東京都内で一番車窓の眺めの良い路線はどれであろうか。
この答えはなかなか難しいもので、人によっては山手線だと言うかもしれない。たしかに、山手線を一周してその車窓風景を眺めれば、首都東京のさまざまな風景を目にすることができる。
では、東京都内で一番風光明媚な車窓の路線はどれであろうか。
こう言えば、その答えは青梅線ということになるだろう。
多摩川に沿ってその上流の谷へ分け入って行くこの路線に乗れば、都内に居ながらにして手軽に緑多き車窓風景を楽しむことができるであろう。
しかし、昔から「青梅線に乗りに行こう!」という気はあまりしない。
それはやはり、走っている車両が通勤型電車だからだろう。中央線快速電車と同じE233系である。
日常見慣れた顔でつまらない、というのはまだしも、何より残念なのは座席が車窓に背を向けたロングシートであるということだ。これではせっかくの車窓風景も十分に楽しめない。そこが、青梅線にあまり惹かれない最大の理由であると思う。青梅線にクロスシートの車両が走っていたらなあと何度も考えたことがある。
だが、行楽シーズンだけは、その望みが叶えられることになる。
クロスシートを備えた車両で行楽用の臨時列車が運転されるからである。
特に、新宿発の青梅線直通臨時快速列車には特急車両が用いられる。
そのひとつが、秋に運転される快速「おくたま紅葉」号だ。
古びた車両とは言え、その特急車両に乗れば、青梅線の魅力的な車窓を十二分に楽しむことができるだろう。
ただ、限られた期間の週末に一日一往復しか運転されない列車なので、なかなか乗れる機会がない。
でも、いつか都合を付けて乗車し、青梅線の旅を存分に楽しんでみたいと思っている。
189系快速「おくたま紅葉」号 中央本線新宿駅にて 2012.11.3