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春の夕暮れ

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 ゴールデンウィークに入った途端、よく晴れて初夏のような陽気になった。

 そんな天気だった昨日は午後から、私は表参道で、妻は井の頭線の高井戸でそれぞれ用事があった。そして、妻の用事は17時に終わるという予定だったので、私たちは17時30分に渋谷で合流することにしていた。

 それで私は、17時30分には渋谷にいるようにしたが、妻からは用事が終わったという連絡がなかなか入らなかった。用事が終わらないと電話はつながりそうになかったので、仕方なく、カフェにでも行って待っていようかと思ったが、祝日の渋谷はどこも人で溢れていて落ち着ける場所はなく、私は駅の周りをうろうろするしかなかった。

 それで私はもう、高井戸まで行ってしまうことにした。久しぶりに井の頭線に乗ってみたいという魂胆もあったからである。

 渋谷駅から急行電車の先頭車両に乗り、運転席の後ろに構えた。神泉駅を過ぎてトンネルを抜けると、二条のレールが夕日に染まって鈍く光り始めた。この時間の井の頭線は、西日に向かって走り行く。

 沿線にはまだまだ八重桜が咲き残っていたが、さすがにもう花は終わりだなという感じであった。ソメイヨシノの開花から、一ヵ月以上続いた花の眺めも、ついに絶えてしまう。

 そういえば、今年は井の頭線の3000系にとって最後の春だったはずである。そんなことに思いも及ばず、私は中央本線の桜ばかり追いかけていた。そのうちに春は終わろうしている。

 下北沢を過ぎて、新代田から東松原にかけての間は、紫陽花の名所である。もう一ヵ月もすれば、車窓が花に彩られるだろうか。それも楽しみである。

 永福町で各駅停車に乗り換え、三つ目が高井戸である。ホームに降り立つと、吉祥寺方面のホーム端から、まさに日が暮れていこうとするのが見えた。そしてそのたそがれの景色に、渋谷行きの急行電車が飛び込んできた。私は、日も春も暮れていくのを見るような気がした。

 思ひ立つ鳥はふる巣もたのむらむ馴れぬる花のあとの夕暮
寂蓮法師

(『新古今和歌集』巻第二 春歌下)

 ホームを後にして改札を出ると、ちょうど妻からメールがあり、ようやく用事が済んだということであった。それですぐに落ち合うことができた。

 駅前でお茶をしてから外に出ると、すっかり暮れた高井戸駅の高架ホームに吹く風はだいぶひんやりとしていて、やっぱりまだ初夏というには早い気がした。私はもう少し、春を楽しめるのではないかと思った。

京王井の頭線高井戸駅にて 2010.4.29



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by railwaylife | 2010-04-30 23:43 | 京王井の頭線 | Comments(2)

花のあとの再会

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 桜の咲いている間、豊田車両センターでずっと身をひそめていた中央快速線201系が、昨日から突如運用に復帰した。

 昨日の仕事帰り、中央緩行線のすいた車内でぼんやりとしていると、窓外の闇に忽然と中央快速線の201系が併走し始めた。それはまるで亡霊のような姿であったが、確かに201系は運用に復帰していた。

 そこで今朝は、雨の中いつもの東中野に201系を見送りに行った。

 201系が豊田に籠っていた間に、ソメイヨシノはおろか、跨線橋越しの八重桜までもが葉桜になっている。この時期に動くのだったら、花のあるときにも動かしてほしかったと思う。しかしそれは、引退間近になって慌てて201系を追っている「葬式鉄」の典型的な言い分だろう。今まで201系は、それこそ三十年近く、この東中野の桜花をかすめて走り続けてきた。その間に、花と201系を眺める機会は十分にあったはずである。

 とは言え、私にとって中央本線が日常になったのは、この春が初めてのことである。それだけに、桜の下で201系を見てみたかったという想いは強く、今頃になって出てきたことは、やはり残念でならなかった。


 つらきかなうつろふまでに八重桜とへともいはで過ぐるこころは
惟明親王

(『新古今和歌集』巻第二 春歌下)


