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万富橋にて

 東中野の桜といえば、あの線路沿いの桜並木ばかりではない。

 新宿方面からの電車が、東中野駅に着く直前にも花をかすめる。それは、神田川沿いの桜並木だ。

 ただ、並木は線路に沿っているわけではなく、線路と直角に交わる川に沿っているから、車窓を眺めていても花が見えるのはほんのわずかな間だ。それでも、連なる桜にフッと目を奪われる。

 今朝は東中野駅で降りると、そんな神田川沿いの桜並木に行ってみた。すると、想像以上の景色があった。両岸の花が、青黒い川面へ注ぎ込むようにして、いっぱいにせり出していた。その花のシャワー越しを、通勤電車が次々と駆けて行く。花と花の隙に、電車を垣間見るような眺めだ。私はそこに佇み、何本もの電車を見送った。
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 線路をくぐって、反対側にも行ってみる。この神田川に架かる中央本線の橋は、ヤフーの地図によると、万富橋というらしい。その小さな橋の下を抜けると、川沿いには尚も桜並木が続いていた。こちらの桜は片岸だけだったが、それでも十分に見応えはあった。そんな花をかすめて行く電車を、またしばし眺めた。
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 再び線路の下をくぐり、元来た方へ戻る。橋の近くの桜が、電車の車窓へ飛び込むようにして、線路へ向かって伸びていた。それをまた、じっくりと眺めた。
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 川沿いの桜はだいぶ咲き揃っていたけれども、まだまだ花は開くはずである。そんな桜に向かって私は「もっと咲け!もっと咲け!」と念じていた。


中央本線大久保駅~東中野駅にて 2010.3.31



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by railwaylife | 2010-03-31 23:41 | 中央本線 | Comments(0)

はやてのごとく

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 JR東日本では明日まで、新しい東北新幹線の列車愛称募集を行っている。来年春に東京-新青森間にデビューする、E5系新幹線の愛称についての募集である。

 新幹線にはあまり興味がないから、応募する気もあまりなかったけれど、列車の愛称募集と言われると、ついつい考えてしまうものである。

 そこで、東京と青森を結ぶ列車名には何がふさわしいかと考えると、かつてあった上野-青森間の列車名をたくさん思い起こす。特急「はつかり」に「みちのく」に「はくつる」に「ゆうづる」と、急行「八甲田」に「津軽」に「十和田」と、懐かしい名前ばかりだ。

 ただ、それらの列車名は、新しい新幹線の愛称にはふさわしくないような気もする。いずれの列車名も、北への旅愁や哀愁を背負っていたような印象があるが、新幹線はそんなものと無縁なように感じられるからである。特に、新型のE5系の鋭い顔つきを見ていると、余計にそう思う。

 しかし、そんな北への旅愁とか哀愁とかいうものは、東京にいる人間が勝手に思っているものかもしれない。また、昔あった列車の姿を多少なりとも知っている者の思い込みでもあるだろう。だいたい、それらの列車が消えたのはもうひと昔もふた昔も前になるのだから、過去のイメージは抜きにして、まったく別の新しい列車の愛称として用いられるのも良いのかもしれない。

 それに、今回の愛称選びにあたって大事なのは、青森の人たちがどう考えているかということではないかと思う。長年待ち続けた東北新幹線がついに全通し、ついに青森まで到達するわけである。そのときやって来る列車がどんな愛称であるかというのは、青森の人たちにとってとても重要なことだろう。だから、青森の人たちにとって誇りとなるような、そんな愛称が付いたら良いと思う。それで昔の列車の愛称名が復活するというのなら、悪くはない。

 ただ、新しい列車の愛称名としては、今の「はやて」のごとく、抽象的な名前でも良いかなという気もする。考えてみると、新幹線には「ひかり」や「こだま」や「のぞみ」や「やまびこ」などといった、地名でも動植物でもない抽象的な列車名が多い。そういう名前の方が、新幹線には合っているのかもしれない。だから、今の「はやて」の名を継ぐような、そんな愛称でも良いだろう。


 ところで、私はその「はやて」にまだ一度も乗ったことがない。というのも、東北新幹線が八戸へ延伸してから、青森へ行っていないからである。最後に青森へ行ったのは、新幹線延伸直前の2002年8月であり、寝台特急「はくつる」に乗ったときだ。

 それ以来、青森へ行っていないというのは、やはり東北本線が途切れてしまったということが大きく影響しているように思う。新幹線が延伸開業した盛岡-八戸間は第三セクターに移行され、東北本線ではなくなってしまった。そして、東北本線は、東京-盛岡、八戸-青森という二つの区間に文字通り分断された。

