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東京駅10番線で想うこと

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 年明けから新しい仕事に就いた。病気もあり仕事をしていない期間が長かったから、通勤をするのもひと苦労だし、仕事では慣れないことも多くて大変だ。なかなか自分に余裕のない状態だ。

 そんな中、昨日は仕事帰りに書店へ立ち寄った。鉄道雑誌を見てみると、寝台特急「富士」「はやぶさ」の惜別特集が組まれていた。これまでの両列車の歴史などが掲載されているのを眺めていると、いよいよ廃止が迫ってきたんだなあという実感が強くわいてきた。そして、何だかつらくなってきてしまった。

 今日は仕事が休みだったので、夕暮れの東京駅へと出かけてみた。寝台特急「富士」「はやぶさ」の旅立ちを見送るためである。廃止の正式発表があって、一ヵ月余り、そして実際の廃止まで二ヵ月を切ったこともあり、東京駅10番線は大変な人出であった。老若男女が入り乱れて、思い思いに、青き列車を眺めていた。しかしその様子は、賑やかと表現するにはちょっと違和感があった。

 集まった人々の思いには、何よりもこの列車への惜別の念があるからだろう。だから、賑やかというのは憚られた。

 惜別の思いではなく、皆がこの列車に対して、畏敬の念や憧れだけを抱いて集まっていたらどうだろう。それだけ、この列車が人々を惹きつける存在であったならどんなにかこのホームは華やかで賑やかであっただろうと思う。でも、今は違う。それを想うと、10番線の喧騒が、とても空虚なものに感じられて仕方なかった。

 18時03分、列車が動き出すのを見送った。去って行く車両の一つ一つを目で追っていくと、ほぼすべての区画に乗客があり、ほとんどすべての個室が埋まっていた。そうやって旅立って行く列車を、ホームでは大勢が見送っている。閑散とした空気の中を、ひっそりと旅立って行く今までの光景は、もうない。何かもう、この列車は別の存在になってしまったかのように想われた。廃止の日まで、こうした様子が続くのだろう。

 列車が走り去ると、蜘蛛の子を散らすように、人々の波も消えた。喧騒に呑まれて、私は列車の旅立ちに想いを込めるのを忘れていたことに気付いた。でも、ここでこうして寝台特急「富士」「はやぶさ」を見送るのも最後だったかもしれない。だが、そこには私の見慣れた旅立ちの風景は、もうなかった。

 もちろん、今までの閑散とした旅立ちが、風情があって良かったなどとは思わない。できれば多くの乗客が、多くの人に見送られて旅立って行く方が良い。でもそれは、かつてのように、本当にこの列車が人々の足となり、あるいは憧れの的となって賑わっていればこそのことである。東京から西へ旅立つブルートレインが、そんな存在であり続けてほしかったと思う。

寝台特急「富士」「はやぶさ」 東海道本線東京駅にて 2009.1.24



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by railwaylife | 2009-01-24 20:57 | 寝台特急 | Comments(0)