サクラ185 2012

 八年前、今年の「相模の旅2012桜」と同じように桜咲く頃に根府川界隈を訪れ、今回と同じように米神を訪れたことがあった。

 そのとき、桜越しに往く185系特急「踊り子」の姿を見送り、それを撮影していた。
f0113552_1139966.jpg

 写真として良いのか悪いのかは知らないが、私はこの写真がとても気に入っている。思い入れのある185系という車両が米神の桜花をかすめてゆくさまが、実に「いいなぁ」と思わせるものだからである。

 ただ、この写真を撮ったときには、185系にさほど思い入れがあるわけではなかった。もちろん、相模の海沿いを東海道本線が走るこの区間への想いはかなり強いものがあったと思うが、たまたまそこへ185系がやって来たので撮ったという程度のものであったと記憶している。

 そんなふうにして撮った写真ではあるが、最近は185系への想いが強まり、私にとってより大きな意味を持つようになってきた。

 そして、こういう風景をまた同じ米神で眺めてみたいと、昨年あたりから強く思うようになっていた。今度は単に米神の風景を眺めるというだけではなく、米神を往く185系の風景を眺めるというつもりで見たかったからである。

 ただ、昨年の春はそんな余裕もなく、桜咲く季節に185系を見ることすらなかった。



 そして今年、ようやくこの風景を見られる機会が来た。米神に桜が咲き、185系が通常通りに走り、私も米神を訪れることができた。

 あとは、桜越しに185系が現れるのを待つだけであった。

 特急「踊り子」の時刻表から見当を付けた通過予定時刻になる頃、静かな米神に踏切の軽やかな警報音が発せられた。やがて、米神山トンネルを抜けて来た185系の走行音が警報音をかき消す。それから文字通り瞬く間に、見たかった風景は眼前に現れた。
f0113552_11393538.jpg

 シャッターを切ったときに一瞬止まったかのように見えた風景は、もちろん連続して動いている。やがて踏切道の並木に差し掛かった白い車体が、桜色に見え隠れしながら、緩やかな弧を描き続けてゆく。米神の谷に、独特の低い唸り声を発しつつである。

 その姿が見えなくなろうかというとき、安堵感が込み上げてきた。

 この米神に桜が咲いたこと、そこを185系が駆けてゆくこと、そしてそれを見るために私がここへ来ていること、それらがこの春は無事に揃ったという安堵感である。

 私がこの春、この旅に出て、この米神に来たのは、まさにこの風景を見るためであったと言える。


1枚目 185系電車特急「踊り子」号 東海道本線早川駅~根府川駅にて 2004.3.28
 
2
枚目 「相模の旅2012桜」にて
185系電車特急「踊り子」106号 東海道本線早川駅~根府川駅にて 2012.4.9
by railwaylife | 2012-04-30 07:30 | 185系 | Comments(0)
<< サクラ251 グリーン車の春2012 >>