中央本線東中野駅~中野駅にて 2010.4.28



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by railwaylife | 2010-04-28 23:58 | 201系 | Comments(4)

桜の池上線

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 ここ数年、桜の咲く季節は、東急池上線の洗足池駅-石川台駅間の桜並木を訪れ花と電車の眺めを楽しんでいた。そして今年も、東京で桜の開花宣言が出されたその日にこの桜並木へ行き、花が咲くのを楽しみにしていた。

 しかし、花が盛りの頃にこの桜並木を訪れることはなかった。この春は、東中野の桜並木に夢中になりすぎていた。その所為で、毎年の恒例行事まですっぽかしてしまった。

 残念なことをしたと思う。池上線を走る7600系・7700系と桜並木の組み合わせも、あと何回あるかわからないからである。

 そもそも池上線という路線は、日常というほど頻繁に乗るわけではないけれど、近くていつでも行けるという微妙な位置にある。だからついつい、池上線はまた今度行けばいいやという思いで後回しにして、遠くの鉄道風景を求めてしまい、気が付くとそういえば池上線にしばらく乗っていないなという状態になっている。もったいないことだ。

 私は池上線の雰囲気が何となく好きである。都内の路線なのに、走っている電車が三両編成であるというところからもわかるように、実にのどかな感じがある。同じ東急でも、東横線や田園都市線にあるようなせわしなさが、池上線にはない。そこが良いのかもしれない。そして、東急では最古参の7600系・7700系が主力として活躍しているというところにも、私は惹かれる。

 そんな池上線をもっと味わえばよいのに、と自分でも思う。だからこれからは、桜のあるなしに関わらず、意識して池上線の風景を追いかけたいと思っている。


東急池上線大崎広小路駅~戸越銀座駅にて 2010.4.10



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by railwaylife | 2010-04-27 23:51 | 東急7600・7700系 | Comments(1)

晩春の新幹線

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 東京では、まだまだ八重桜が見頃だ。

 この時期、品川駅を発った下り東海道新幹線は、目黒川沿いに並ぶ薄紅色の八重桜をかすめ西へと旅立つ。

 きっと、この後の車窓にも、いくつもの八重桜が現れることだろう。そして、列車が少し山間に入れば、遅咲きの山桜も車窓を彩るはずだ。鋭い薄緑色の新緑に囲まれた桜色は、ぼんやりと見えるけれども、ソメイヨシノとは違った鮮やかさがある。車窓の旅人は、そんな山桜に、きっと目を奪われるに違いない。

 私も新幹線で旅立って、そういう晩春の風景に身を委ねながら、西へ西へと行ってしまいたい。そんな想いを白と青の車体に込めつつ、私は都会の河のほとりに独り佇んでいた。


東海道新幹線品川駅~新横浜駅にて 2010.4.25



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by railwaylife | 2010-04-26 23:29 | 新幹線 | Comments(0)

菜の花の旅

 世の中には鉄道ニュースというサイトがいくつかあって、私はそれを何となくチェックしている。鉄道ニュースというのは、臨時列車が走ったとか、試運転があったとか、車両にヘッドマークが付いたとかいう、いわゆる「ネタもの」の話題を扱うものであるが、あまりにニュースが多いので、正直言うと私などはついていけない。それでも見ているのは、時々きれいな風景の写真があったりするからである。

 そんな鉄道ニュースの4月10日土曜日に、高崎・上越線を団体臨時列車が走ったという記事があったが、それがとても印象的であった。12系客車にEF81形機関車という組み合わせが珍しかったようだが、そんなことは私にはあまり興味がなく、目に留まったのは写真の場所である。

 それは、菜の花の黄色い列越しに列車が行く景色であった。こんなところがあるんだなと思って場所を見てみると、上越線の井野駅-新前橋駅間とあった。

 その後、あまりその菜の花の眺めのことは気に留めていなかったが、4月19日月曜日の記事にまた同じ場所での写真が載っていた。今度は蒸気機関車D51が試運転をしたというものであった。試運転などどうでもよくて、私はまた菜の花の眺めに目を奪われた。

