9000系の21年

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 東急東横線の主力として活躍する9000系車両は、すでに登場から21年の時を経ている。最初の編成が走り始めたのは、私がまだ小学生の頃である。手持ちの「昔の写真」の中に、登場間もない9000系の試運転姿がある。元住吉駅で撮ったものだ。どういうわけか、このときは9000系が試運転をしているという情報を聞きつけ、友達とカメラを持って出かけたものである。写真の9000系はまだ新しくピカピカだ。ちょうど21年前の1986年5月13日に撮っている。

 身近な路線での新車の登場は、衝撃的なものであった。まず角型の大きなヘッドライトが目を引いた。それから車内では、車両の端にボックスシートが設けられていたのに私は目を輝かせた。ボックスシートといえば、国鉄の長距離列車にしかなかったものである。それが、近所を走る東横線の車両にも付いた。これは大きなことであった。

 私は登場時から、9000系のボックスシート窓際に座って渋谷駅から桜木町駅まで乗り通すことを夢見ていた。渋谷駅から通い慣れた区間を通り、多摩川を渡って神奈川県に入り、最後には横浜の港が見えてくる。そんな車窓風景を、ボックスシートで楽しんでみたいと思っていた。だが、結局それは未だに実現していない。もっとも、今では東横線が桜木町駅に行くこともなくなり、車窓から横浜港は見えなくなってしまった。

 9000系で他に特徴的なのは走行音である。VVVF制御装置を用いたため、発車時の駆動音が人間の裏声のように甲高かった。子供の頃はよく電車の走行音を真似して遊んでいたが、さすがにこの9000系の駆動音は真似できなかった。

 やがて9000系は量産され、東横線では14編成にまで勢力を増やしたが、今は新参の5000系に最大勢力の座を奪われてしまった。それでも東横線の主力であることには変わりない。まだまだ東横線で頑張ってほしいものである。
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 ただ、最近の9000系は、さすがに顔が薄汚れてきている。


12枚目 東急9000系電車(9001F) 東急東横線元住吉駅にて 1986.5.13
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枚目 東急9000系電車(9004F) 東急東横線新丸子駅~武蔵小杉駅にて 2007.5.8
by railwaylife | 2007-05-13 23:26 | 東急9000系 | Comments(0)
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