251系特急「スーパービュー踊り子」が、米神の花と海をかすめてゆく。
![]() 今まさに、その251系の大きな車窓にも咲き誇った桜と青い海原があるだろう。 私にとっての最高の組み合わせが、その車窓にあるだろう。 「相模の旅2012桜」にて 251系特急「スーパービュー踊り子」7号 東海道本線早川駅~根府川駅にて 2012.4.9 ▲
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| 2012-04-30 22:30
| 251系
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八年前、今年の「相模の旅2012桜」と同じように桜咲く頃に根府川界隈を訪れ、今回と同じように米神を訪れたことがあった。
そのとき、桜越しに往く185系特急「踊り子」の姿を見送り、それを撮影していた。 ![]() 写真として良いのか悪いのかは知らないが、私はこの写真がとても気に入っている。思い入れのある185系という車両が米神の桜花をかすめてゆくさまが、実に「いいなぁ」と思わせるものだからである。 ただ、この写真を撮ったときには、185系にさほど思い入れがあるわけではなかった。もちろん、相模の海沿いを東海道本線が走るこの区間への想いはかなり強いものがあったと思うが、たまたまそこへ185系がやって来たので撮ったという程度のものであったと記憶している。 そんなふうにして撮った写真ではあるが、最近は185系への想いが強まり、私にとってより大きな意味を持つようになってきた。 そして、こういう風景をまた同じ米神で眺めてみたいと、昨年あたりから強く思うようになっていた。今度は単に米神の風景を眺めるというだけではなく、米神を往く185系の風景を眺めるというつもりで見たかったからである。 ただ、昨年の春はそんな余裕もなく、桜咲く季節に185系を見ることすらなかった。 そして今年、ようやくこの風景を見られる機会が来た。米神に桜が咲き、185系が通常通りに走り、私も米神を訪れることができた。 あとは、桜越しに185系が現れるのを待つだけであった。 特急「踊り子」の時刻表から見当を付けた通過予定時刻になる頃、静かな米神に踏切の軽やかな警報音が発せられた。やがて、米神山トンネルを抜けて来た185系の走行音が警報音をかき消す。それから文字通り瞬く間に、見たかった風景は眼前に現れた。 ![]() シャッターを切ったときに一瞬止まったかのように見えた風景は、もちろん連続して動いている。やがて踏切道の並木に差し掛かった白い車体が、桜色に見え隠れしながら、緩やかな弧を描き続けてゆく。米神の谷に、独特の低い唸り声を発しつつである。 その姿が見えなくなろうかというとき、安堵感が込み上げてきた。 この米神に桜が咲いたこと、そこを185系が駆けてゆくこと、そしてそれを見るために私がここへ来ていること、それらがこの春は無事に揃ったという安堵感である。 私がこの春、この旅に出て、この米神に来たのは、まさにこの風景を見るためであったと言える。 1枚目 185系電車特急「踊り子」号 東海道本線早川駅~根府川駅にて 2004.3.28 2枚目 「相模の旅2012桜」にて 185系電車特急「踊り子」106号 東海道本線早川駅~根府川駅にて 2012.4.9 ▲
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| 2012-04-30 07:30
| 185系
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ちょうど二年前の春に「グリーン車の春」という記事が載っている。
日常の中で桜花越しに湘南新宿ラインのグリーン車を見送ったときの想いを綴ったものであるが、それはいつかグリーン車に乗って旅立ち、その車窓に桜花を見たい、またその旅先で桜花を見たいという旅心を表したものであった。 そんな「グリーン車の春」に書かれた想いを、この春は「相模の旅2012桜」で実現することができた。まさに湘南新宿ラインのグリーン車に乗って旅立ち、車窓に桜花を見ながら出かけ、その旅先でも桜花を眺めることができた。 そしてまたそこで、二年前の「グリーン車の春」と同じように、桜越しにグリーン車を見送った。 ![]() 憧れの地に咲く桜越しに、憧れのグリーン車が往く。 ![]() 私にとっては、この上ない眺めであった。 ![]() 「相模の旅2012桜」にて 東海道本線E231系電車 東海道本線早川駅~根府川駅にて 2012.4.9 ▲
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| 2012-04-29 22:30
| JR東日本