 そこでその場所について少し調べてみると、沿線には菜の花畑が広がっていて、D51の撮影ポイントとしても結構有名な場所のようであった。そして、いくつかの写真を見てみると、列車が黄色い海の中を往くように写っていた。かなりの数の花があるようだ。この春「菜の花列車」に憧れていた私は、そんな眺めが見てみたくなった。そしてこの場所は、私の中では「新前橋の菜の花」と記憶されるようになった。



 さて、昨日4月24日土曜日の午前中は大崎の病院に通院したが、病院が終わると私は、大崎駅から湘南新宿ラインの特別快速高崎行きのグリーン車に飛び乗ってしまった。もはや「新前橋の菜の花」を見たい!という気持ちが抑えきれなかったためである。そして、その旅立ちはどうしても大崎駅である必要があった。病院の通院などというつまらない日常を吹き飛ばしてしまいたかったからである。
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 土曜日のグリーン車はけっこう混んでいて、二両のグリーン車を端から端まで巡って、ようやく車端の平屋部に座席を見つけた。

 席に就くとすでに目黒駅を通過していた。そして次の停車駅渋谷を過ぎれば、いつもの通勤の眺めだ。あちらこちらの葉桜、菜の花を平日の朝と同じようにチェックするが、普段とは違ってゆったりと眺められることに歓びを覚えた。

 そして日常の最たる場所新宿を後にする。こんな場所も、早く車窓の後ろへ後ろへと追いやりたかった。
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 列車は北を指す。流れ行く都心の風景にも、八重桜、菜の花、ハナミズキ、ツツジが溢れる。まさに車窓は春を謳歌していた。これが私の望んでいた、グリーン車での春の旅だ。

 山手線を右手に去らせ、東北本線と合流し、赤羽を発てば荒川で、渡り切れば埼玉県だ。今月初めての東京脱出である。
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 やがて大宮も過ぎて東北本線とも分かれれば、いよいよ高崎線の旅の始まりである。行くほどに青い空が高く高くなっていく気がして、心が開けていく。沿線は住宅街の眺めであり、まだまだこんなところで感動している場合ではないとも思ったが、この日の私は、とにかく旅立つことのできた嬉しさに浸っていた。
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 青空にしばし見とれていたが、気が付くと12時を回っていたので、昼食をとることにした。病院が終わってから一旦品川駅まで行って買い込んでおいた「品川御膳」である。
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 格好良い名前が付いているが、中身はごく普通の幕の内弁当である。でも、こんな何の取り柄もない駅弁が一番美味しかったりする。

 食べ終わる頃には熊谷を後にしており、列車は高架に出る。熊谷貨物ターミナルにかけてのこの区間は、高みを行くだけに見通しが利いて、高崎線の中でも最も好きな風景だ。いよいよ上州の山並も見えてくる。
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 車窓はのどかな田園風景となり、家の庭先に芝桜が見えたりする。小さな川の流れの土手一面に菜の花が広がったりもする。桃の花だろうか、強烈な紅色が車窓を彩ったりもする。

 そして神流川を渡ればついに群馬県だ。群馬に来るのは久しぶりだなあと思ったが、実は先月、寝台特急「北陸」で寝ている間に通過していたことに気が付いた。でも、日のあるうちに来るのはいつ以来であろうか。思い出せなかった。
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 さらに烏川を越えればようやく高崎である。大崎から約二時間の旅であった。
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 ここで両毛線の小山行きに乗り換え、さらに北を目指す。高崎から二つ目の井野と、その次の新前橋の間に菜の花の海はあるはずだ。

 列車が井野駅を発つと、私はどきどきしてきた。ついに憧れの眺めが現れると思い、車窓を見る目にも力が入った。

 ところが、関越自動車道をくぐって、菜の花の海があるべきはずの場所に達しても、車窓の黄色はほんのわずかであった。緑の中に黄色い花がしょぼしょぼとあるだけである。えっ!?と思ううちに、列車はどんどんその車窓を置き去りにしていく。そして、あれよあれよという間に新前橋駅に着いてしまった。ともかくも列車を降り、駅前に出てみる。
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 私がネットで見た菜の花の風景は幻であったのだろうか。何だかひどくがっかりしたが、せっかくここまで来たので、駅から歩いてその場所まで行ってみることにした。