 もちろん両区間の線路はつながったままだし、今でも寝台特急や貨物列車は、かつての東北本線の区間を走り抜けているから、実質的には東北本線がつながっていた頃とあまり変わらない。それでも、名目上のこととはいえ、東北本線という幹線が途切れてしまったということは非常に残念であった。

 かつて、東京から青森まで東北本線がつながっていたとき、その営業キロは739.2kmもあり、日本で一番長い路線であった。そのことは、よく幼い頃に見ていた鉄道百科みたいな本に載っていて、東北本線には憧れを抱いたものであった。そして、いつか東北本線を乗り通し、青森まで行ってみたいものだと思っていた。

 そんな憧れの東北本線が、八年前にぷっつりと切れてしまった。それは単に、日本一長い路線が途切れてしまったというだけではなく、東北ひいては北海道への道が遠のいたようにさえ思えた。上野からの特急「はつかり」や「みちのく」や「はくつる」や「ゆうづる」に乗ることを幼い頃に夢見ていた私にとってみれば、東北本線こそが、北への大動脈であるという気がしていたからである。

 もちろん、東北本線が途切れるまでの間に私の幼い頃の夢は叶えられ、青森まで何度も行き来することはできた。ただ、振り返ってみると、夜行列車で駆け抜けてしまったことがほとんどだったように思う。しかし、それは仕方のないことだ。私が東北へ行くようになったのは新幹線開業後のことであり、すでに東北本線には昼行特急がほとんどなく、細切れにされた鈍行列車があるだけだった。そんな鈍行列車を丁寧に乗り継いで旅したこともあったが、できれば昼行特急で東北本線を一気に貫きたかったものである。特急「はつかり」で、上野から青森まで乗ったら、その車窓はどんなものだったのだろうなと思う。

 そういう思い入れのあった東北本線が分断されたことにより、私の北への想いもふっつりと切れてしまった。東北新幹線が八戸に延伸して以来、青森へ行きたいと思うことがなくなったからである。どうしても私は、東北本線をぶった切ってしまった東北新幹線で青森へ向かうということが嫌なようであった。

 しかしそれは、何も青森という土地自体に魅力がなくなったからというわけではない。考えてみれば、青森にはいろいろと行ってみたいところがある。

 大湊線から陸奥湾を眺めるのも良い。下北半島は恐山しか行ったことがないからもっとじっくり見てみたい。青森の街の雰囲気も好きだ。メモリアルシップ八甲田丸には三回行ったが、また行って青函航路に想いを馳せるのも良い。津軽海峡線には乗ったことがあるけれど津軽線は乗ったことがないので、ぜひ三厩まで行ってみたい。そしてその先にある竜飛崎はどんな眺めだろうか。岩木山もまた眺めてみたい。弘前城も訪れたい。五能線は何度も乗りたい路線である。

 そんなふうに想いを巡らせていると、私はふとあることに気付いた。そんなに東北新幹線を使わないで青森に行きたいのなら、寝台特急「あけぼの」で行けば良いだけの話だ、ということである。

 ちょうどこないだから「あけぼの」には乗りたいと思い始めていた。ただ、その「あけぼの」の旅路のことばかり考えていたから、行先の青森に想いが及んでおらず、青森に着いたらどうするか、全く考えていなかった。でも、今の私には、寝台特急「あけぼの」で東京を発ち、青森を巡るという旅が、しっかりと浮かび上がってきた。

 できればそんな旅に、東北新幹線新青森開業の前に出てみたいものだ。新幹線ができれば、青森駅の雰囲気もだいぶ変わってしまうだろう。その前に、青森駅へ行っておきたい。また、八戸-青森間の東北本線が東北本線であるうちにもう一度乗ってみたいと思う。新幹線延伸開業と同時に、その区間はJRから切り捨てられてしまうことになる。

 そんなわけで、新幹線の愛称募集のことから、にわかに「青森へ行きたい!」という想いが募ってきた。しかし、これまで述べてきたように、私の「青森へ行きたい!」という想いは、何も新幹線の延伸開業を心待ちにしてのことではない。地元の青森では、新幹線の新青森開業に伴う経済効果を大いに期待しているようであるが、残念ながら私は、その期待には応えられない。私が行きたいのは「新幹線のない青森」だ。なぜならそこには、幼い私が上野駅で特急列車を見ながらこよなく憧れていた、遠き北の街・青森のイメージがきっとまだ残っているからである。


東北新幹線「はやて」のE2系 東北新幹線東京駅にて 2010.1.23



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by railwaylife | 2010-03-30 23:50 | 新幹線 | Comments(2)