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185系特急「踊り子」が、ホーム越しに根府川の海を見ながら往く。
![]() それは、この185系特急「踊り子」を私がいつ、どこで目にするときにも脳裏に思い描いている風景かもしれない。そんな気がしてきた。 風が強かったこの日、白糸川橋梁での速度規制があったためか、白い車体は実にゆっくり、ゆっくりと、海を見ながら根府川駅を過ぎて行った。 「相模の旅2012桜」にて 185系電車特急「踊り子」115号 東海道本線根府川駅にて 2012.4.9 ▲
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| 2012-04-29 07:15
| 185系
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![]() 記事のタイトルが人名みたいになってしまったが、根府川駅を往くEF210形桃太郎の風景を表してみたかったまでのことである。 東海道本線の貨物列車にもだいぶEF210形桃太郎牽引のものが増え、根府川駅やその周辺でもこの機関車を目にすることが多くなった。 だからこの「根府川桃太郎」は、根府川の風景を代表するようなものの一つと言えるかもしれない。 そんな気がして、この風景にカメラを向けていた。 「相模の旅2012桜」にて EF210-105号機牽引950列車 東海道本線根府川駅にて 2012.4.9 ▲
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| 2012-04-28 23:00
| 貨物列車
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その車両が桜花越しに往くのを、初めて目にした。
![]() 東海道本線のE233系である。 もちろん、中央快速線のE233系などは、今まで桜花越しに往くのを何度となく見て来ているが、この東海道本線を走る近郊型のE233系に桜花という組み合わせは、初めて見る風景であった。 そのE233系は昨秋あたりからこの東海道本線に大量投入され、この春はこうして桜花越しを往く風景もあたりまえのものになったと言える。 それにしても、上の写真のような撮り方をしてしまっては、E233系なのかE231系なのか、いまいちよくわからない。二階建てのグリーン車がファインダーの内に現れるとついついシャッターを切ってしまうという私の悲しい性によるものなのだが、側扉の窓が角ばっているということで、E233系とかろうじてわかるだろうか。 いや、そんな細かいことを言っていても仕方ないので、これがE233系であるという証拠の顔写真も載せておくこととしたい。 ![]() 「相模の旅2012桜」にて 東海道本線E233系電車 東海道本線根府川駅~真鶴駅にて 2012.4.9 ▲
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| 2012-04-28 10:12
| 東海道本線
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枝垂桜を見るために真鶴駅に降り立つと、突風が吹き荒れていた。そこまでの東海道本線の車窓が穏やかに見えただけに大いに驚いた。海が近いだけあって仕方がないのかなと思ったが、けっこう強い風だったので心配にもなってきた。海沿いを往く東海道本線が運転見合わせになってしまっては困る。
そんな心配をしつつも、目的の枝垂桜を見る前に、駅近くの線路沿いにある別の桜をちょっと見に行ってみた。 駅前広場から跨線橋を渡って線路の反対側へ出ると、線路際にわずかな桜が咲いている。その桜花を、251系特急「スーパービュー踊り子」がかすめてゆく風景を待った。 花咲く場所から道を挟んだ反対側は中学校で、広い土のグラウンドがあった。そのグラウンドから道と線路に向けて、猛烈な砂埃が巻き上がっていた。これはもし251系の展望席に乗っていたらそれこそ「砂被り」だな、などと思って悦に入るうち、駅の列車接近案内が入った。 程なく、待ち焦がれた風景が現れた。 ![]() すでにこの場所の花は散り始めていたが、このときの強風でさらに散り、痩せ細っていくように思えた。 まさに花散らしの風の中を、251系特急「スーパービュー踊り子」は駆けて行った。 ![]() 「相模の旅2012桜」にて 251系特急「スーパービュー踊り子」2号 東海道本線真鶴駅にて 2012.4.9 ▲
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| 2012-04-27 23:49
| 251系
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2012年4月9日月曜日、有給休暇を取って旅に出た。
