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複々線ひとり旅

 最近、あまり目にしていない列車があった。

 それは、私にとって身近なところを通る列車ではあるが、私のイメージとしては「来るんだか来ないんだかわからない」というところがあった。この列車を待ったものの、現れなかったことが何度かあったからである。そんなこともあり、たとえ時間的に目にすることのできる機会があっても「どうせまた来ないんじゃないか」という気がして、このところあまり見に行かなくなっていたのだと思う。

 それでも先日、久しぶりにその列車を見に行ってみようかという気になった。もちろんその日も、来る来ないかはわからなかった。でも、来なくてもよかった。いつも思うように、たとえ来ようが来まいが、その列車を見に行こうという動機で出かけたそのことを楽しめば良いだけだからである。

 さて、ここまで私は「列車」と書いてきたが、そう呼んでいいのか憚られるところがある。もちろんそれは「列車」で、8086という列車番号もちゃんと付いている。でも、その8086列車は貨物列車であるはずなのに、いっつも機関車の単行で、貨車など一両も付いていない。そういう意味で「列車」と呼んでいいのか、と思ってしまう。

 でも、そんな「列車」なら、それなりに楽しめばいい。そう考えていた私は、この8086列車をどんな風景の中で見送るか、決めていた。

 その風景が見られる場所へ行き、行き交う列車を眺めながら待つことしばし、8086列車がやって来るはずの時刻となった。折しも山手線の内回り電車が行ったばかりで静寂が訪れたところであった。そこへ、機関車らしい低い唸り声が聞こえてきた。来るな、と思った。

 そして背後から青い機関車がぬっと現れ、私の見たかった風景ができあがった。
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 四本もの線路が並ぶ複々線区間を、単行のEF64形1000番台国鉄色が、ぽつんと往く。

 そんなさまが、山手貨物線を往く8086列車らしい風景だと思う。


山手貨物線8086列車 山手貨物線恵比寿駅~渋谷駅にて 
2012.1.28
by railwaylife | 2012-01-31 23:29 | 貨物列車 | Comments(2)

旅客線と貨物線

 山手線には、旅客線と貨物線がある。

 今は「あたりまえ」のことだ。いや、興味のない人には「あたりまえ」のことではないかもしれない。なにせ貨物線には今や、埼京線や湘南新宿ラインの電車がひっきりなしに行き交い、あたかも旅客線のような顔をしているからである。貨物列車はほとんど見ることができない。

 そしてやがては、貨物線から完全に貨物列車の姿が消えてしまうのではないか。そんな気もしている。

 もちろんそれは私が勝手に思っているだけで、貨物列車はずっと残るのかもしれないが、とにかく今、旅客列車と貨物列車が並んで走っているさまを楽しんでおきたい。



 そんな想いをもって、併走する二つの列車にカメラを向けていた。
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 それにしても、この写真を見ると、まるでコンテナにパンタグラフがはえているみたいだ。


山手線
E231500番台電車・2077列車 山手線渋谷駅~原宿駅にて 2011.12.29
by railwaylife | 2012-01-30 22:33 | 山手線 | Comments(0)

複々線を往く

 山手線の電車が走る区間は、考えてみるとそのほとんどが複々線区間だ。京浜東北線、とか、埼京線、とか、寄り添う線の名は変わるけど、自らの往く複線の線路のとなりに、常に別の複線の線路がある。

 そんなことを不意に想ったとき、山手線の電車から少しカメラを引いて、複々線を往くことがわかるようにしてみた。
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 こんな風景が、この電車にはあたりまえの風景である。


山手線
E231500番台電車 山手線恵比寿駅~渋谷駅にて 2012.1.15
by railwaylife | 2012-01-30 22:27 | 山手線 | Comments(0)

新幹線多摩川橋梁

 東海道新幹線の多摩川橋梁は、遠くから見るとトラス橋に見える。
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 だがそのトラスは、実は新幹線の橋梁のものではなくて、並走する品鶴線のものである。

 だから、ここを通る新幹線は、トラスをくぐることもなく、川を渡る。
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 その方が、新幹線の車体もこうしてよく見える。そして新幹線に乗っていても、多摩川の川面がよく望める。

 でも、トラスの桁越しに見つめる川面の方が、もっと印象的かもしれない。視界を遮る目障りな桁を気にしながら、ゴーゴーと唸る橋梁に耳を奪われながら、懸命に見つめる川の色の方が、印象的かもしれない。

