る沿線に来る機会がなく、ついつい時期が遅くなってしまった。

 でも、たとえ「枯れあじさい」であっても、私にとっては憧れの風景に変わりはない。だから、このときのあじさい越しに「北斗星」を見送ることができるのは、本当に幸いなことであった。

 そして、考えてみれば、2010年の7月末にこの列車の牽引機としてデビューしたEF510形500番台にとっては、この2011年が初めてあじさいの季節を走ると言って良かっただろう。その年にかろうじてEF510形500番台牽引の「北斗星」を「あじさい列車」として記録することができる機会があったのも幸いであった。

 もっと言えば、この時期に「北斗星」が動いていてくれてありがたいことだと思わなければいけないと思った。震災後、この列車の運転が再開されてまだ二ヵ月という時期であった。

 そんないろいろな想いをもって列車を迎えていたが、花越しに現れたEF510形500番台の青い顔を捉えた後の私は、あれこれと想いを込めることも忘れ、ただただ「枯れあじさい」の横に立ち尽くし、連なる青い客車が終着までもういくばくもない旅路を刻んでいくさまに、茫然と見とれていたものである。


寝台特急「北斗星」 東北本線尾久駅~赤羽駅にて 
2011.7.22





都区内パスの旅2011   2011.7.22

01 あじさい列車2011第二十八章 枯れあじさい

02 あじさい列車2011第二十九章 あじさいE259

03 あじさい列車2011第三十章 憧れの列車

04 あじさい列車2011第三十一章 あじたば

05 北王子貨物への想い

06 旅の図書館

07 カンナ、アンナカ

08 カンナ、カシオペア

09 オレンジとスカイブルー

10 211系の音

11 都区内パスの旅2011 まとめ
by railwaylife | 2012-05-28 23:25 | 寝台特急 | Comments(0)