 県道12号線を南に下り、関越自動車道に沿った小さな道を右へ折れると、菜の花のポイントに出る。日高遺跡と書かれた碑のあるその場所には、やはり菜の花がまだらにあるだけであった。辺りは掘り返されたようになっていて、まったく殺風景だ。そんなわずかな菜の花を横目に、列車が軽快に過ぎて行く。菜の花を掻き分けるように往く列車という私が見たかった風景は、そこにはなかった。時期が遅かったのだろうか。
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 本来であれば、ここで一時間くらい列車を見送るはずであったが、私は早々に切り上げた。この程度の眺めなら、高崎線沿線にもいくらでもあった。だから、別の菜の花の眺めを探すことにした。

 ぶらぶらと新前橋駅に戻り、上り列車に乗って高崎へ出て、高崎線の上野行き普通列車に乗り継いだ。私はドア際にへばりつき、菜の花の眺めを探した。小さな流れの土手に、バーッと黄色い花の広がる眺めがあったはずである。

 しかし、そんな眺めもまた幻であったかのように現れず、列車はどんどんと都心の方へ吸い寄せられていく。このままではいけないと思った私は、たまらず岡部という駅で下車した。そして、一つ前の本庄方面へ向かって歩き出した。

 あてのない歩きであったが、畑の広がる線路沿いの道を行くのは気持ちが良かった。そしてやがて、線路の両脇に菜の花の広がる場所に出た。黄色い海とはいかないけれど、まずまずの眺めかなと思う。

 そこで私は、花をかすめて行く列車を何本か見送った。ようやく、思っていたような「菜の花列車」に少し近付いたような気がした。
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 傾いてきた午後の日差しの中、列車はぼんやりとした風景の中を過ぎて行く。
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 本当は帰途に乗りたかった特急「草津」「水上」4号も、ここで見送った。
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 そしてまた岡部駅まで歩いて戻り、快速「アーバン」に乗って都心へと戻った。行くうちに春の青空が夕日に照らされていき、短い旅は終わりを告げた。

 思うような菜の花の眺めにはたどり着かなかったけれど、高崎線を北上できただけでも十分に満たされた旅であった。



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by railwaylife | 2010-04-25 23:50 | | Comments(0)

菜の花列車

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 桜の季節はまた、菜の花の季節でもある。あの鮮烈な黄色は、もしかすると桜よりも春を感じられるものかもしれない。

 そんな菜の花が、桜と時同じくして咲いてしまうのは、少しもったいない気がする。桜があると、ついつい菜の花よりもそちらを優先してしまうからである。菜の花は菜の花で、別の時期にじっくりと見たいものだと思う。

 でも、桜と菜の花が同時にある眺めというのも、贅沢なものだ。少しきついくらいの菜の花の黄色と、ほんわりとした桜色が、お互いの色を引き出し合う。そして春を謳歌する。あの、東中野の桜並木も、実は菜の花があるからこそ、あんなにも惹かれるのかもしれない。

 そしてその東中野のように、線路際にも菜の花は多い。地方の線区はもちろんのこと、都心でも線路端にわずかな黄色がひょこひょこと咲いていたりする。

 だが、日本全国の鉄道路線には、菜の花の「名所」と呼べるような場所がいくつもある。そんな「名所」を駆け抜ける「菜の花列車」を、ぜひ眺めてみたいものだと思う。

 黄色い菜の花の群れを掻き分けて黄色いディーゼルカーが走る、あのいすみ鉄道の風景はどんなだろうと想像する。そして、私がお気に入りの鉄道ブログで目にした「菜の花列車」の景色も忘れられない。日豊本線の線路端の菜の花を横切って行く特急「ソニック」の風景には、青と黄の鮮烈な対比があった。湖西線の菜の花の海を横目に往く「RED THUNDER」ことEF510の姿には、この上なく輝く赤色があった。

 でも、そんな憧れの「菜の花列車」は、今の私には遠い世界だ。だから私は、各地の「名所」には及ぶべくもない景色だけれども、地元の「菜の花列車」に見入って、遥かなる憧憬の菜の花を想った。