 もし、この旅立ちの多摩川橋梁がトラス橋だったなら、置き去りにされる東京の風景は、日常と非日常を分かつ川の流れは、どんなふうに車窓に映るのだろうか。旅立つ私は、どんな心地になるだろうか。


新幹線N700系電車
「のぞみ」
118号 東海道新幹線品川駅~新横浜駅にて 2012.1.8
by railwaylife | 2012-01-29 12:56 | 新幹線 | Comments(0)

205の車体

 同じステンレスの車体でも、205系の車体はE231系などと比べると無骨に見える。車体に丸みがなく、角ばっている所為だろうか。あるいは、あの低く唸る走行音の所為で、そう見えるのだろうか。




 そんな205系の車体が、冬の朝日に包まれているのを目にしたとき、無骨さがいっそう際立ったように感じられた。
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埼京線
205系電車 山手貨物線恵比寿駅~渋谷駅にて 2012.1.18

by railwaylife | 2012-01-29 11:02 | 205系 | Comments(0)

長いのか短いのか

 昨年末に、E259系特急「成田エクスプレス」が今度のダイヤ改正で「減便」されると知ってから、案じていることがあった。

 それは、山手貨物線では数少ない12両編成の「成田エクスプレス」の一つである13号も、編成が半分にされるのではないか、という憂いである。

 たまに「長さ二倍」だとか言って、その12両編成の出で立ちを楽しんでいた13号だけに、3月から半分にされてしまったら悲しい。

 そう思い立って、休日の朝にその列車を眺めに行った。

 もっとも、本当に半分になるのかどうかはわからない。私が独りで勝手に憂い、独りで勝手に騒いでいるだけかもしれない。

 でも、そんな根拠のない憂いが動機であったにしても、この12両編成のE259系を眺めに行く機会を自分で作ったのは、嬉しいことであった。

 その列車をどこで待ち構えようかとあれこれ悩んだが、比較的見通しの利く恵比寿駅ホームの端で待つことにした。そこなら、長い編成の全部を捉えることができるからである。

 その場所へ、12両編成のE259系が現れる10分くらい前に着き、程なくやって来た湘南新宿ラインの15両編成で試し撮りもしてみた。長い編成、というさまが表せる構図になった。

 その位置をそのままキープしておけばよかったものの、すぐ脇を山手線や埼京線といった、私にとって魅力的な電車が通り抜けるものだから、あれこれとカメラを向けているうち、さっき湘南新宿ラインを撮った構図がよくわからなくなってしまった。

 それで、いいかげんな構図で目的の「成田エクスプレス」13号を捉えることになっていた。
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 その結果、12両編成なんだか、他の列車と変わらない6両編成なんだか、よくわからない写真になっていた。長いんだか短いんだか、という感じのE259系である。

 でも、これはこれでいい。シャッターを切った後、目の前を通り過ぎて行く列車の両数を頭の中で数え上げ、6号車と7号車の先頭車同士の連結面もしっかりと目にした私は、たしかに山手貨物線を往く12両編成のE259系の姿を、その瞼の裏に焼き付けていた。



 ところで、先日発売された雑誌「鉄道ダイヤ情報」2012年2月号には、今度のダイヤ改正についての詳細が掲載されており、その中で「成田エクスプレス」は横浜~東京間の3往復と新宿~東京間の2往復が運転取り止めとなると書かれていた。また、東京~成田空港間では27往復中5往復が12両編成から6両編成になるということであった。

 つまりこれは、東京駅において横浜方の編成と新宿方の編成が併結・分割する列車の片方が運転取り止めの対象となり、6両編成に減車されるいうことではないだろうか。横浜方面との併結をしない新宿発の13号は、そのままの編成残るのだと思う。ちょっと、嬉しい気がした。


E259系特急「成田エクスプレス」
成田エクスプレス
13号 山手貨物線渋谷駅~恵比寿駅にて 2012.1.15
by railwaylife | 2012-01-27 23:59 | E259系 | Comments(0)

冬日の中の山手線

 いまの時期、朝の通勤で東急東横線に乗ると、電車が渋谷駅に到着する少し前、右窓に山手線の恵比寿方へ向かう線路が見えてきたとき、ちょうどその線路が朝日に照らされている。

 その冬の日の中に、山手線の電車が行き交うさまを、東横線の車窓に何度も目にした。そのとき、柔らかい日に包まれた車体は、たしかに柔らかく、柔らかく見えた。そこに、山手線の「怖さ」はなかった。



