A PLACE IN THE SUN

 先週の火曜日、私は「春を見逃すな」などと言って、通勤途中の車窓に見えた花を、わざわざその場所まで見に行ってみた。

 その花は、車窓から見ているときは何の花かわからなかったが、近くに行ってみると河津桜であることがわかった。

 そのときの気持ちを私は、こんなふうに綴っていた。



 たった一本だけれど、都会にもこの花は在る。伊豆まで行かなくても、この花は在る。リゾート21に乗らなくても、この花は見られる。身近な場所にも、探せばちゃんと春は在るじゃないか。

 ただ、ビルの谷間にひっそりと在るこの花には朝日が届かず、その表情は暗い。

 でも、ここが「陽のあたる場所」になったとき、また来ればいいだけのことだ。




 それで私は、この河津桜のあるところが「陽のあたる場所」になるだろうと思った土曜日昼に、再訪してみた。
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 そこには、思った通りの風景があった。私が心に描いた通りの風景があった。花が、明るい表情をしていた。花の色が、鮮やかさを増していた。それだけで私は、この上なく嬉しかった。本当に、嬉しかった。

 そして、前回訪れたときはたった一本しかないと思っていた河津桜が、実は何本もあることにも気付いた。

 それはビルの反対側にあった。ちょっとした河津桜の並木が、そこにはあった。
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 この前来たときは通勤の途中で余裕がなかったから、この並木には気付かなかった。でも、休日の今回は時間にも気持ちにも余裕があったから、気付くこともできた。

 その並木に咲いた、たくさんの花の向こうを、湘南新宿ラインのグリーン車が過ぎてゆく。
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 きっとグリーン車の車窓も、河津桜色に染まっていることだろう。そんな車窓がこの都会の只中に現れるというのも、嬉しいことである。

 私は、嬉しくて仕方がなかった。以前にここへ来たときに思い描いた風景が、本当に目の前に現れたからである。だから、この場所の空気も、花の色も表情も、青い空も、列車が往く風景も、すべてが心地よく感じられた。そこは、まさに私にとっての「陽のあたる場所」になっていた。

 この「陽のあたる場所」という言葉に込められた意味はもちろん、そこに日差しが当たっているか、いないか、ということだけではない。自分の心に、陽があたっているか、いないか、ということも含まれている。自分がその風景を見て嬉しいと思えばそこは「陽のあたる場所」になる。そんな私にとっての「陽のあたる場所」すなわち「A PLACE IN SUN」を、たくさん見つければいい。そしてその場所を、いつも心に描けばいい。


 There's a place in the sun
 And before my life is done
 Got to find me a place in the sun


(Stevie Wonder『A PLACE IN THE SUN』)



山手貨物線渋谷駅~新宿駅にて 2011.2.26

by railwaylife | 2011-03-02 08:10 | | Comments(0)
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