カテゴリ:東京メトロ( 136 )

幻の東海道を往く

 江戸時代の東海道と言えば、品川から川崎、神奈川、保土ヶ谷、戸塚、藤沢と、海沿いを通る道筋であったが、その東海道をいっとき、内陸へ付け替えるという決定がなされたことがあったという。幕末の文久三年(1863)のことである。

 この前年、横浜で生麦事件が起きている。薩摩藩島津久光一行の列にイギリス人四人が乱入したため、薩摩藩士がそのイギリス人に切りかかった事件である。

 これをきっかけにイギリスは幕府と薩摩藩に賠償要求を迫ったが、この時にイギリス軍艦十二隻が横浜に入港した。これではいつ戦争になるかわからないということで、東海道のルート変更が計画された。その名目は「海岸防御のため」というものであった。

 計画によると、江戸から世田谷、二子、溝口、荏田、長津田、下鶴間、上鶴間、国分、厚木、田村、平塚に至るのが新しい東海道のルートであった。現代で言えば都心から東京メトロ半蔵門線、東急田園都市線、小田急江ノ島線、相鉄本線、相模線、東海道本線を経由して平塚に至るルート、と言えば良いだろうか。これはかつてあった矢倉沢往還のルートでもある。

 幸い、幕府がイギリスへ賠償金を支払ったため、江戸周辺が戦場となることはなかった。そのため、この東海道の付け替え計画も実行されることはなく幻に終わった。付け替えに関して、反対の声も多かったようである。

 でも、こういう幻の計画のことを知り、もしかしたら今こうやって田園都市線が走っているあたりが東海道の道筋になっていたかもしれないと考えると、風景がまた違って見えてくるものである。
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by railwaylife | 2019-05-19 23:35 | 東京メトロ | Comments(0)

あたらしもの好き

 レアな車両、珍しい列車、そんなものは追いかけなくていい。

 それよりも、普段あたりまえに走っている列車がいつも通り無事に走っていることが何よりありがたいんだ。

 そんなふうに自分に言い聞かせてはいるけれど、結局は新しく走り出した車両なんかが気になって、ついつい見に行ってしまう。

 この車両だって、わざわざ見に行ってしまった。
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 まだ走り始めたばかりの東京メトロ丸ノ内線の新型2000系である。

 でも、これを見に行ったおかげで、同じ場所で期せずしてこういう自分の本当に見たかった風景を得られてしまうのだから、新型を見に行こうと思う気持ちも、まんざら悪いもんじゃないなって思ったりしている。
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東京メトロ
2000系・02系電車 東京メトロ丸ノ内線四ツ谷駅にて 2019.4.25
by railwaylife | 2019-05-11 22:30 | 東京メトロ | Comments(0)

後継発表

 3月末に発表された東京メトロの中期経営計画「東京メトロプラン2021」によると、2020年度から有楽町線・副都心線に新型17000系電車を導入する予定だという。これでいよいよ古参の7000系が置き換えられることになる。

 普段から副都心線・東急東横線で7000系をよく利用しその古さを知っている身からすると、7000系の置き換えは時間の問題だと思っていた。だから、この17000系導入の発表に驚きはない。

 ただ、いざ17000系の導入や7000系の淘汰が始まったら、落ち着かなくなるんだろうなと思っている。

 17000系の甲種輸送の話に始まり、どこで試運転が始まっただの、初めて東横線に乗り入れただの、営業運転はいつから始まるだの、そんなことがずっと気になるのだろう。そして今度は、7000系のどの編成が運用を離脱しただの、ドアの窓が小さい編成はもういなくなっただの、扇風機のある編成はもうないだの、そんなことも気になるのだろう。しまいには7000系の運用を調べ出して、最後の一編成だとか言って追いかけ回すのだろう。

 そんなふうにして車両の置き換えに躍らされる自分が、今は愚かしいと思う。

 でも、東横線と副都心線の直通運転が始まって以来ずっと7000系を利用してきたのだから、その最後までしっかりと見届けられるようでありたいなとも思う。

 何にせよ、今からこの車両と出会う機会の一つ一つを、大事にしていきたいとは思っている。
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東京メトロ
7000系電車 東急東横線多摩川駅~新丸子駅にて 2019.4.29
by railwaylife | 2019-05-06 23:25 | 東京メトロ | Comments(0)

花見メトロ2018

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 いつの春からか、桜花と東京メトロの車両のある風景を「花見メトロ」と勝手に呼ぶようになった。