 そんな冬日の中の山手線という風景を、ある朝線路際に立って、捉えてみた。
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山手線
E231500番台電車 山手線恵比寿駅~渋谷駅にて 2012.1.18
by railwaylife | 2012-01-26 23:12 | 山手線 | Comments(0)

大寒過ぎて

 先週の土曜日、1月21日は、二十四節気の一つ、大寒であった。

 大寒の次は立春だから、暦の上では寒さの底を過ぎたことになる。もちろん実際にはまだまだ寒い日が続くのだろうが、こういう暦を見ながら、春の近いことを想うのも悪くないと思う。



 さて、その大寒の翌日の日曜日、用事の合間に何となく小田急線の風景を眺めに行った。するとさっそく、お目当ての8000形が寒空の下に現れた。
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 思えばこうして8000形の風景を眺めるのは久しぶりであった。このブログでさかのぼってみれば、前回の8000形の記事は立冬の日のことである。この小田急8000形という車両も、移ろいゆく季節の中でその風景を追ってゆきたいと思っているのに、なかなかそれができていないなと感じた。

 しかし、考えてみれば仕方のないことである。そんなに暇じゃないのに、私はあれもこれもと、さまざまな車両に思い入れを持ち、過ぎ行く季節の中で追いかけていこうとしている。そのすべてを常に網羅するのは、時間的に無理なことである。

 とは言え、いま熱心に追いかけている車両を取捨選択し、どれかをやめてしまおうというのも愚かしい。そう思ったら、選択をしなかった車両を眺める機会はきっとなくなってしまうだろう。

 たとえ頻繁に見ることができなくても、その車両を気にかけて眺めたいと思っていれば、今回のようにちょっとした時間に見る機会ができたりする。そうやってこれからも、時々はこの小田急8000形という車両が往く風景を眺めてみたい。決して「見なければいけない」などと考えず、自分の「見てみたい」という意のままに沿って楽しみたい。もちろん他の車両に対しても同じ心構えを持つことである。

 そんなことを考えた、大寒の翌日であった。


小田急
8000形電車 小田急小田原線参宮橋駅~代々木八幡駅にて 2012.1.22
by railwaylife | 2012-01-25 22:18 | 小田急 | Comments(2)

渋谷橋湘南新宿ライン

 師走のある朝、恵比寿駅から埼京線の北行電車に乗ったら、駅を出てすぐの右窓に色付くイチョウが見えた。

 車窓にイチョウが見えるということは、そのイチョウの向こう側に行けば黄葉越しに列車が眺められるなと思い、休日の朝に恵比寿駅へ降り立った。



 イチョウがあるのは、恵比寿駅のすぐ北側で山手線と山手貨物線を横切る駒沢通り沿いである。

 その通り沿いに歩いて行くと、大きな交差点に出る。明治通りと交わるその場所は、渋谷橋交差点と名付けられている。
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 なぜ橋かと言えば、この交差点のすぐ手前に渋谷川という川が流れており、そこに渋谷橋という橋が架かっているからである。
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 その橋の名に因んだ交差点に架かる歩道橋から、イチョウの色付きを楽しんだ。
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 そして、そのイチョウ越しに通る、山手貨物線の列車を眺めた。

 見送ったのは、山手貨物線を通る車両の中で、いま一番乗りたいものであった。
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 ところで、ここに架かる渋谷橋は、恵比寿にあるのになぜ「渋谷」なのか、という気がした。

 でもそれは、地名を駅名で見ているから違和感があるだけである。そもそも恵比寿なんていう地名は近所のビール会社で作られていたビールの商品名から取ったような新しいものであり、このあたりは「渋谷」と言っても差し支えない場所だ。

 だいたい、渋谷橋交差点があるのは渋谷区東という住所であり、例えば渋谷駅近くの並木橋もこの渋谷区東という住所なのだから、まさにここは渋谷の続きに他ならないと言える。



 しかし、である。

 渋谷の中心から流れてくる渋谷川に架かる橋の中で、なぜここの橋がその地名や川名を冠しているのだろうか。渋谷や渋谷川を代表するように気取っているのだろうか。その疑問は残った。