東急東横線都立大学駅~自由が丘駅にて 2010.4.17



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by railwaylife | 2010-04-21 23:51 | | Comments(3)

晴れがましい朝

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 昨日の週明け月曜日は、朝から晴れていた。

 4月11日の日曜日に東中野を訪れた際、咲き始めた八重桜を目にしたが、残念ながら曇り空の夕暮れ時で、花はすっかり色を失いかけていた。そのときに、この八重桜を晴れた日に改めて見に来なきゃいけないなと思っていた。私は、この朝がその「改めて訪れる日」だと感じた。

 そこで例のごとく通勤途中の東中野駅で降り立ち、すっかり緑色に包まれ始めたソメイヨシノの並木を見ながら、八重桜のもとへと向かった。

 八重桜のある跨線橋に近付くと、青空の下で白く輝く花が見えてきた。良い天気だし花もあるし、跨線橋にはカメラを持った人がいるかなと思ったが、誰もいなかった。私は、八重桜の眺めを独り占めすることができた。

 跨線橋の階段をゆっくりと上り、花のもとにたどり着いた。そしてそこにしばらく佇み、花越しに駆けて行く通勤電車を何本も見送った。

 前回訪れてから一週間以上経っているので、花はだいぶ咲き揃ってきたように見えた。でも、そのこと以上に私が嬉しかったのは、この前と比べて花の色がグッと鮮やかに見えたということである。やはり桜は、青空の下でこそ見るべきものだと思う。そんな花を目の前にした私は、思わず笑みをこぼした。

 平日の朝だから、別に珍しい列車が来るわけでもない。この時間は特急列車さえ来ない。通り抜けるのは、見慣れた通勤電車ばかりである。でも、そんなありふれた日常の景色に春のあることが、何より嬉しかった。

 決して気持ちの軽くない月曜日の朝だったが、晴天の下の花越しを往く列車を見ているうちに、私は晴れがましい気持ちになってきた。

中央本線東中野駅~中野駅にて 2010.4.19



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by railwaylife | 2010-04-20 23:57 | 中央本線 | Comments(0)

八重桜を求めて

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 ソメイヨシノが散ってしまうと、誰しもむなしくなるものだ。今年の花も終わっ
てしまったかと、残念な思いになる。

 そういう人々の心を見透かし慰めるかのように咲き出すのが八重桜である。ちょうどソメイヨシノが散っていく頃に咲き始め、次第にその大きな花びらが存在感を主張し始める。

 そんな八重桜の姿を目にすると、嬉しくなってくる。そうか、まだこの花があったか!と思い、ソメイヨシノが散ったむなしさも和らいでいく気がする。

 ちょうど私の家から最寄駅へ向かう途中にも八重桜が二、三本あって、先週あたりから花が目立ち始めた。それが咲き揃っていく様子を、毎朝出勤時に妻と二人で見るのが、最近の楽しみになっていた。

 そんな先週のある朝、妻が花を見ながら「八重桜の名所ってないのかな?」と言った。そう言われればあまり聞いたことがない。それでさっそく昼休みに調べてみると、東京では浜離宮恩賜庭園が八重桜の名所であるということがわかった。園内には七十本もの八重桜があるという。

 また、もう一つ、東京モノレールの流通センター駅付近も八重桜の隠れた名所であるという。東京流通センターの建物を取り囲むように八重桜の並木が続いているそうだ。

 浜離宮恩賜庭園の最寄駅は新橋であるが、その新橋からJRに一駅乗れば、東京モノレールの始点浜松町だ。案外この二カ所の「名所」は近いかもしれない。そう考えた私は妻と相談して、次の日曜日に両方の「名所」へ行ってみることにした。

 その「八重桜めぐり」を予定していた一昨日18日の日曜日、二人とも朝はゆっくりして、家を出るのが遅くなってしまった。そのため、両方に行っている時間はなさそうであった。

