18時03分の空2011

 九州行き最後の寝台特急「富士」「はやぶさ」が走らなくなって、早いものでもう二年半近くが経つ。

 それでも、いまだに私はこの列車の東京発の時刻、18時03分に特別な想いを持っている。

 そのことは以前に「18時03分の空」「続・18時03分の空」という記事にも書いているが、今でもたまたまこの18時03分という時刻を時計で目にするとはっとなり、青い客車が東京駅を旅立つさまに想いが至る。

 そもそもこの中途半端な時刻が、それを忘れがたいものにしているのだろう。18時00分ちょうどでもない。18時05分でも18時10分でもない。03分というところに、より特別なものを感じる。

 もっとも、東京発の寝台特急がまだ何本もあった頃には、毎時05分、20分、40分という感じで切りの良い時刻に出発しており、それはそれで整然としていて特急列車の風格もあったものだが、残り一本ともなると、中距離電車の隙間を縫って肩身狭く出て行くようなところがあった。それが中途半端な出発時刻の所以なのかもしれないが、とにかく私はこの時刻に格別の思い入れを持ち続けている。



 そんな18時03分に、先日たまたま東京駅に居合わせることができた。

 そして、18時03分発の列車を見送った。
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 前にもその発車を見送ったことのある「ひかり」483号岡山行きである。

 日の入りまではまだ三十分ほどはあったこの日だが、時折稲妻が光るような悪天候で、空はもうだいぶ暗かった。

 以前は17番線から発車していたこの列車であるが、ダイヤ改正時に発車番線が変わったのか、いまは一番隅の14番線からの発車であった。かつて「富士」「はやぶさ」が発車していた10番線により近い位置の側線を、700系「ひかり」は西へと旅立って行く。

 その最後尾が、暮れかけた灰色の空の下で尾灯を紅くにじませる。その光に、私は14系の青く沈んだ車体が放つ紅い尾灯と、白んだ「富士」のテールサインの面影を求めていた。


新幹線700系電車
「ひかり」483号 東海道新幹線東京駅にて 
2011.8.7
by railwaylife | 2011-08-23 23:26 | 寝台特急 | Comments(0)
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