2011年10月1日に開催された「田端運転所撮影会の旅」には「北斗星コース」と「カシオペアコース」の2コースがあったが、私はあまりよく考えもせず安価な「北斗星コース」の方を申し込んでいた。
その「北斗星コース」は、10時から開始の予定であった。それで、開始の時刻になると、集合場所になっていた田端運転所の入口から係の方が撮影会場へと案内してくれた。
会場に居並ぶ四両の機関車に参加者が夢中になり始めて程なくのこと、上野駅から田端運転所に隣接する尾久車両センターへと引き上げて来る寝台特急「北斗星」が、会場の脇に現れた。四両の機関車のすぐとなりを、今しも青い客車が推進運転で通過していく。会場が、明らかに色めき立つのがわかった。
あまりにもそのタイミングが良かったので、これはこの「北斗星コース」の無料オプションなのか、と思わせるほどであった。
このとき、偶然にも四両の機関車の側面を眺める場所にいた私は、会場の脇を抜けその奥の尾久車両センターに入庫する「北斗星」の様子をよく眺めることができた。
尾久車両センターの留置線に停車した「北斗星」は、すぐに機関車が切り離された。
それにしても、この日の牽引機の513号機はえらい汚れっぷりであった。撮影会用に展示されている501号機と比べると、余計にその汚れ具合がわかったが、青森から700km以上を夜通し駆けるこの運用のすさまじさを物語るようでもあった。
切り離された513号機は一旦会場の方へまたやって来たが、すぐに引き返し、そして田端運転所の建物のある方へと納まった。ゆっくりと休み、そして綺麗になってほしいものだと思った。
残された客車は、これから夜に備えて車内の整備が行われるのだろう。確か入換用のDE10形ディーゼル機関車に牽かれて、尾久駅横の側線に出るはずである。
こうして広い車両基地に青い客車が佇む姿も、都内では今やこの尾久車両センターでしか見ることができない。その客車が留置されている風景を、普段とは違う場所から見ることができたのは嬉しかった。何とも素晴らしい無料オプションであった。
さて、すっかり「北斗星」の入庫に夢中になっていた私であるが、その後は撮影会の「北斗星」の機関車をじっくりと眺めて楽しんだ。
寝台特急「北斗星」 田端運転所・尾久車両センターにて
2011.10.1