先週末の夕暮れ時、買い物帰りに通りかかった東急東横線の踏切で私は、9000系がやって来るのを待ってみた。夕暮れ色に染まる空を背景に、たそがれの9000系を捉えてみたかったからである。だが、そのときやって来たのは「たそがれ5050系」であった。
もう何本か待てば9000系が来たかもしれないが、その日は急いで家に帰らねばならず、私の思い描いた9000系の姿を捉えることはできなかった。それでまた、同じ場所で同じ時間帯に9000系がやって来るのを待ってみたいと思っていた。
今日の夕方、家の窓から西方を眺めてみると、ちょうど夕日が眩しく沈もうとしていた。それで私は、9000系を見送るべき踏切へ行ってみることにした。今日も夕暮れ色に空が染まるだろうという確信があったからである。
日没の時刻を気にしながら自転車に乗って線路沿いに出ると、踏切の警報機が鳴り出した。やって来るのは、撮影対象の上り電車だ。まだ目指す踏切には着いていない。このタイミングで9000系が来たら悔やまれるなと思ったが、やって来た急行は5050系であった。ほっとした。
撮影場所に着いて、続行の各駅停車を迎える。先週は夕暮れ色に染まっていた空が、今日は何だか冴えない。橙色や桃色が薄くて、藍色にほとんどかき消されている。そんな空にがっかりしていると、また5050系がやって来た。次の特急を待つことにする。
だが、この後さらに5050系が二本続き、Y500系の急行を一本挟んだ後にまた5050系が三本続いた。いや、もしかしたら5000系が含まれていたかもしれないが、文字通りたそがれ時のことであり、車番を確かめるのも面倒になっていたから、はっきりしたことは言えない。とにかく私が線路沿いに来てから、いわゆる「5050系とその仲間たち」が八本も続いたことになる。それでも私は、踏切に着いてから迎えた二本目以降を、飽くこともなく判で押したように同じアングルで撮っていた。
だが、何だかそのうちに気分が悪くなってしまった。それにだいたい、途中から夕暮れ色はまったく消え、ただの曇り空になっていた。冷え切った夕方の大気の中で体も冷えてきて、私は何をやっているのかわからなくなってきた。
それで、八本目の電車が「5050系とその仲間たち」だとわかったところで、私はもう踏切を後にし、買い物をするためにスーパーへと向かった。夕暮れ色を背景にした「たそがれ9000系」は、またの機会にやり直しである。近いから、いつでも来られるところではある。
とは言え、今回のように「5050系とその仲間たち」が八本も連続することがある。それが、今の東急東横線の現実でもある。
そんな中で、八本の「5050系とその仲間たち」が来る間に、対向の下り電車でかろうじて「たそがれ9000系」を捉えられていたのは、もはや貴重な機会だったと言えるかもしれない。
1枚目 東急5050系電車(5154F)
2枚目 東急9000系電車(9011F)
東急東横線都立大学駅~自由が丘駅にて 2010.12.26
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