米神桜

 東海道本線の根府川駅から上り列車に乗ると、線路は間もなく短いトンネルに入る。下牧屋山トンネルという名のそれはすぐに抜けてしまうが、間髪を入れず次のトンネルに入る。米神山トンネルといい、下牧屋山トンネルよりは長めである。

 その米神山トンネルを抜けると、列車は弧を描きながら右窓に米神の谷の家並を見下ろす形になる。そして、家並の向こうは広い海原である。



 そんな海の眺めに、春は桜花が加わる。米神山トンネルを脱した後の車窓は、桜越しの海という眺めになる。トンネルを出てすぐの右窓下にも花はあるし、米神踏切に差し掛かったところには、ちょっとした並木もある。

 その踏切の桜並木を過ぎるとき花に目を遣っていると、背景に青い海が重なる。青色を背景にした花が車窓を駆けるとき、それが、ちらちらちらっ、ちらちらちらっと輝く。そのときの花の輝きは、瞼の裏に残って離れないものである。

 そんな米神の桜の眺めへと踊り出る185系特急「踊り子」を、米神踏切から捉えてみた。
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相模の旅2012桜」にて
185系電車特急「踊り子」108号 東海道本線早川駅~根府川駅にて 2012.4.9
by railwaylife | 2012-05-02 23:00 | 185系 | Comments(0)
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