むかしの東横線

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 子供の頃、十年とか二十年という歳月がどのくらいの長さのものなのか、よくわからなかった。今の年齢になって、実際にその年月を過ごしてみると、あっという間だということがわかった。


 デジタル化した昔の写真を初めて載せたいと思う。写真を年代別に載せていく気はなく、その日の気分で選んでいくつもりである。最初はやはり地元の東横線の写真が目に付いた。今から二十年ちょっと前に、元住吉検車区を撮った写真である。

 東横線の車庫である元住吉検車区は、渋谷駅方から乗ると元住吉駅を過ぎたところにある。両側の車窓に何本もの側線が広がり、何編成もの車両が停まっている。どれも見慣れた車両だが、どんな車両が停まっているのかいつも楽しみであった。私にとって元住吉検車区は、子供の頃から横浜方面へ出かけるときの最大の見所であった。

 この写真は、そんな元住吉検車区を撮ったものである。元住吉駅で降りて、日吉駅方面へ少し歩くと東横線を跨いでいる道路がある。これを木月陸橋という。この橋の上から、写真のように検車区を見下ろすことができた。鉄道少年にとってはたまらない場所であった。

 手前に見える2編成が7000系という車両である。今はもう存在しない。日比谷線直通用の車両であったが、急行にも使われていたことがある。私はあまり好きな車両ではなかった。真ん中に停まっている赤帯の2編成が当時最新鋭の8090系(8000系第16次車)で、この頃は急行専用だった。最寄りの駅が急行通過駅だったこともあり、私にとっては乗るより見る車両であったという気がする。その奥に見えているのが8000系である。当時は東横線の最大勢力で、当たり前のように見られた。ここに写っている車両で、今東横線に残っているのは8000系だけだ。その8000系も今、東横線ではもはや風前の灯である。この写真に見られる車両のすべてが、東横線の「過去の車両」になろうとしている。

 そして、この写真を撮った木月陸橋も今はない。昨年、東横線が高架化されたからである。それまで線路を跨いでいた道路は地上に下り、現在は立体交差が逆さまになっている。線路が高架化されたため、車窓から検車区を眺めることも前より難しくなっただろう。私にとっての東横線最大の見所は、魅力が減ってしまったように思う。


東急
7000系・8000系・8090系電車 元住吉検車区にて 1986.5.13
by railwaylife | 2007-03-24 23:59 | 昔の写真 | Comments(0)
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