桜を見る旅にである。 折しも東京では桜の満開を迎えていたこの日、東京から日帰りで出かけられる範囲にも、桜が見頃のところはたくさんありそうであった。 そういう状況の中でも私は、あえて今までに何度も行ったことのある場所へと出かけた。もちろん、桜咲く時期にも行ったことのある場所であったが、また行きたくなった。 東海道本線が、相模の海沿いを往く区間である。 幾度となく訪れ強い思い入れのあるこの場所は、いつも行きたいところである。どんなときでも、どんな天気でも訪れたい場所である。もちろん、桜の咲く時期にでもある。その相模の海沿いにも、桜の名所と呼べる場所はある。 ただ、桜が咲いたからそこへ行こうというのではなく、また行きたくなったのがたまたま桜の咲く時期だったと言った方がいいかもしれない。でもそれは自分でもどっちなのかよくわからなくて、とにかく行きたいから行った。 そうやって強く想う場所へと向かうため、日常の駅から湘南新宿ラインで旅立った。乗車したのは、国府津行き快速のグリーン車である。 動き出した車窓には、春があった。桜があり菜の花があり花ダイコンがあった。山手貨物線にも品鶴線にも、春があった。グリーン車の車窓に、春があった。 桜色に霞む多摩川台を遠望しながら東京を脱け出て、枯草と桜花にぼんやりと包まれる新鶴見の機関車群を見届け、列車は横浜市内へと入った。街中にも桜色が各所に配置され、それを追ううちに横浜駅も過ぎ、車窓はいくらかのんびりとしてきた。そして、品濃トンネルを脱ければ目的地の相模である。その相模の車窓にも、桜は咲いていた。たくさん咲いていた。申し訳ないほどに咲いていた。 そのうちに、白くぼんやりした富士の山容までが現れ、桜と山の両者を追ううちに終着は近付いてきた。そして、家並の向こうにぎらぎらする海を見ながら、国府津駅に到着した。 後続の小田原行きに乗り二駅で終着を迎え、そこからさらに後続の熱海行きに乗り込んだ。小田原駅を出て満開の桜越しに小田原城を見上げるうち小峰トンネルをくぐり抜ければ、いよいよ目指す相模の海沿いの区間である。 次の早川駅あたりから見えてきた海原は、深く青かった。春らしく霞むこともなく温むこともなく、くっきりとした青色があった。その色に、どこか厳しささえ感じられた。 そんな青色を背景に、海沿いの区間にも桜色があった。石橋の谷にも、佐奈田トンネルを抜けた先にも、米神の谷にも、そして、根府川駅のホームにも、桜が、春が咲いていた。 いつもは真っ先に降り立つことの多い根府川駅であるが、今回はさらに一駅乗って、真鶴駅まで行く。そこで下車し、まずは最初の目的地へと向かった。 ![]() 駅から歩いてすぐのところにある枝垂桜である。 ![]() 朝から穏やかな陽気だったのに、この真鶴駅に着くと風がとんでもなく強くなっていた。海に近い所為もあるのだろうが、枝垂桜に向かう途中の坂道ではゴミ箱代わりの一斗缶が風に踊りながら転げたりしていて、なかなか大変なことになっていた。 そんな風の中、枝垂桜を眺めた。 ![]() 花は咲き乱れ、風も吹き乱れ、花は散り乱れてゆく。その花と風に弄ばれながら夢中で桜を眺めていた。 駅へ戻って、上り列車を待った。現れたのは211系であった。 ![]() 東海道本線からの引退が迫っていたので、この線では乗り納めかもしれないなという気がした。そう思って車内に入ると、クーラーが効いていた。気温はだいぶ上がってきていた。 さらに青みを増した海原を眼下にしながら一駅戻り、いよいよ根府川駅で降り立つ。 ![]() この駅の近くにも枝垂桜があるので、それを眺めに行った。 ![]() 小さな社の境内にあるこの枝垂桜を初めて目にしたのはもう十年以上前のことだが、そのときはもっと花がわあっと降りかかってきたような気がした。それが今回久しぶりに訪れてみると、少し花がやつれてしまったような印象があった。だが、この地にこういう桜があるというだけで嬉しいし、それを何年ぶりかに目にすることができて本当に良かったと思えた。 ![]() そんな想いでしばし花を見つめてから、根府川駅に戻った。 ![]() 駅からはバスで早川駅方面へと向かった。平日しか運転していないので、こういう機会でもないと利用することがないバスである。 そのバスを米神という停留所で下車し、桜咲く踏切へと向かった。東海道本線の米神踏切である。私にとってはここも桜の名所だ。 ![]() その踏切近くで、列車が桜をかすめてゆくのを、しばし眺めた。 ![]() 花の向こうには青い海原があった。根府川駅で降り立ったあたりから風はだいぶ落ち着いて春の暖かみも感じられるようになったものの、まだ時折冷たい強風が吹き荒れた。それで、海面には波が白立っていたが、風が吹くと手前の桜が微かに散り、白波と溶け合うのが見えた。そんな風景を、列車が来る合間にぼんやりと眺めていた。 ![]() 何本か列車を見送ったところで満足し、桜の踏切を後にした。