花冷え

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 花冷え、とはよく言ったもので、桜が咲いたのに冷え込むことは毎年よくある。とはいえ、昨日今日の冷え込みはある意味異常であった。せっかく花があっても、花見をする気にはなれないくらい寒かった。

 それでも今朝は、東中野の桜並木にちょっと立ち寄ってみた。前回訪れたのが先週火曜日であったから、そのときからすればだいぶ花は開いていたが、それでもまだまだ咲き揃うには程遠い感じがした。今年の満開になるまでの歩みは、ずいぶんとゆっくりだ。

 こうなると、咲き揃うのが余計に待ち遠しくなる。残った蕾も早く開かないかと思うが、いざ満開になってしまうと、散ってしまうまではあっという間である。それもはかない。

 だから今は、咲き揃うまでの日々をゆっくりと楽しめば良いのかもしれない。


中央本線東中野駅~中野駅にて 2010.3.29



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by railwaylife | 2010-03-29 23:45 | 中央本線 | Comments(0)

山手線の桜

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 この時期、都心のJRの各駅には、盛んに「弘前」や「角館」や「北上」といった東北地方の地名がポスターに踊り、それぞれの場所の美しい桜の写真が掲げられている。そのキャッチフレーズは「新幹線で桜を見に行こう」というものであり、都会の人々の心を北へ北へといざなう。

 人一倍「旅心」が強く、また桜に対しても異様な執着心を抱く私は、そんな文句にすぐ引き込まれてしまう。東北へ旅ができて、その旅先に桜があったなら、どんなにか良いだろうと思う。

 しかし今は、そう簡単に新幹線で旅立てるものではない。ましてや、ポスターの写真にあるような満開の桜を青空の下で眺めることは、なかなかできるものではない。花も咲き揃っていて、天候にも恵まれる日などいうものは、ごく限られているからである。

 それに、たとえ天気予報や開花情報を入念にチェックして「この日だ!」というときがあったとしても、仕事というものに束縛されている以上、うまくその日に旅立てるかどうかはわからない。

 そもそも、東京から東北まで行って桜を見るという行為は、東京と東北で開花時期が違うからできることであるが、それはある意味贅沢なことなのかもしれない。東京ですっかり花が散って「今年の桜も終わったな」と思って虚しくなっているときに、東北へ行けばまた咲き揃った花を見られることになる。つまり、ひと春に二回も満開の桜を経験できるわけであり、それは「贅沢なこと」と言えるだろう。

 そんな「贅沢」は、やはり簡単にできるものではない。だから、たとえわずかな間であっても、ひと春に一回限りのことであっても、自分の住む東京の桜だけをしっかりと楽しもうと思う。

 昨日はそんなことを考えながら、病院へ向かうために山手線に乗って、車窓の花を懸命に探していた。すると、思った以上に桜はあるものだった。しかも、ソメイヨシノではない桜もあり、中にはすでにけっこう咲き揃っているものもあった。

 そこで帰りは、途中で電車を降り、線路沿いの花をじっくりと見て歩いた。街中にひっそりと咲く花だから、見る人も少なかったが、なかなかの咲きっぷりであった。

 これからはソメイヨシノも咲き揃ってくるし、山手線沿線の桜はまだまだ楽しめそうである。だから、今の私には「新幹線で桜を見に行こう」ではなく「山手線で桜を見に行こう」で十分だと思った。


山手線
E231500番台電車 山手線渋谷駅~恵比寿駅にて 2010.3.27
by railwaylife | 2010-03-28 22:11 | 山手線 | Comments(0)

花めぐり

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 桜咲く週末が、晴れの天気となった。今日も病院めぐりの日であったので遠出はできなかったが、通院の合間に、待ちわびた花を眺めるため、近場をあちこち回ってみた。

 だが、花が開いてから寒い日が続いていたため、どこもまだまだ咲き揃うには程遠い状態であった。せっかくきれいに晴れたのだから、もっと咲いていたらどんなにか良かっただろうなと思った。

 都内の桜が満開になるのは来週あたりだろうか。しかし、咲き揃ってから、晴れた空の下で花をゆっくり見られるかどうかはわからない。だから、今日の天気でわずかながらも咲いていた花が見られたことを、幸いだったと思いたい。


東急池上線大崎広小路駅~五反田駅にて 2010.3.27



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by railwaylife | 2010-03-27 23:26 | | Comments(0)

E351系への想い

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 先月に福岡へ、今月には京都と寝台特急「北陸」の旅に出かけ、この二ヵ月でだいぶお金を使ってしまった。もうしばらくは、財布を逆さにして振っても、旅費と名の付くものは出てこないだろう。