 そこで私たちは、浜離宮恩賜公園にだけ行ってみることにした。この日は有楽町で買い物をする予定もあったので、その有楽町により近い方を選んだ形である。

 しかし、電車に乗っているうちに、妻が流通センターの方へ行ってみようと言い出した。浜離宮は混んでいるかもしれないという。たしかに、浜離宮の八重桜は有名のようだから、そういう可能性もある。それで急遽、浜松町からモノレールに乗ることにした。

 羽田空港へ行くときくらいしか乗らないモノレールであるが、最近は京急ばかり利用しているので、モノレールに乗るのは久しぶりのことであった。

 高い高架橋の上から湾岸の風景を眺めていると、何だか沿線にはずいぶん高層建築物が増えたような気がした。

 浜松町から三つ目の流通センターで下車する。展示場や会議室を備えたオフィスビルや物流ビルが建ち並ぶこの辺りであるが、休日のことで駅はひっそりとしていた。

 そんな駅を出ると、早くも目の前に八重桜の並木が現れた。それが、昭和島の方へ向かってモノレールの高架沿いにずっと続いているように見えた。さらに、駅前のオフィスビルを取り囲むようにして花があった。私たちは思わず声を上げた。

 八重桜はまだまだ咲き揃っていなかったけれども、花びらが大きいだけに見応えはあった。それに、八重桜にはさまざまな色がある。白色、桃色、薄紅色、黄緑色などがあって、木ごとに色を楽しめる。また、それぞれの木には松月、大手毬、普賢象といった名も付いていて、親しみが持てた。ソメイヨシノを見るときとは違った楽しみがあった。

 そんな八重桜の並木に沿って、私たちはあてもなくふらついた。無機質なビルや倉庫を背景にした八重桜は、かえって見栄えがした。

 平日ともなれば賑やかな場所なのだろうが、この日は花を見る人さえ少なく、私たちはじっくりと花見ができた。だから、浜離宮に行かなくて良かったと思えてきた。

 最後に、花越しに行き交うモノレールを眺めた。私は、また新たな春景色を手に入れることができた。


東京モノレール 流通センター駅~昭和島駅にて 2010.4.18



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by railwaylife | 2010-04-20 23:50 | | Comments(2)

ブログアクセス数

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 今月最初の週末あたりだったか、二、三日ブログを放りっぱなしにしていて、数日ぶりにブログの設定画面にログインしてみたら、レポートの「全体の訪問者数」が20,000人を超えていた。

 普段からあまり訪問者数の多くないこのブログであるが、一つの節目であったことは確かだ。今までたくさんの人が見てくれたことには感謝したい。しかし、訪問者数の集計開始日は2006年11月13日とあり、訪問者数が20,000人を超えたと見られる2010年4月3日まで、1237日もかかっている。えらい鈍足だ。

 そして、この数字から、単純に一日あたりの平均訪問者数を計算すると、16人となる。まあ、そんなもんだろう。最近でこそ、馬鹿みたいに記事の更新頻度を上げていたから、一日の訪問者数が50人くらいになる日もあったが、過去には長いこと更新しない時期もあったので、そんな数字になるのも当然のことである。

 ただ、エキサイトブログには「アクセス解析」という機能もあり、そのアクセス数を見ると、レポートの「全体の訪問者数」よりはるかに値が大きい。それを集計してみると、今月はすでに737アクセスあり、今年の累計となると6378アクセスになる。

 両者のカウント方法はおそらくまったく違っているのだろうから、何とも言えないが、こうなるとアクセス数なるものは、もはや数字遊びである。だから、私はあまり気にしないことにしている。ただ、それでもどちらのアクセス数とも以前よりは一日あたりの数字が大きくなっているから、多少は見てくれている人が増えているのかもしれないなと思った。いや、きっと記事の数が多くなった分、単に検索で引っ掛かる可能性が増えただけであって、別に読者が増えているわけではないのだろう。

 だが、そんなにたくさんの人に読まれるようにならなくても良いと思っている。ひっそりと続けていけば良い。

 そもそも私のブログは、鉄道を対象にしたブログであっても、レアな列車、いわゆる「ネタもの」を扱うようなものではないので、アクセス数が少ないのも当たり前のことだ。

 ただ、世の中では最近、そういう「ネタもの」を狙うファンが急激に増え、競ってその成果をブログに載せたり、どこかのサイトに投稿することが盛んになっているという。そしてそのことが、最近世間を賑わした「鉄道ファンのマナー違反」を助長する結果にもつながっているそうだが、私のブログはそんな争いの蚊帳の外である。

