ワインレッドの心

 JRの115系といえば、今でこそ各地区でさまざまな塗装を施され、文字通りいろいろな色の車体を目にすることができるが、国鉄の車両としてデビューした当時には、湘南色とスカ色くらいなものであった。

 そんな115系にも、国鉄末期になると地区ごとに独特の塗装を纏った車両が現れるようになった。

 そのひとつが、身延線に現れたこの塗装である。
ワインレッドの心_f0113552_2141595.jpg

 そもそもこの115系は、それまで身延線に走っていた「旧型国電」と呼ばれる古めかしい車両群を置き換えるために導入されたものだったと思う。

 その「旧型国電」が纏っていたスカ色からすれば、新しい115系の塗装はなんとも派手なものだったと言える。

 たしか、身延線がワインの産地でもある山梨県を通ることからこのワインレッド色が選ばれたはずである。

 ただ、このワインレッド色での活躍はそう長くなかったと思う。JRになって程なく、身延線の115系は湘南色にされてしまったように記憶している。湘南色には、JR東海のコーポレートカラーであるオレンジ色が入っていたからという理由ではなかったかと思うのだが、その辺りの記憶はあやふやである。

 そんなわけで、私もあまり目にしたことがなかったので、この「消えそうに燃えそうな」ワインレッドの記憶を、ここにしっかりと記しておきたいと思う。

 ところで、上に掲げた写真はなんだかトリミングしたみたいになっているが、これはもともとこういう写真である。なにせ二十年以上前の写真なので、なんでこんな撮り方をしたのか撮った自分にもわからないが、私にとっては大切な思い出なので、ここにそのまま載せておきたい。


JR東海115系電車 身延線十島駅にて 1988.1.6
by railwaylife | 2012-10-15 21:50 | 昔の写真 | Comments(2)
Commented by HERO at 2012-10-16 00:54 x
こんばんは。

身延線の115系のワインレッドの由来と、湘南色に変更されたのは記事中で述べられている通りです。
私もワインレッド時代に一度乗っていますが、当時は撮り鉄から離れていたために残念ながら写真は残っていません。

率直に言って、クハ(クモハ)115の前面形状は塗り分けを前提としてデザインされたもので、ほぼ単色塗装のワインレッドは余り似合わないと思いましたが、これも時代の記録であり、後々悔いを残さないように「現在」を大切にするべきと痛感しております。
Commented by railwaylife at 2012-10-16 22:24
HEROさま、こんばんは。
コメントありがとうございます。

身延線115系の塗装変遷の経緯についてはあやふやな部分もあったので、コメントをいただいて安堵しました。ありがとうございます。

私も、115系の塗り分けはオリジナルの湘南色やスカ色が一番しっくり来ると思います。でも、今あるさまざまな115系の塗り分けもいずれは過去のものとなってしまうので、楽しんでおきたいですね。
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