 しかし、どんなに旅に出たとしても、どんなに遠くへ行ったとしても、私の「どこか遠くへ行ってしまいたい」という「旅心」は、絶えることがない。折しもこれからは花の季節だから、その「旅心」はなおさら募る。

 こんなときは宝くじでも当たらないかと、他力本願になるが、ちょうど今月初めにグリーンジャンボ宝くじを購入していた。そして気が付くと、その抽籤日が過ぎていたので、数日前に結果を見てみた。

 すると、なんと1万円が当たっていた。これは、私が今までに当籤した金額の中で最高額である。我が家ではいつも、一回につき30枚購入することにしていて、その投資額は9000円と決まっているが、今回は初めて当籤金額が購入金額を上回ったことになる。そして、6等300円の3枚も合わせれば、当籤金額の合計は10900円となった。

 めったに当たらない1万円が当たって、私は自分のくじ運をだいぶ使ってしまったような気もしたが、嬉しいことではあった。とはいえ、旅費にするにはちょっと少ない。10900円では、青春18きっぷも買えない。

 そんなことを考えているときに、荻窪駅で「ツーデーパス」という割引切符の広告が目に留まった。一枚5500円だという。それを見た私は、当籤金にお小遣いから100円玉一枚を足せば、夫婦二人分の「ツーデーパス」が買えるなと、ふと思った。

 しかし、この「ツーデーパス」にせよ、今度新しく発売される「ウィークエンドパス」にせよ、切符の売りが「普通列車乗り放題」のみというところに、どうも魅力を感じない。いくら有効範囲が広くても、優等列車に乗るには、結局別途特急券を購入しなければならないからである。有効範囲内の遠くへ行こうとすればするほど、優等列車に乗らなければならなくなるわけであり、料金も高くなっていく。その分、割安感というものも薄らいでいってしまう。

 その点、昔あった「ハートランドフリーきっぷ」や「ウィークエンドフリーきっぷ」などは良かった。もちろん「ツーデーパス」や「ウィークエンドパス」より割高ではあったが、JR東日本管内の全線で特急・急行・普通列車が乗り放題というのは、なんとも魅力的であった。

 これらの切符では、二日間の有効期間を目一杯を使って、東北地方の奥まで旅することができたし、また二日とも日帰りで乗り回すこともできた。あるとき私は、一日目にきっちりと計画した日帰り旅を実行し、見たいところを見て、値段的にもしっかり元をとっておき、二日目は何の計画も立てずに朝ふらっと東京駅から東北新幹線に乗り込んで、車内で時刻表を睨みながらその日の旅程を立て、気のむくままに旅したということもあった。旅立ってからどこへ行こうかと考えるのは贅沢な気がしたし、一日目で元もとっているから、たくさん乗らなきゃというプレッシャーもなくて、実に楽しかった。そんなことができるのも、JR東日本なら「どこでもどの列車でも」という条件があったからである。

 結局また「昔は良かった」みたいな話になってしまったが、とにかく今の割引切符にはあまり魅力を感じない。そんなわけで、当籤金で出かけるのも諦め、私はおとなしく10900円を銀行に預けた。

 ということで、おそらく当分、旅はお預けとなるだろう。その間、私の「旅心」を持て余さないようにするためには、東京駅か上野駅か新宿駅にでも行って、遠くへ行く列車を指をくわえて眺め、想いだけでもその列車に乗せるしかない。

 そんなふうに、想いを乗せる列車として今一番身近なのが、通勤で利用する中央本線を走る特急列車である。通勤の合間や昼休みにその列車を見て、よく甲州なり信州なりへ想いを馳せているものである。

 ところで、その中央本線を走る特急列車には、二種類の車両がある。特急「スーパーあずさ」に用いられているE351系と、特急「あずさ」や特急「かいじ」に用いられているE257系である。

 この二種類のうち、私が今気に入っているのは、E351系の方である。というのは、E351系の特急「スーパーあずさ」は、下りであれば必ず信州の松本まで行くし、上りであれば必ず松本からやって来るからである。そういう意味でE351系は、より遠くへ行きたいという私の想いを、まさに遠くまで乗せて行ってくれる車両である。

 E257系でも特急「あずさ」として松本や大糸線内まで行く場合があるが、特急「かいじ」だと甲府までしか行ってくれない。もちろん甲州だって魅力的ではあるが、目にしたE257系が特急「かいじ」だったりすると、遠くへという想いが甲府で止まってしまうようで、ちょっと残念ではある。

 もっと残念なのは、帰りがけに時々見るE257系の「中央ライナー」だ。これは高尾までしか行かず、特急車両を見て想いを遠くへ馳せようとする私の気持ちを裏切るような列車である。