 きっと、私も「ネタもの」を追って、そのレアな写真を掲載すれば、ブログアクセス数ももっと増えるのかもしれない。例えば、今日であれば「五日市線でさよなら中央線201系特別ツアーの201系を撮りました!久しぶりに五日市線に201系が入線してレアでした!」とか書けば良いのだろうし、明日であれば「山形新幹線400系のラストランを追っかけました!最後のレアな姿でした!」などと書けば良いのだろう。また、最近でいうと「EF510-500の試運転を捕らえました!桜も入ってます!」なんていうのもレアなのかもしれない。

 しかし、そんなさよなら運転にせよ、試運転にせよ、どの列車にもまったく興味が持てず、わざわざ見に行く気もしない。201系など、定期運用のときはあれだけ熱心に追っかけていたのに、さよなら運転となると、乗ろうとも撮ろうとも思わない。せっかく企画していただいたJR東日本八王子支社には、申し訳ないくらいだ。

 実は私も、以前は「ネタもの」を追いかけようとしてみたことがなかったわけではない。しかし、やってみても面白くなかった。そしてつらかった。もちろん、珍しい列車を見られれば嬉しいし、たまたま見かけたときには思わず「おっ!」と思う。しかし、好んで追いかけようとはもう思わない。

 それに私は、以前から何度も書いているが、日常の列車にこそ、本当の鉄道の姿があるのだと思っている。日々の営みの中で、人や物を運ぶという使命を帯びた列車こそが、鉄道本来の役割を果たしていて、実はそこにこそ、鉄道の魅力があるに違いないと言える。

 そうは言いつつも、ブームに弱い私はついつい「ラストラン」などの言葉に踊らされてしまうので、いつも「日常の鉄道こそ魅力」を合言葉のようにして自分に言い聞かせるようにしている。

 そして、そんな日常の鉄道風景を通して、四季の移ろいというものを感じることができたらもっと良いと思っている。どんなありふれた車窓風景も、すべて四季の営みの中で形成されているからである。その季節の変化があってこそ、列車から見る車窓に惹かれるようになる。

 だから私も、もっとブログで鉄道風景の四季を取り上げたいというのが本音である。しかし、都会にどっぷりと漬かってしまっている私には、なかなかそれが難しい。きっと地方に行けば、もっと季節を感じることができるのだろうが、そうそう頻繁に行けるものでもない。

 今の時期でこそ、桜というものがあるから、都会でも季節というものを痛いほど実感できるが、それ以外の時期の都会では、なかなか季節感を出しづらいこともある。そんな中で、2007年6月頃にやっていた「あじさい電車」シリーズなどは自分ではなかなか気に入っている。ただ、花ばかりに頼るのも良くないなと思う。何とかもっと別の手段で、地元の鉄道風景の中でも季節感を得て、それを伝える方法はないだろうかと考えている。

 そして、このブログでもう一つ伝えたいのは、私の「想い」である。私は毎回の投稿に写真を載せるようにしているが、写真はあくまでも私の「想い」を補完するためのものに過ぎない。私は、写真を披露したいのではなく、自分の「想い」を披露したいと思っている。実際、私は写真を撮ることよりも文章を書くことの方がずっと好きである。

 ただ、あまりにも私の「想い」が強すぎて、文章が読みづらくなったり、長ったらしくなっていることも多いかもしれない。また、私には幼い頃に見た「国鉄」への強いこだわりがあり、それがうるさく感じられているかもしれない。

 しかし、幼いときに父に何度も何度も連れられて見に行った「国鉄」の風景は、私に強烈な印象を植え付けた。そこから、私の鉄道への憧れは始まっている。だから、今でもやはり「国鉄」の残影をついつい追ってしまう。その中で、当時とのギャップを感じてがっかりしたり、あるいは今も変わらない風景を見つけて嬉しくなったりするところに私の「想い」はあると思う。

