搭乗

 夏季休暇を利用して、嫁と二人で、嫁の母方の実家のある山口へと向かう。今回もタイトな日程なので、往復は飛行機である。先月の帰福と合わせて、この一ヵ月での搭乗は実に四回を数える。飛行機が苦手な私としては異例のことである。今回もまた、旅の初めから緊張する。
 出発する羽田空港には早めに着いた。ロビーのベンチでぼんやりする。落ち着かない気分だ。歯医者で治療の順番を待つときの心地に似ている。
 リムジンバスで航空機に近付く。近くの席のおばさんの「こんな大きいのが空を飛ぶっていうのは許せないよね」という発言に思わず賛同する。だんだんと表情が硬くなっていく私を見て嫁が苦笑する。
 乗り込んで離陸のときを待つ。今日は日が落ちてからの出発である。この時間に離陸するなら、新千歳へ向かうのがいいなあと、ふと思う。新千歳に着いたら札幌駅まで出て、夜行列車に転がり込む。一夜明けたら、列車が見知らぬ原野の中を走っているだろう。いつかやってみたい。
 中央の席なのでスクリーンが真正面だ。滑走路へと進んで行く光景が目の前に大きく映し出される。思わず姿勢を正して画面に見入る。それを見てまた嫁が笑う。できれば離陸前に寝付いて、目が覚めたら着陸していたというのがベストだが、そうはいかない。
 離陸の瞬間は目を閉じていた。しかし、体では宙に浮かぶさまを感じ取れる。上から押さえつけられるような衝撃があった後、ふわっと体が浮かぶのがわかる。その心地が嫌いだ。座席に就いているのに体だけがふっと浮くような感触がある。
落ち着いたところで、買い込んだ空弁を嫁と二人で食べる。機内で飲み食いができるようになったのは、私にしてみれば大きな進歩だ。
 一時間あまりで山口宇部空港に着陸となる。ちょうど一年前の前回、ここへ着陸するときは雷雲に遭い、上空を旋回するという恐怖を味わったが、今回はすんなりと着陸した。緑色に光る滑走路に着地する。
 空港の到着ロビーというのは、大小の差はあれ、どこも画一的で、いったいどこに着いたのか、実感がわかない。目に入る山口県内の看板に違和感がある。
 空港からは嫁の運転するレンタカーで、実家のある防府市内へ向かう。一時間弱で到着した。二人の叔母様と、嫁のお姉様にお会いし、また緊張した。
 それにしても、山口県に来たという実感が全然なかった。
by railwaylife | 2006-08-13 23:50 | | Comments(0)
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