6月の終わり、台風が去った翌日のこと、東京は台風一過といかず、すっきりしない空模様だった。それでも日差しはあって気温も上がり、日中は今年初めて30℃を超えることとなった。
そして夕方になると、空に夕焼け色が広がった。
仕事帰りにそんな空を目にしてしまった私は、気が付くと空のよく見えそうなところを探して右往左往していた。
夕暮れ時になっても、大気には熱せられた感じが残っていた。昼間はけっこう暑くなったんだろうなという気がした。それでも、吹いてくる風がだいぶ冷ややかであった。これが真夏の猛暑日が続くようなときだと、風までもが生暖かくなって救いようがない。その熱気が翌日まで持ち越される感じだ。その点、この日はまだ過ごしやすく感じられた。
そんな中、たどり着いたのが、この場所であった。
渋谷駅の東口である。
東口と言えば、新しくできた渋谷ヒカリエのおかげで盛り上がっているが、駅前から見るとヒカリエは東側の空を背負っているので風景としてあまり面白くない。それよりも、旧来の東急百貨店の方が西の空を背負って輝いていた。
その空の下、銀座線01系の姿が見えた。気が付くと、その01系の風景を負うことに夢中になっていた。
ヒカリエの登場は渋谷の変化の序の口に過ぎないと言える。やがて、渋谷の銀座線の様相も大きく変わってゆくはずである。
そのことを想いながら、この夕景をじっとじっと眺めていた。
東京メトロ銀座線
01系電車 東京メトロ銀座線渋谷駅~表参道駅にて 2012.6.20