 ただ、別に「国鉄礼賛!」とか「昭和万歳!」とか言うつもりはない。そんなふうに言えるほど、私は「国鉄」や「昭和」を知っているわけではないからだ。現役の蒸気機関車も知らない世代である。私よりもっと年配の人から見れば笑われそうだ。ただ、古いものにも必ず良いものはあるのだということだけは言いたい。新しいものを容れつつ、古いものも大事にしていきたいという思いである。

 そんな自分の「想い」を大事にしながら、これからもつつましくブログを続けていけたら良いと思っている。そして、一人でも二人でもいいから、私の文章を読んで、少しでも共感したり、懐かしんだり、憧れを抱いてくれたら幸いである。できるだけ、そうなるように努力したい。

 とは言え、私が好きなことを好きなように書いていくつもりではある。私にはもっともっと書きたいことがたくさんある。最近は記事が多くなっているが、それとて無駄な記事は一つもない。別に毎日更新しなきゃという義務感にかられていることもない。今までさんざん放っておいたブログだから、今さら毎日更新なんて、おこがましいことだ。でも、ここ最近は「書きたい!」という気持ちに溢れている。私は、書くことで自分が救われるように思えるからだ。だから、最近の記事の多さは、不安の現れだったのかもしれない。

 そうは言っても、日常の忙しさに縛られて、書きたいのに書けないこともある。だからこれから、ここ最近のような更新頻度が保たれるとも到底思えないが、何とか続けていきたいと思う。そして、私の「レィルウェイライフ」を楽しみたい。

by railwaylife | 2010-04-17 23:03 | その他 | Comments(2)

特等席

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 東中野の線路沿いの桜並木を眺めるなら、どこが一番良いか。

 私が思うに、それは中央緩行線の電車の運転席だと言える。車両の前面窓から桜並木を線路越しに思う存分楽しむことができる。

 中央快速線の電車だと、少し桜並木に近すぎる気がするが、その快速線の線路を間に挟んだ緩行線だと、少し引いた感じでより広角に花を捉えられる。もっとも、快速線の電車と運悪くここで離合してしまうと眺めは遮られてしまうが、対向電車が視界から消えた瞬間に、パッと桜色が現れるのも良い。

 そんな一番の眺めに気付いた私は、この東中野-中野間に乗車するときは、運転席の後ろに陣取ることが多くなった。そして、ここの桜並木を「特等席」で楽しむようになった。緩行線の下りで東中野を発車して、薄暗い山手通りの橋下を抜けると、まず菜の花の黄色、次いで桜の花が飛び込んでくる。そんな眺めに、いつもわくわくしていた。

 しかし、この「特等席」からの眺めを一番楽しめるのは、最もその前面窓に近いところにいる運転士であり車掌ではないだろうか。この桜並木を横切るとき、緩行線の運転士や車掌は、どんな気持ちで乗務しているのだろう。運転士や車掌になったことがないからわからないが、乗務中で緊張していて、桜どころではないだろうか。でも、乗務員の人たちも、この桜の眺めで少しでも心が安らいでいたら良いなと思う。せっかくの眺めである。

 先日の日曜日、私は、この「特等席」の眺めを何度も楽しんだ。中野から東中野へ行き、また東中野から中野へ引き返し、さらに中野から東中野まで乗った。こんなことができるのも、この区間の定期券を持っているからであるが、三回乗ってもちっとも飽きなかった。

 特に、東中野から中野へ向かうときの眺めが忘れられない。風に舞う無数の花びらを、電車が切り裂き掻き分け進んだからである。夕暮れ時の空は曇って、すっかり色を失っていたけれども、花びらは白く白く輝いて舞い上がり、飛び跳ねて、運転席の車窓を彩った。まさにこれが春の夕暮れの景色だなあと思って私は見とれたが、運転士はそんな眺めに少しも表情を変えず、ただただ線路の先を見つめ、乗務していた。そんな姿もまた、印象的であった。

中央本線東中野駅~中野駅にて 2010.4.11



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by railwaylife | 2010-04-14 23:16 | 中央本線 | Comments(2)