1000系のゆくえ

 東急東横線と東京メトロ副都心線の直通運転開始に関する正式発表で東横線に日比谷線直通電車がなくなることを知って動転し、昨日は「さらば03系」などという記事を載せてしまったが、東京メトロ03系以外にもう一つ注目すべき車両があった。     

 03系とともに、東横線で日比谷線直通電車の任に就いている東急1000系である。

 日比谷線直通電車がなくなると、この車両も東横線から去ってしまうのではないだろうか。03系同様に車体の長さが他の車両より短くドアの数も少なく、輸送力の上でも、またホームドア設置を推進していく上でもネックとなるからである。

 そうなると、他線へ転用されるしかないが、東急線内ではもはや行き場なしといった感じである。

 同じ形式が活躍している路線として多摩川線・池上線があるが、この両線には7000系という新型が導入されつつあり、今さら旧来の1000系が入る余地はない。

 それに、同じ1000系が走っていると言っても多摩川線・池上線は3両編成である。残念ながら8両編成の日比谷線直通電車は、単に5両抜いたからと言ってすぐに3両編成で走れるものでもない。日比谷線直通用の1000系は先頭車が付随車で、モーターが載っていない。だから、3両編成で走らせるためにはモーターのある中間車に先頭車の顔を移植しなければいけないはずである。そこまでして多摩川線・池上線に転用するよりは、新型の7000系を増やしていって旧型を淘汰した方がよさそうである。

 というわけで、やはり東急線内に1000系の行き場はなさそうなので、あとは地方の中小私鉄へ譲渡するという道になる。

 実際、同じ1000系のうち、多摩川線・池上線用の車両の一部はすでに長野の上田電鉄や三重の伊賀鉄道へ譲渡されたという実績がある。車体が短く小回りも利くから、輸送量の少ない中小私鉄にはフィットするのだろう。ただ、やはり編成を短くしなければならないから、電動車への顔の移植は必要だろう。

 それでも、過去に東急から中小私鉄へ譲渡されていった旧7000系や7200系がそろそろ置き換えの時期に来ているだろうから、これから余剰となる日比谷線直通用1000系は、まさに引く手数多なのではないだろうか。





 さて、そんな今後の去就の予想についてはこのくらいにして、今はまだ東横線で活躍している1000系に目を向けてみたい。

 地元を走る最も身近な路線として、最近はその風景を熱心に楽しんでいるから、東横線の1000系の姿は今まで何度となく見たり撮ったりしてきた。

 それで今回、こうして1000系のことを綴りたいと思ったとき、そこに添える適当な写真はないかと思って過去に撮ったものを漁ってみた。すると、驚くべきことがあった。

 決して少なくない1000系の写真のほとんどが、ボケたりブレたりしていた。同じときに撮っている5000系列や9000系、そして東京メトロの03系などはわりとしっかり撮れているのにである。

 これは、私がいかに1000系に対して思い入れを持っていなかったかということである。相当気を抜いて撮っていたのだろう。

 もちろん、気楽に撮った方がかえって巧く撮れるということもあるが、1000系の場合は気を抜き過ぎであった。それを今回改めて知ることとなり、何だか申し訳ないような気さえしてきた。

 でも、03系同様に少なくともまだあと8ヵ月くらいは東横線を走っているのだから、これからはもうちょっと気を入れて1000系を捉えてみようかなと思う。無論それも、別になくなるかもしれないから記録しておくというわけではなく、目の前の一瞬一瞬を楽しむためだけにである。





 ところで、惨憺たる私の1000系の記録の中でも、かろうじてまともな写真が一枚見つかった。

 ただ、ほとんどシルエットだけなので、1000系なのかどうかいまいち判然としない。でも、よく見れば3ドアであることもわかるし、車両の長さが短いという特徴も看てとれる。
1000系のゆくえ_f0113552_2343356.jpg

 それに、ふつうのヘンセーシャシンを撮るより、こういう風景を眺める方が私には楽しい。

 だからこれからもこうして、1000系のある風景をただただ楽しんでいけば良いと思う。

 いつかなくなる風景としてではなく、今ある風景としてである。


東急
1000系電車 東急東横線多摩川駅~新丸子駅にて 2011.12.4
by railwaylife | 2012-07-25 23:47 | 東急1000系 | Comments(0)
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