大原稲荷神社

 代田橋駅を出てすぐの右手線路際に、大原稲荷神社という社がある。
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 この社は、江戸時代中期の天明二年(1782)に代田八幡神社の分社として伏見稲荷大社を勧請し建立された。祭神は倉稲魂命で、初めは羽倉稲荷と呼ばれていたが、後に大原稲荷と呼ばれるようになったという。

 昭和七年(1932)の世田谷区の成立とともに、代田と大原が分離することになったため、この神社も後に村社に指定され、氏子も代田八幡神社から分かれたそうだ。

 もともとは京王線の線路を挟んだ南側も境内だったそうだが、その場所は昭和二年(1927)に給水所用地として売られたという。現在の和田堀給水所があるところだ。

 神社に隣接して墓地がある。かつて大原の人々はみな円乗院の檀家だったが、明治三十三年(1900)に円乗院から三十軒の家が分かれて神社の前の畑地に共同墓地を作り、以後は菩提寺を持たないようになったという。

 その墓地の奥にある神社の境内からは、京王線の電車がよく見える。
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 もともと南側の給水所も神社の境内だったというから、京王線はかつて神社の境内を横切っていたということになる。

 その京王線の背後には高圧電線の鉄塔が見えている。駒沢線74号鉄塔である。

 駒沢線は東急池上線の洗足池駅付近を起点に大井町線緑が丘駅、東横線都立大学駅、世田谷線西太子堂駅、小田急線世田谷代田駅、京王井の頭線新代田駅をかすめながらここまでつながっている電線であり、終点は杉並区の和田堀変電所である。

 ここの74号鉄塔は残念ながら環境調和型という新しいタイプのものに変わってしまったが、鉄塔を背景に京王線の電車が往く風景は絵になると思う。


京王
8000系電車 京王線代田橋駅~明大前駅にて 2014.10.24
by railwaylife | 2015-01-11 21:40 | 京王 | Comments(0)
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