 実際には、E351系も「中央ライナー」に充当されているようであるが、私はその姿をまだ見たことがない。だから、E351系を見れば常に松本まで行く「スーパーあずさ」だという思い込みがあって、安心して想いをその車両に乗せることができる。そういうわけで、E257系よりE351系を見たときの方が嬉しい。

 また、車両のデザインの面から見ても、どちらかというとE351系の方が好きだ。特急車両は、やはり運転台が高くなっていないと格好が付かないと思う。昔から国鉄型の特急車両に見慣れている所為でそう感じるのかもしれないが、平面顔のE257系はどうも特急車両らしくない。同じ理由で、253系や255系なども特急車両としての風格があまり感じられない気がする。その点、高運転台のE351系は、旧来の183系などの面影を残していて、いかにも特急車両というイメージがある。

 そんなE351系を、私が日常で目にするのは、朝の出勤時であれば新宿9時26分着の「スーパーあずさ」4号、昼休みであれば新宿12時00分発の「スーパーあずさ」15号である。昼の「スーパーあずさ」15号は、ちょうど荻窪駅まで昼ご飯を買いに行くときによく見かける。ゆっくりと西へ去って行く列車を、私はじっと見つめて想いを込める。そして帰りがけは、運良く定時に退社できたときに目にする、新宿18時00分発の「スーパーあずさ」29号だ。夕闇に包まれた車体に、仕事を終えて解き放たれた私の心を乗せていく。そうやって私は、E351系へ自分の「旅心」を託している。

 だが、そんなE351系も、雑誌「鉄道ファン」によれば「絶滅危惧車」に数え上げられている。まだまだ新しい車両のような気がしていたが、そのデビューは平成5年(1993)だそうで、もう十七年も経つことになる。中央本線の特急は、中央高速バスとの競争が激しいようだから、より強力な後継車の登場によりE351系が引退するというのも、遠い日のことではないのかもしれない。

 とは言え、E351系が淘汰されていくというさまは、今はまだ思い描くことができない。それでも、後継車に徐々に取って代わられ、残り一編成になったりしたら、ネットの掲示板に「今日のE351系は○号に入ってます!」なんていう書き込みがあって、高円寺や阿佐ヶ谷や西荻窪辺りのホーム端にカメラを持ったファンが群れたりするのだろうか。また、E351系の運転最終日になったら、新宿駅の9・10番線ホームに、溢れんばかりのファンが詰めかけたりするのだろうか。そんなことになる前に、E351系が「日常」であるうちに、できるだけ乗っておきたいものである。


E351系特急電車 中央本線新宿駅にて 2010.3.13



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by railwaylife | 2010-03-27 00:11 | 中央本線 | Comments(2)

花待つ心

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 連休明けの昨日朝は、週初めの気分にふさわしく、陰鬱な曇り空が広がっていたが、通勤の電車に揺られているうちに薄日が差してきた。時間に余裕はあるし、それなら途中下車でもしてみようかという気になってきた。向かったのは、いま通勤経路の中で一番のお気に入りである、東中野の桜並木である。

 東京の開花宣言が出た翌日なのだから、まだ花が咲いているかどうかもわからないわけだったが、とにかく桜並木に行ってみた。前日に行った洗足池-石川台間の桜と同様、もはや咲き揃うのが待ち切れない気持ちがあったからだと思う。

 東中野駅で電車を降り、早足で桜並木の通りへ行くと、やはり花はほとんど開いていなかった。咲いている花を見つけるのは、けっこう大変だった。それでも、並木全体が紅色にぼうっと萌え上がっており、花を咲かそうとする木々のものすごいエネルギーを感じた。私は嬉しかった。待ちわびた花が、ついに咲こうとしていたからである。

 この桜並木はかなり有名だし、私も今まで知らなかったわけではない。でも、先月から通勤に中央本線を使い始めた私にとって、ここが「日常」になるのは、今春が初めてのことである。周辺に住み暮らしている人や、ここを通勤で何年も通っている人には、花が咲くのも当たり前の景色かもしれないが、とにかく私は、この桜並木の花の咲くことがすごく嬉しい。すごく待ち遠しい。そんな花が、ついに開いた。

 並木を抜け、私はいつものごとく、跨線橋の上から行き交う電車を眺めた。萌え上がる蕾越しに、通勤電車が駆け抜けて行く。そのさまを、ただただ見送った。そして、もし花が咲き揃ったら、ここの眺めはどんなになるのだろうと、期待に胸を膨らませていた。

 職場に向かい、午前中の仕事を終えると、昼休みには職場周辺の地図を見て、桜のありそうな場所を探した。そして、いくつかの桜を見つけた。そこは線路際からは離れているけれども、花が咲き揃った頃、昼休みにでもぜひ行ってみたいと思った。