また桜咲く時期に来たい。そういう想いを、この場所に残した。 米神の停留所からまたバスに乗り、早川駅まで出た。 ![]() ここから東京行きの列車に乗り、帰途に就いた。 帰りしな、早川駅を出たところでふと想ったことがあった。それは、今度ここへ来るときは、桜とか、あじさいとか、そういうものが何も咲いていない時期がいいな、ということである。 桜やあじさいが咲いていたら、ついついそればかり見てしまう。でも、花だけではなく、この相模の海沿いのさまざまな風景を目にしたい。そういう意味では、花など咲いていない方がいいように思えてきた。でも、私はきっと馬鹿だから、またあじさいが咲いているときに来ちゃうんだろうな、という気はした。 その後、帰りの車窓でも、桜咲く風景をずっと追っていた。 見れば見るほどに、車窓には桜があった。見切れないほどにあった。そんなにたくさんあるのに、なんでこの花はすぐに散ってしまうのだろうか、などと思い始めたりもした。 でも、今年は桜をたくさん見ることができたと思った。そして、その一つ一つの風景が、本当にありがたいものだと思えてきた。 大船駅を過ぎたあたりからまどろむうち、横浜駅到着を迎えた。ここで東急東横線へと乗り換え、自宅の最寄駅へと向かった。その乗車中、私は尚も桜のある風景を車窓に追い求めていた。 こうして、短い春の旅は終わった。時間の都合上、見たいと思っていた桜をすべて見られたわけではなかったが、十分に相模の桜を楽しむことができたと思っている。そして、そうやって穏やかな時が過ごせたことを、何よりありがたく、大切にしていきたいと思っている。 そんな旅の途中に見た風景のいくつかは、また別の記事にして載せていきたいと考えている。 ▲
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| 2012-04-27 08:06
| 旅
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![]() ![]() ![]() ![]() 渋谷ヒカリエ、なんていうビルが完成して開業する頃には、東横線にもう9000系は走っていないんじゃないか、なんて勝手に思っていたこともあった。 でも、そんなことはなかった。 今日、2012年4月26日、渋谷ヒカリエが開業を迎える日も、9000系は東横線車両群の一翼を担う重要な存在として朝から走り始め、渋谷ヒカリエの見える渋谷駅に停まっていることだろう。 1枚目 東急9000系電車(9005F) 東急東横線渋谷駅にて 2011.04.03 2枚目 東急9000系電車(9013F) 東急東横線渋谷駅にて 2011.08.24 3枚目 東急9000系電車(9012F) 東急東横線渋谷駅にて 2012.01.02 4枚目 東急9000系電車(9014F) 東急東横線渋谷駅にて 2012.04.22 ▲
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| 2012-04-26 07:00
| 東急9000系
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2012年4月1日、日曜日の午後、自由な時間が少しできた。
天気も良かったし、せっかくだからどこか自分にとっての「いい風景」を探しに行こうと思い、ぶらぶらと外出してみた。 ただ、この日はまだ桜の開花宣言が出された翌日であったので、さすがに桜を見に行ってみようとは思えなかった。もちろん、あちらこちらの花の咲き具合を確かめたいとは思ったが、そのためだけに出かけようという気はしなかった。 じゃあどこへ行こうかと考えているうち、この時季に見に行くべき風景があることを思い出した。 菜の花の咲く風景である。 桜はまだ咲き揃っていなくても、菜の花はもうけっこう咲いてるんじゃないか。そんな気がしてきて、私にとっての「菜の花の名所」へ行ってみることにした。 その名所とは、東急池上線の大崎広小路駅からとなりの戸越銀座駅にかけての区間である。この線路沿いに何箇所か菜の花が咲く場所があって、以前にも一、二度見に行ったことがあった。そこへこの春も行ってみたくなった。 そう思い立ったところで、大崎広小路駅へと進路をとった。 山手通り上にあるその駅へ行くには、バスで向かう方が早いような気がした。それで中目黒駅からバスに乗ったものの、思っていたよりもずっと時間がかかってしまった。バスを降り立ったとき、ようやく着いたなという気がしたものである。ただそれで、時間がなくなってしまったと焦ることもなく、その「やっと着いた」という感覚がかえって目的地への期待を膨らませてくれたように感じた。 駅前にどんとそびえる「ゆうぽうと」のビルの裏側に回り込むと、細い路地の先に池上線の小さなガードが見えてくる。その手前の土手に黄色い花がうわっと群れていた。