雪の積もった朝、通勤で利用する山手線や山手貨物線には幸いにして遅れの情報はなかった。
ただ、多少の遅れはあったようで、道床の白くなった風景に釣られて山手貨物線の列車が往くさまをしばし眺めていると、湘南新宿ラインの南行が立て続けに二本通った。
通常のダイヤでは、湘南新宿ラインの列車が連続して通過することはない。必ず間に埼京線の電車が入るはずである。これはおそらく、一本目の湘南新宿ラインが遅れ、後続になるはずの埼京線の電車を先に通したのだろう。何にせよ、湘南新宿ラインの列車を立て続けに見られたのは、得した気分であった。
そのときに捉えた写真を、夜になって帰宅してから家でよく眺めてみると、車両の顔への雪の付き方が違うことに気が付いた。一本目は平気な顔をしているのに、二本目にはけっこう雪がこびり付いていた。もちろん、けっこうと言っても北国を走る列車に比べればさしたることはないが、この違いは面白いなと思った。そしてその違いは、それぞれの列車に用いられている車両がどこで一夜を明かしたかによるのではないかという気がした。雪は夜のうちに降っていたからである。
では、それぞれの車両はどこで一夜を明かしたのか。
撮った写真を拡大してみると、幸いなことにそれぞれの列車の列車番号が読み取れた。一本目は「2140Y」で、二本目は「1140Y」とあった。そこで、時刻表を開いてそれぞれの列車の時刻を調べてみた。
一本目の2140Yは高崎線-東海道本線系統の湘南新宿ラインで、深谷始発の列車であった。深谷始発なんてあるんだなあと少し驚いたが、となりの籠原にある車両基地から送られて始発となるのだろう。
二本目の1140Yは宇都宮線-横須賀線系統の湘南新宿ラインで、小金井始発の列車であった。小金井始発といえば、これは紛れもなく隣接する小山車両センターから出てきたのだろう。
ということは、この前夜の雪は、籠原の方が小金井よりも積もったのかもしれない。そんな推測が立った。
こうして、雪の付き方をきっかけとして、普段はほとんど気にしない湘南新宿ラインの始発駅を調べることとなった。なかなか面白いことであった。
そういえば、この日は山手線の電車も、編成によって屋根に雪が載っていたりいなかったりした。それも、それぞれの編成が池袋に停泊していたか、大崎に停泊していたかの違いによるのではないかという気がした。
湘南新宿ライン
E231系電車 山手貨物線渋谷駅~新宿駅にて 2012.1.24