 以前に「川の名の駅」という記事を書いたことがあるが、まるでこの渋谷橋は、川の名を冠した駅のように、堂々としている。その態度が、どうも解せなかった。

 そんな疑問について調べてみると、渋谷の意外な歴史を知ることになった。

 今でこそ東京を代表するような繁華街である渋谷だが、江戸時代のこの一帯は大都市江戸の外にある農村であった。

 それでも明治期になると、町場が増えてくる。ただそれは、現在の渋谷駅周辺ではなく、現在の広尾駅前の商店街から、恵比寿駅前あたりにかけての道沿いの一部であったという。それはまさに、いまの明治通りと渋谷川に沿ったあたりだと言える。だから、渋谷橋は当時の渋谷の街の入口に架かる橋だったのだと思う。

 そのことを示すように、明治期の渋谷橋は黒塗りの鋳鉄棒の欄干をもつ「渋谷川随一の橋」であったそうだ。

 また、江戸時代にこの橋は「大板橋」とも呼ばれていたようだということであった。江戸時代から大きな橋であったことを窺わせる話である。またここに、旧い道があったことも窺わせる話である。

 車窓のイチョウの色に釣られ渋谷橋を訪れ、その橋の名についての疑問を調べていくうち、渋谷の歴史を期せずして知ることとなった。こういうつながりがあるから、何かを調べる、探求するということは、楽しいことである。

 さて、渋谷の歴史をこうして知ったからには、これから山手線や山手貨物線で恵比寿駅を通りかかるときには車窓に渋谷橋の方を眺め、そこがかつての「シブヤ」なんだと想いながら、明治の渋谷の街を思い浮かべることにしたい。


湘南新宿ライン
E231系電車 山手貨物線恵比寿駅~渋谷駅にて 2011.12.18


参考文献 田原光泰「春の小川はなぜ消えたか 渋谷川にみる都市河川の歴史」
(フィールド・スタディ文庫6、2011年)

by railwaylife | 2012-01-23 23:26 | 湘南新宿ライン | Comments(2)

能登がない

 先週金曜日の夜、何気なくインターネットを眺めていたら、JR東日本のホームページに「春の増発列車のお知らせ」がアップされたことに気付いた。もうそんな時期か、と思いながら、相変わらず開くのが重々しいそのお知らせのPDFファイルを開いてみた。

 春の増発列車というのは3月から6月までに運転される臨時列車のことを指す。だから、お花見の列車だったり、ゴールデンウィークの増発列車だったり、さくらんぼ狩り向けの列車が載っていたりする。

 そんな時期の列車の名をこの寒中に眺めていると、それだけで何となく春の暖かさや初夏の爽やかさが感じられ、希望がわいてくるというものである。

 さて、その「春の増発列車のお知らせ」を順に見ていくと、トリを飾るのが「おでかけに便利な夜行列車を運転します!」と題された夜行列車の項である。最後にここを眺め、臨時列車ながらも夜行列車が健在なことを確認すると、何となくホッとする。実際に乗る機会があるかどうかはわからないけれども、憧れの夜行列車がこれからも増発され運転されると思うと、そのことでも希望がわいてくるというものである。

 その夜行列車の項に、今回は列車の名が増えていた。今度のダイヤ改正で季節列車化される寝台特急「日本海」と急行「きたぐに」である。

 この二つの列車名がここに載っているというのは何とも違和感があるものだったが、臨時ながらも確かにこれからも走るんだなと思うと安心感も得られた。ただ、運転日が思ったよりも少なかったので、何となく残念な気もした。

 さて、そうやっていろいろな感慨を持ちながらこの夜行列車の項を眺めているうち、何かが足りないような気がしてきた。

 その足りないものとは何か。ちょっと考えてみるとすぐにわかった。





 それは、これまで季節ごとに出るこのお知らせの夜行列車の項にずっと載っていた、上野-金沢間の急行「能登」の名がないことである。
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 二年前のダイヤ改正で定期列車の運転が取り止められて以来、必ずこの項にその名があった急行「能登」であるが、今回のお知らせには載っていなかった。春以降はもう、運転されないということなのだろうか。そうだとしたら、悲しいことである。

 いや、今さら悲しんでいても仕方ない。二年前に臨時列車化されたときから、こういう日が来ることはわかっていたはずだ。いつの間にか運転の予定がなくなり、ひっそりと消えていくということである。

 そしてそうやって、闇に紛れて静かに消え入るのもまた、夜行列車らしいと言えるだろう。

 それにしてもこの急行「能登」では、たとえどんな天気であっても、夜が明けてから車窓に見えてくる日本海の海原が、清々しく感じられたものであった。

by railwaylife | 2012-01-22 11:03 | JR東日本 | Comments(2)