大学時代、通学の京王動物園線でよく乗っていたのがこの5000系であった。
動物園線内を行ったり来たりするローカル運用はたいていこの5000系であった。たまに6000系や8000系が入っていたように思うが、それは稀なことであったと記憶している。
だから5000系は、大学時代の動物園線通学の象徴みたいなものである。
そんな5000系は当時、もうだいぶ古びていた。登場からすでに三十年を経ていたからである。
ただこの5000系は「京王の名車」と言われ、珍重された車両でもあった。
そんな車両に毎日のように乗れたのはある意味贅沢なことだったのかもしれないが、当時はあまりにもあたりまえに走っていて、そのありがたさを感じることはほとんどなかった。
いま思えば、一枚でも写真を撮っておけば良かったと悔やまれる。
でも、その頃はまだデジカメがなくフィルムカメラで、写真を撮るのは旅に出たときくらいであった。日常の風景を写真に撮る習慣はなかった。今のように日常をやたらと撮影するようになったのはデジカメを手にしてからのことである。
だからもし、5000系によく乗っている時期にデジカメを持っていたら、写真をたくさん撮っていたかもしれない。
ただ、たくさん記録することが良いことなのかはわからない。
記録は多く残っても、その分記憶は薄れてしまうかもしれない。
こうやって何年も経ってから実物に触れ、自分の中の記憶を呼び起こし、懐かしむ方が良いのかもしれない。
京王
5000系電車 京王れーるランドにて 2014.10.24