 2018年も、その「花見メトロ」の風景を目にすることができた。


東京メトロ
7000系電車 東急東横線多摩川駅~新丸子駅にて 2018.3.27
by railwaylife | 2019-04-21 11:30 | 東京メトロ | Comments(0)

春な忘れそ

 年始から多忙にしているうち、いつの間にか年度末になっていて、一段と忙しくなってきた。その所為でこのブログも、今月に入ってから放りっぱなしであった。

 だが、そうしている間にも季節は春へ向かって着実に進み、さまざまな花が咲き出している。多忙な日常の中にあると、そういう花の咲き散りさえ見逃してしまいそうだ。

 そんなことではいけない。

 この春も、移ろいゆく風景をしかと眺め、その変化を感じ、楽しみ、ありがたく想いたい。決して季節の変化を見逃してはならない。春を忘れてはならない。

 そんな強い想いを込めて今日、この風景を見送っていた。
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by railwaylife | 2019-03-17 20:30 | 東京メトロ | Comments(0)

立ち枯れの向こう

 こういう立ち枯れの草も、私にとっては花と同じように季節の変化を感じられる大事なアイテムである。
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 その立ち枯れの向こうを電車が往くのを見送り、この場所の冬という季節を改めて感じていた。


東京メトロ
10000系電車 東急東横線多摩川駅~新丸子駅にて 2019.1.19
by railwaylife | 2019-02-11 12:40 | 東京メトロ | Comments(0)

5扉車の終焉

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 東京メトロ日比谷線では現在、03系から13000系への置き換えが進んでいるが、すでに03系の5扉車はすべて13000系に置き換えられたそうだ。知らない間に、5扉車が消滅していた。

 混雑緩和の切り札として導入された多扉車であるが、ホームドアを設置する上でのネックとなり、日比谷線に限らずどの路線でも淘汰が進んでいる。今は混雑緩和より乗客の安全を大事にする時代である。もはや多扉車は無用の長物というわけである。

 日比谷線の5扉車にはけっこう乗る機会があったが、好きな車両であった。5扉車の何が良いかというと、扉が多い分、一両あたりのドア際の席が多かったことである。人は何かと端の席に座りたがるものである。その、端に座れる機会の多いことが5扉車のメリットであった。たしか始発の中目黒駅では5扉のうち3扉しか開かない仕組みになっていた。そこで、列に並んで5扉車に乗り込んだら、開いていない扉の際の席を目がけたものである。そんなことも、今では過去の思い出になってしまった。

 冒頭の写真は、だいぶ前に東横線の多摩川橋梁で捉えた03系5扉車である。

 せっかくの5扉車なんだから、それとわかるように撮ればいいものを、手前の夾竹桃がかかって扉の一部が隠れている。何でわざわざ扉を隠してしまったのだろうか。夾竹桃の花がたくさん咲いていればまだ良かったけれど、花はショボショボである。

 でも、こんなふうに5扉車を撮ったこともまた、私の思い出の一つである。


東京メトロ
03系電車 東急東横線多摩川駅~新丸子駅にて 2012.9.16
by railwaylife | 2019-01-09 00:00 | 東京メトロ | Comments(0)

次のターゲット

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 東京メトロでは今年、千代田線6000系の16000系への置き換えがついに完了した。日比谷線の03系から13000系への置き換えも半分以上進んだだろうか。続いて、丸の内線での02系から2000系への置き換えも始まったが、次なる置き換えのターゲットは副都心線・有楽町線の7000系になるだろうか。車体の更新工事がされているとはいえ、登場からすでに四十年を越えた車両もある。いつ置き換えられてもおかしくない形式である。

 ただ、東急東横線・東京メトロ副都心線を生活路線として使っている私からすると、この7000系をごくあたりまえのようにほぼ毎日利用していて、置き換えと言われても何だかイメージが湧かない。とは言え、いよいよ置き換えが始まるなんていうニュースに接したら「私の日常にあたりまえのようにあったこの車両を可能な限り記録しておきたい」とか言って慌て出すのだろう。

 そうならないよう、日々この車両のある風景を大事に想っていきたいなと思っている。


東京メトロ
7000系電車 東急東横線学芸大学駅~都立大学駅にて 2018.10.13
by railwaylife | 2018-12-19 23:50 | 東京メトロ | Comments(0)

たそがれの灯

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 UVカットガラスやLEDライトを備えた車両が増えた所為で、たそがれの空の下や夜闇の中で窓明かりの目立つ列車はだんだん減ってきている。環境保護といった観点からはもちろんそういう設備のあった方が良いのだが、列車の灯が目立たなくなるのはちょっと寂しい。



