ここ数年、欠かさず眺めてきた井の頭線沿線の紫陽花の盛りを、この2016年は見逃してしまった。
六月の終わりに訪れたときは、もうすっかりしおれ、色を悪くしていた。
以前はそういう「枯れ紫陽花」も紫陽花のうちなのだから、と思い熱心に眺めたこともあった。だがそれは、花の盛りの風景をしっかりと眺めていたからこそそう思えるものであった。花をあまり眺めることのできなかった今年は、その「枯れ紫陽花」まで楽しもうという気になれなかった。
それで「枯れ紫陽花」の井の頭線の風景を目にしたときには、悔しさと申し訳なさがあった。せっかく咲いていた紫陽花に申し訳ないという気持ちである。
それでも、沿線の名所をあちこち歩いて、ようやく自分が求めていたような「紫陽花井の頭線」の風景を、一つだけ得ることができた。
来年はじっくりと紫陽花井の頭線が見られるようでありたい、という祈りを込めながら、この風景を大事に眺めた。
京王
1000系電車 京王井の頭線下北沢駅~新代田駅にて 2016.6.26