見頃の菜の花である。 ただ、ここの花は線路と沿線の住宅のわずかな狭間にあって、何とも見にくい。それで、もう少し戸越銀座寄りにあるはずの「名所」を目指すことにした。線路が切り通しになっているそっちの場所の方が、花を見下ろす形になって眺めがいい。そう思って、線路沿いをぶらぶらと歩くことにした。 と言っても、線路に沿って道がずっと続いているわけではない。住宅が建て込んだこの辺りはなかなかに道が複雑だ。起伏もあり、袋小路もある。そこを多少迷いつつ、線路に絡むようにして歩く。だが、思うようには進まず、結局は大通りの国道1号線へ出て、その道沿いを歩くことにした。 ただ、その国道1号線の沿道もなかなかにごちゃごちゃしている。首都高速2号線の出入口があったりするおかげで交差点が複雑になり、横断歩道をいくつも越えていかなければならない。それで、ようやくの思いで通りを越え、再び池上線沿いに出た。 その辺りが目指す「名所」であったはずだが、緩い切り通しの斜面には緑色の草しかない。何年か前にここへ来たときには菜の花が群れていたのに、今年は黄色がまったくない。不思議であった。 ここの菜の花は花期が遅いのだろうか。いや、すぐ近くの土手では今しも花が咲き誇っていたのに、わずかな距離で違いがあるものだろうか。ということはもう、ここには菜の花が咲かないのだろうか。実に不思議だと思った。 やっとの思いで目的地に着いたものの、見たかった花はちっとも咲いていなかった。でも、がっかりすることはなかった。ただ、なぜ咲いていないのか不思議だという気持ちだけがあった。そして、その「不思議だ」と思っている自分が面白かった。 さて、ここに花がないのなら別のところで楽しもうと思った。大崎広小路駅から歩き始めて最初に見た土手の花を、もう一度眺めに行くことにした。 それでまた大崎広小路駅の方へ戻ろうとしたが、ここへ来るまでの道はけっこう遠回りだったような気がしたので、道を変えることにした。もう少し線路に寄り添った道があったように思う。 そこで行きとは線路を挟んで反対側を歩いて行くと、小さな踏切に出た。そのたもとに、ちょっとだけ菜の花が咲いていた。それで、そこへ電車が現れるのを待ってみることにした。 ただ、花は日陰にあった。それで明暗のある風景になってしまった。 ![]() もうちょっと、花の黄色が輝いたらいいのにな、という気はした。 さて、目的の土手が見えるところへ戻りたい。だが、ここからは線路沿いに道がない。それでも、なるべく線路に近いところを行こうと、狭い路地に入り込んでみたりしたが、行き止まりばかりであった。もちろん路地の入口にちゃんと「この先行き止まり」という標識が出ているところもあるが、そういうところばかりではない。標識がないから大丈夫かなと思って入ってみると、進路が塞がれてしまったりする。そんなときはちょっとがっかりもするし、イライラもするが、そう感じていてはもったいない。来た道を、笑いながら戻ればいい。 そうやってまた行きつ戻りつしながら大崎広小路駅方面へと進んだ。行きにも感じたが、住宅地の中には妙な高低差があったりする。それで、この辺りの地形はいったいどうなっているのだろうという気がしてよくわからなくなってきた。でも、そうやって「よくわからない」と気付いたのがまた面白いことであった。 迷い歩くうち、土手の菜の花が見える跨線橋に出た。谷山橋という。ここで、池上線の電車が、花を、春をかすめてゆくのをしばし眺めることにした。 ![]() ![]() 少し強引なアングルだったし、菜の花も日陰の中であったが、暗い表情をたたえた菜の花もいいものだなという気がしてきた。 ![]() 下り電車はさらに強引なアングルであったが、ここの風景を眺めているうちに、池上線の春を、たしかに感じることができた。 帰り道、山手通りを越えて目黒川沿いに出てみた。桜並木のあるところだが、花はまだほとんど咲いていなかった。よくよく見てみれば、一輪、二輪と咲いているのが確認できる程度であった。 そんな桜の咲き具合を確かめてから五反田駅へ向かい、山手線に乗って帰途に就いた。 本当に小さな小さな、春の旅であった。 東急7700・7000・1000系電車 東急池上線大崎広小路駅~戸越銀座駅にて 2012.4.1 ▲
by railwaylife
| 2012-04-25 22:49
| 旅
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![]() 日々の鉄道への「想い」を書き綴る日記 by railwaylife お知らせ
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写真・文章の無断複写、転 載等の利用・使用は固くお 断りします。 カテゴリ
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