 そういえば、列車の灯で思い出す光景がある。

 深夜に見送るブルートレインである。

 旅先で、線路際にあるホテルに泊まったとき、何度か見たことがある。

 客車の側面に取り付けられた行先表示の白い光が闇の中で等間隔に連なり、ゆっくりと動いていく。すでに開放寝台のブラインドは閉められ室内の灯はもう漏れて来ない。それでも、所々に灯の見えることがある。個室寝台の窓明かりだ。あの個室の乗客はまだ寝ていないんだな、なんて思いながら見送る。

 やがて最後尾の赤いテールランプが見えてくる。そしてその間にテールマークの光が淡く浮かび上がる。遠目にはもちろん文字やイラストは見えないが、地の色でどの列車かわかる。そのときに、ちょっとだけ安心感が得られる。

 でも、闇夜に見るテールランプの色は、なぜあんなにも物悲しいのだろう。小さくなっていくその赤色を見送るとき、なぜ自分はあの列車の乗客ではないのかと寂しくなってくる。そして、列車の灯がすっかり見えなくなるまで、そのゆくえを追う。それは、またあの列車に乗りたい、ブルートレインに乗りたいという想いを強くしていく瞬間でもあった。

 いま、そんなふうにしてブルートレインを見送ることはできない。

 でも、列車の灯を見送るときには、そんな闇夜のブルートレインの光景を鮮明に思い出すことができる。


東京メトロ
7000系電車 東急東横線多摩川駅~新丸子駅にて 2018.7.13
by railwaylife | 2018-08-12 20:50 | 東京メトロ | Comments(0)

副都心線全線開業十年

 今日、2018年6月14日で、東京メトロ副都心線は、全線開業十周年を迎えたそうだ。

 ちょうど十年前、副都心線は全線開業したことにより、私にとって身近な渋谷駅まで来るようになったが、現在は東横線の渋谷駅ともなっている地下の駅に、開業当初はほとんど行くことがなかった。だから、副都心線を介して渋谷の駅まで東武や西武の車両が乗り入れて来ていることも、あまり意識していなかった。

 それが今では通勤でも利用するようになり、まさに私の生活路線の一つとなっている。

 そんな馴染みの深い副都心線であるが、この路線の名称については当初、かなりの違和感があった。

 私の記憶なので定かではない部分もあるが、私が子供の頃、たしか副都心というと新宿のことを指していたと思う。当時は都庁が有楽町にあり、そこがまさに都心であったのだが、将来的に都庁が新宿へ移転することも踏まえ、有楽町周辺と並んで発展してきた新宿を副都心と呼んでいたと記憶している。

 それが都庁の移転を機に、新宿は新都心と呼ばれるようになったと思う。そして副都心という呼称はあまり聞かなくなった。ただ、湾岸の埋め立てが進み、臨海部が発展してくると、臨海副都心なんていう言い方はしていた。

 それでだんだん新宿と副都心が結び付かなくなっていたのだが、突如地下鉄の路線名として再び新宿に副都心の呼称が現れることになった。また、この路線名としての副都心には新宿に加え、渋谷や池袋といった街も含まれていた。そういう副都心をつなぐ路線だから副都心線となったのだそうだ。

 新宿を副都心と言うのは何か使い古された感じだったし、渋谷や池袋を副都心と呼ぶのは初めて聞くような気がした。だからこの路線の名前にはどうもしっくり来なかった。

 ただ、都庁が新宿に移転してだいぶ経った今でも、東京の都心と言えばやはり有楽町・丸の内・八重洲・銀座・日比谷・霞ヶ関あたりを指すように思う。特に東京駅周辺の最近の発展には目覚ましいものがある。そうした真の都心に対して、新宿や渋谷や池袋は、やはり副都心なのかなと今は理解している。そういう街をつなぐ路線として副都心の名を掲げているのは、誇らしいことなのかもしれない。

 ところで、この副都心線という名称が登場した頃は、パソコンで「ふくとしんせん」と入力して変換しても、なかなか一発で「副都心線」と出て来なかったものであった。最初に変換候補として出てきたのは「服と新鮮」であった。思わず「服と新鮮な何なのよ」とつっこみたくなったものである。また、あるときは「拭くと新鮮」と出てきた。おそらく直前に「ふく」を「拭く」と変換していたのだろう。このときは「あぁ、たしかに拭くときれいになって新鮮だよねぇ」と妙に納得してしまったものであった。

 そんな誤変換も、今はほとんどなくなった。全線開業から十年が経ち、この路線の名称もすっかり定着したと言える。
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by railwaylife | 2018-06-14 23:15 | 東京メトロ | Comments(0)