 花待つ心で、私は少しうきうきとしてきた。

中央本線東中野駅~中野駅にて 2010.3.23



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by railwaylife | 2010-03-24 23:55 | | Comments(4)

花開く

 本日、東京のソメイヨシノの開花宣言が出された。近所の桜も、わずかながら花を付け始めた。

 気の早い私は、毎年花見をするところへ行ってみた。東急池上線の洗足池-石川台間の切り通しである。もちろん花見にはまだ早過ぎるが、今年の花はどんな具合だろうかと気になって行ってしまった。もはや桜が咲きそろうのを待ち切れない想いもあった。

 洗足池の駅で電車を降り、わくわくしながら石川台の方へ向かって線路沿いを歩いて行くと、見えてきた切り通しの様子が以前と変わっているような気がした。何となく整然としているような感じがあったからである。だいぶ草花を刈ってしまったのだろうか。以前は菜の花ももっと鮮やかだったはずなのに、今年はあまり目立っていなかった。
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 その先の桜並木へ行ってみると、そこもすっきりしたような印象があった。もしかしたら桜の枝を切ってしまったのかもしれない。花を楽しみにしていただけに、少し残念な気もした。それでも、蕾をたわわに付けた枝が、空に向かっていくつも伸びていた。そんな中に、すでに花開いた一輪を見つけた。
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 また、並木の一本は山桜のようで、色は白いけれども花をいくつも付けていた。それは、花が待ち切れない私の心を、いくらか満たしてくれた。
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 とはいえ、花の季節はこれからである。だからここには、満開になったときを見計らって、改めてやって来るつもりである。そして、他の場所でも、できるだけ多くの桜を見たいと思っている。また、列車の車窓にもたくさんの花を眺めることができたなら、何よりのことである。

東急池上線洗足池駅~石川台駅にて 2010.3.22

2007年の桜「白い空に溶ける花
2008年の桜「7000系の春
2009年の桜「池上線の春


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by railwaylife | 2010-03-22 22:43 | | Comments(0)

201系を追う14(補記)

 3月13日のダイヤ改正を契機として、中央快速線の201系がまったく運用に入らなくなったことにより、私の「201系を追う」日々は終わった。

 もちろん、今後201系が引退まで一度も運用に入らないということはないだろうし、もしかしたら定期運用に復帰するかもしれない。しかし私は、たとえそうなったとしても、もう201系を追うつもりはなかった。

 ただ、情報に疎い私は、ダイヤ改正後にこのような状況になることは前もって知らなかったため、気持ちの上では何となく締まりのないまま201系の追っかけを終えることになってしまった。ダイヤ改正の前日、最後に201系の定期運用を見送ったのは、東中野の早咲きの桜越しであったが、そのときは「これで最後」という想いもまったくなかった。だから、自分なりに何らかの「締め」をきちんとしたいという気はあった。

 そんなことを考えながらこの連休を迎えたが、私はあるブログで、ダイヤ改正後の201系の様子を知ることになった。

 運用を外れた201系は、ねぐらの豊田車両センターで、二編成仲良く並んで留置されているということであった。そしてその様子は、車両センターの敷地外から見ることができるようであった。

 それならば、最後に一目201系を見に行こうかと思ったが、豊田までは少し遠いように感じられ、わざわざそこまで行くのはどうかなあという気がした。また、地図で見てみると、豊田車両センターは本線の豊田-日野間に隣接していたが、豊田駅からは少し歩かないといけないようでもあり、そこまでして行くほどのものだろうかとも思った。

 ただ、地図をもう少し広げてみると、京王線の平山城址公園駅からも意外と近いことがわかった。豊田駅から歩くのと同じくらいの距離のように感じられた。それなら、久しぶりに京王線に揺られて、ぶらぶらと豊田車両センターまで行ってみるのも良いかなと思い直した。

 そこで今日の午後、思い切って出かけてみた。朝は荒天だったものの、次第に天気が回復してきたということも、行く気になった理由である。

 京王線を西へ向かうには、渋谷から井の頭線で明大前に出て、そこから京王線に乗り継ぐのが常道であるが、今日は新宿まで出て京王線に乗ってみた。新宿までは定期券もあるので、井の頭線経由と運賃も変わらない。

 新宿から準特急に乗り込んで、久々に京王線の豪快な走りに身を委ねていると、たちまちに眠くなってしまい、目が覚めると府中であった。ここで各駅停車に乗り換える。

 府中を出て、分倍河原を過ぎると、車窓風景はだいぶ開放的になってくる。そして、碧い多摩川を渡れば、空も広くなって、心も開けてくる。

 実は京王線の明大前-高幡不動間は、大学時代の通学路であり、四年間通った道だ。だから、懐かしい想いもあった。ただ、よく乗り降りしていた高幡不動の駅はだいぶ印象が変わっていた。

