京王線の新宿-笹塚間と言うとほとんどが地下区間であるが、この間に一ヵ所だけ踏切がある。
笹塚駅に程近い場所にあるこの踏切は、奇妙なことに上り線にしかない。下り線はもう少し笹塚駅に近いところまで地下区間になっているからである。また踏切で横切る道には自動車が入れないようになっていて、この踏切を渡ることができるのは人と自転車だけである。
そもそもこの付近の京王線は地上にあったので、地上区間時代の名残だとも言える。その証拠にこの踏切の名は幡ヶ谷3号踏切という。地上線時代はこの踏切から幡ヶ谷駅までの間にもう二ヵ所踏切があったのだろう。
ところで、京王線では今後、笹塚-仙川間の立体交差化が予定されていて、同区間にある計25ヵ所の踏切が消滅する予定である。しかし、この幡ヶ谷3号踏切は立体交差の予定区間に入っていないので、立体交差完成後もここだけは踏切が残るのではないかと思う。そうすると、京王線の都区内唯一の踏切ということになり、地下化や高架化された京王線がかつて地上を走っていたことを示す貴重な生き証人となるのではないだろうか。
京王
7000系電車 京王線新宿駅~笹塚駅にて 2015.2.21