ほんとの台風一過

 以前に私は「タイフーイッカ」という記事で、最近は台風が去っても台風一過の晴天がないということを書いていた。そして、台風が過ぎた後のほんのわずかな夕焼け空に、その晴れ間を求めていた。

 しかし、今回の台風15号が去った後は、立派な台風一過の青空があったと言って良い。首都圏の直撃から一夜明けた今日は、朝からよく晴れ上がっていた。

 その空のある風景を、どこかで眺めてみたいと思った。それで、朝の通勤電車の中で、通勤経路途中にある「空の広く見える場所」を思い浮かべていってみた。それと同時に、台風一過の青空の下でどんな風景を見てみたいかとも考えてみた。

 そのとき、ふと思い浮かんだ列車があった。私は、その列車の往く風景を見送ってみようと思い立った。そして、それが見られる場所へと立ち寄った。

 私の選んだ場所は、決して空の広く見える場所ではなかった。でも、青一色の貼り付けられた空が、気持ち良く思えた。

 その空を、本当は「すっかり秋空だ」とか言ってみたかったけれど、あいにくそんな感じはしなかった。今日は朝からずいぶん蒸し暑く感じられたからである。

 でも、もう夏空でも秋空でもいいやと思った。このところ私はその二つにこだわってばかりいて、早く秋らしい空が見たいと思っていたけれども、そんなに簡単に季節は進まない。秋空が見える日もあれば、また夏空が戻ってくることもある。そうしているうちに、季節はゆっくりと進んでいく。だから、空の様子に一喜一憂せず、その日その日の青空を楽しめばいいだけだと思った。

 そう考えて私は、自分の見たかった列車を、今日の青空の下で迎えた。
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 251系の「おはようライナー新宿」26号である。

 別に私は、朝の通勤ライナーが見たかったというわけではなかった。この列車、というよりも、この車両が見たかったのだと思う。それは「おはようライナー」としての251系ではなく、特急「スーパービュー踊り子」の251系として眺めたかった、ということである。

 その特急「スーパービュー踊り子」としての251系の車窓に映る風景を、私は台風一過の青空に投影したかった。

 それは、青い空の下にある青い相模の海である。下り特急「スーパービュー踊り子」として小田原駅を発ったこの251系の車窓に、その風景がいっぱいに広がるはずだ。それはきっと、台風一過で清々しくあるに違いない。そんな今日の相模の海が見てみたい。その想いから私は、この251系を見送っていた。


251系「おはようライナー新宿」26号 山手貨物線渋谷駅~新宿駅にて 2011.9.22
by railwaylife | 2011-09-22 22:54 | JR東日本 | Comments(0)
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