 その高幡不動から二駅先が、下車駅の平山城址公園である。駅を出ると、ずいぶんとのどかなところであった。

 歩き始めるとすぐに、滝合橋という橋で浅川を渡る。
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 多摩の風に吹かれながら清らかな流れを越え、さらに通りをまっすぐ進むと、JR東日本の豊田住宅に行き当たる。その裏側が豊田車両センターだ。ようやく車両の姿が見えてきた。
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 201系がいるのは一番奥のようなので、車両センターの周囲をぐるっと歩いて行く。すると、留置線にずらりと並ぶ車両群が見えてきて、その一番奥にオレンジの車体が見えた。どうやらすぐそばまで行けるようであった。

 201系がよく見える場所は、農園沿いの細い道であった。すでにそこにはカメラを持ったファンが多く訪れていて、賑わっていた。数えてみると、二十人くらいいて、ちょっとした「撮影会」状態であった。

 201系は金網越しに見ることができた。
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 それで、カメラを持ったファンたちは、みな金網に張り付くようにして201系を狙っていた。レンズの大きな一眼レフを持った人は、そのレンズをぴったりと金網に付けている。私はレンズの小さなコンパクトデジタルカメラを取り出し、金網の穴にレンズをすっぽりと収めて、201系を狙った。

 二編成並んだ201系は、たまたまなのかわざとなのか、両方とも特快のマークを誇らしげに掲げていた。
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 今まで本線上で眺めていたときは、あまりじっくりと見る時間はなかったが、今日は気の済むまでオレンジの車体を目に焼き付けることができた。
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 他のファンも、思い思いにカメラを向け、201系の姿を記録していた。わざわざここまで来るということは、きっと201系に対してかなりの思い入れがあるのだろう。私などは「にわかファン」である。

 いつまで眺めていてもきりがないので、しばらくしたところで私は思い立ち、その場を去ることにした。今度こそ、中央快速線の201系を見るのは「これが最後だ」という想いがあった。もう、201系を見ようと思って見ることはない。これから、もしかしたら通勤の途上で201系にばったり出会うことがあるかもしれないが、それは偶然のことであり、今日のように「これが最後」という気持ちは籠められないだろう。だから、今日で自分の気持ちを締めることにした。

 来た道を戻って、平山城址公園駅から各駅停車に乗り、高幡不動で後続の準特急に乗り換えた。そして、明大前から井の頭線で渋谷に出た。まさに大学時代の通学経路を辿る形になった。私は、大学時代によく聴いていた曲をipodで流しながら昔を偲んでいた。

 帰りがけに書店へ立ち寄ると、鉄道雑誌の最新刊がずらりと並んでいた。今回のダイヤ改正後の車両運用を特集した雑誌があり、その誌面には「次はこの車両が危ない」とか「この車両は今のうちに記録を」とかいったコメントが踊っていた。昨今の「惜別ブーム」というか「葬式ブーム」を煽るような形になっている。私もそんな「煽り」に踊らされている一人であるが、正直もう付いていけない気がした。あれもこれもと言われても、いちいち追っていられない。

 やはり「惜別」とは、本当にその車両に思い入れがあってこそ、成り立つものであると思った。


中央快速線201系電車 豊田車両センターにて(敷地外より撮影) 2010.3.21



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by railwaylife | 2010-03-21 23:56 | 201系 | Comments(0)

しんがり

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 私が幼い頃から、家で父がお酒に酔うと、必ず歌う曲がいくつかあった。アイジョージの「赤いグラス」や、都はるみの「北の宿から」や、小林旭の「昔の名前で出ています」などであり、幼少ながらも私はそれらの曲の歌詞をいつのまにか覚えてしまうほどであった。

 そんな父のレパートリーの中で、私が最も強烈な印象を持ったのが、石川さゆりの「津軽海峡冬景色」である。

 どうして最も印象深いかと言えば、何のことはなくて、単に歌詞の中に列車が出てくるからである。しかし、その列車の出てくる冒頭の歌詞が、私にはまさに憧れのシーンであった。

 上野発の夜行列車おりた時から 青森駅は雪の中

 当時、よく父に上野駅へ連れて行ってもらっていた私は、その上野駅に発着する東北方面行きの特急列車にただならぬ憧れを抱き、いつの日か東北地方へ行ってみたいと強く思っていた。そして、そんな特急列車の中で、最も遠くまで行くのが、青森行きの「はつかり」であり「みちのく」であった。だから、青森駅は私の憧れの「究極」の場所であったと言ってもよい。

