先の「ついでのたそがれE259系」という記事に綴っているように、たそがれ時の東海道新幹線を眺めに行ったときに私は、東海道新幹線に併行する品鶴線のE259系「成田エクスプレス」も捉えていた。
新幹線と在来線が併走するこの場所は、両線を往く列車がいろいろと眺められて楽しいが、どちらの線の列車も撮影しようとするとやはり無理が出てくる。東海道新幹線を撮るのと品鶴線を撮るのとでは、当然カメラを構える位置が違ってくるからである。
それで「ついでのたそがれE259系」の「成田エクスプレス」47号も、まさに題名の通りついでに撮っただけの形になった。私にとってのこの日の主たる目的は、東海道新幹線を眺めることにあったからである。
とは言え、実はE259系のことはかなり気になっていて、47号の直前に通る「成田エクスプレス」36号も捉えてやろうと私は目論んでいた。
ただ、その36号が通過すると思われる時刻のわずか1、2分後に、新幹線300系の「こだま」675号も通過することになっていた。
この1、2分の差というのは危険である。少しでもどちらかが遅れれば、やって来る順番が入れ替わったり、最悪の場合同時に来たりする。それにだいたい、この通過時刻というのは私の予測であって、正確である保証はない。
こういうときは、どちらかをきっぱりと諦め、一方を撮ることに集中するのが良いのだが、E259系も300系も自分が熱心に追いかけていて、いつも「できるだけ多くの風景の中で眺めたい」と考えているだけに、どちらも譲り難いところがあった。
それで私は、新幹線を撮れる立ち位置に居ながらも、先に来るはずのE259系が通る品鶴線の線路にカメラの狙いを定めていた。
だが、通過予想時刻になっても「成田エクスプレス」36号は現れなかった。そして、おかしいなと思ううち、早くも300系の「こだま」675号が姿を現してしまった。私は慌てた。自分の立っていた位置は、新幹線の列車を捉えるのにベストの場所ではなかったからである。
それでも、急いで立ち位置を移動し、去りゆく300系の尾灯を追った。
しかし、慌てた所為で、ちょうどうまいこと、300系の顔に架線柱が被ってしまった。
E259系も撮ろうなんぞと欲張った自分が情けなかったが、これはこれでよかったかなとも思っている。慌てて撮ったという自分の思い出になるからである。そして、そうやって見送った300系の尾灯が、たそがれ時の中で何か寂しげに輝いていたのが、何よりも印象的であった。
ただ、こんなふうに慌てたことの反省もあって私は、新幹線を撮る立ち位置から動かずに、次のE259系を狙ったものである。その結果が、先の「ついでのたそがれE259系」であった。
新幹線300系電車
「こだま」675号 東海道新幹線品川駅~新横浜駅にて
2011.9.18