 そんな青森駅が、父の歌う「津軽海峡冬景色」には、冒頭から出てくる。これに惹かれないわけはなかった。当時の私は、青森はおろか東北地方にも足を踏み入れていなかったから、青森駅の印象などというものは、それこそ冬の上野駅へ到着する特急列車が付けてくる雪のように真っ白であったが、この歌を聴きながら、何とか青森駅の情景を描こうとしていたものである。

 また、東北方面の夜行列車の名前を覚えるようになってからは、歌詞に出てくる夜行列車がどの列車なのだろうと考えることもあった。当時は、青森へ行く「上野発の夜行列車」がたくさんあった。寝台特急「はくつる」か「ゆうづる」か「あけぼの」か、はたまた急行「津軽」か「八甲田」か「十和田」か、などと、選択肢がいろいろあっただけに、想いを巡らせるのも楽しいものであった。



 それから歳月は流れ、今や青森行きの「上野発の夜行列車」は、寝台特急「あけぼの」ただ一列車のみとなってしまった。いや、そう言うと何だか寂しいが、あの「津軽海峡冬景色」の時代から三十年以上経った現在でも、青森行きの「上野発の夜行列車」が残っているということ自体が、実は奇跡なのかもしれない。

 ただ、そんな唯一無二の青森行き寝台特急「あけぼの」も、実は純粋に上野と青森を結ぶという使命を帯びているとは言い難いところがある。というのも、列車は高崎・上越・信越・羽越・奥羽経由となっており、青森までえらい遠回りをしているからである。東北地方に新幹線が開業するたびに、その新幹線が通るルートを避けるようになって、現在の経路に落ち着いたわけだが、それにしてもずいぶんと迂回する形になっている。だから上野-青森間の所要時間もかなりのものである。

 八年前まで、上野と青森の間を東北本線経由という最短経路で結んでいた寝台特急「はくつる」の所要時間が約10時間であったのに対し、今の「あけぼの」は約13時間もかかり、三時間もの差がある。もっと言えば、新幹線「はやて」と特急「白鳥」を利用すると、上野-青森間はわずか約4時間で到達できる。

 こうした現実を考えると、寝台特急「あけぼの」で上野から青森まで乗り通すのは、ある意味「酔狂」であると言える。ほとんどの利用客は、だいたい秋田・大館辺りまでで降りてしまうのではないだろうか。実際、この「あけぼの」の役割としても、首都圏と青森地方を結ぶというよりも、山形の庄内地方や秋田地方を結ぶという意味合いの方が強いように思う。

 しかし、物好きな私は、以前に寝台特急「あけぼの」を上野から青森まで乗り通したことがある。ただ、上野駅停車中に車掌が検札に来て「青森までですね!」と大声で言われたときには、周囲の乗客に私が物好きな客であることが知れ渡ってしまったように思い、何となく気恥ずかしくなったものである。

 実際、この「あけぼの」を乗り通して青森まで行くのは、けっこう「乗り応え」のあるものであった。もとより寝台特急が好きな私であるから、飽きることはなかったが、青森駅に着くときには「やれやれ、やっとか」という思いがあったものである。そのとき私の頭の中に流れたのは、大滝詠一の「カナリア諸島にて」という曲の一節である。

 防波堤の縁取りに流れてきた心は 終着の駅に似てふと言葉さえ失くした

 寝台特急「あけぼの」で、青森駅に着くときの気持ちは、まさにふと言葉を失くすような感覚であった。そんな感覚を、また味わってみたいなあと今は思う。

 ところで、この3月のダイヤ改正で寝台特急「北陸」が廃止され、急行「能登」が臨時列車化されたことにより、急行「能登」が走らない日には、寝台特急「あけぼの」が「上野発の夜行列車」の「しんがり」を務めることになった。そういう意味では、寝台特急「あけぼの」の役割はさらに重要なものになったのではないかと思ったりしている。

 それにしても、この「あけぼの」が発車する21時15分以降、上野駅から発車する夜行列車が一本もない日があるとは、何とも虚しい感じがする。急行「能登」が走らない日の、21時15分を過ぎてからの上野駅は、何と空虚なことであろうか!と思う。旅立つ夜行列車のない、夜の上野駅なんて、考えたくもない。

 そんな空虚な時間がこれ以上長くならないよう、寝台特急「あけぼの」には、できるだけ長く生き残ってもらいたいものだと思う。

寝台特急「あけぼの」 東北本線上野駅にて 2010.2.18



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by railwaylife | 2010-03-21 00:10 | 寝台特急 | Comments(2)