2077列車の異変
先週の土曜日は、なかなか慌しい日であった。
まずは「玉子焼きと300系」という記事に書いたように、築地へ行って年末の玉子焼きを予約し、そこから汐留に出て300系を見送った。そして午後からは、西馬込の馬込車両基地へ行く予定であったが、その前に池袋へ行く用事があった。 汐留から西馬込というルートを描いたときに、池袋はとんでもなく明後日の方向である。しかしその用事がある場所は、平日と土曜日にしか開いていないので、どうしてもこの日に行っておきたかった。 そこで私は、新橋駅から山手線に乗った。池袋駅まで、だいたい山手線を半周くらいしなければならず、地下鉄で行った方が早そうな気もしたが、乗換案内では山手線一本が最速と出たし、何より地上を行けるのが良かった。どうも車窓の暗い地下鉄は気が滅入る。 電車は幸いすいていたので、私は座席に就いて本を読んだりしていた。ただそれでも、上野や田端といったポイントでは顔を上げ、車窓を確認しておいた。 そして田端を過ぎ、駒込にさしかかろうという頃だったか、並行する山手貨物線に列車が来る気配がして顔を上げた。すれちがったのは貨物列車であった。私が注目して止まない2077列車である。そういえば、ちょうど山手貨物線を通っている時間だったなと思い出した。この日の私は、300系のことばかり考えていた。でも、2077列車もどこかで待ち構えて眺めれば良かったなと思った。 そんな一瞬の後悔を感じたとき、私の目を疑うような光景があった。わずかの間に、思わず窓外を二度見した感じである。 それは、2077列車を牽引する機関車が青かったからである。いつものEF65PF形ではなく、桃太郎ことEF210形であった。 折しもこの日は、JRのダイヤ改正の日であった。もしかしたら、今日を機に2077列車の牽引機も代わったのかもしれないと私は思った。ここ数日で、貨物列車牽引の任に就いていた田端運転所のEF81形が、次々とEF510形500番台に取って代わられているというニュースも目にしていたからである。 以前にも書いたように、私がこの2077列車に注目する理由としては、自分の身近な地域を通っていること、運転経路が複雑で興味深いこと、そして牽引機が憧れのEF65PF形であること、が挙げられる。 その憧れのEF65PF形が、2077列車の先頭に立たなくなったのだとしたら、この列車の魅力も減ってしまう。それで私は、山手線の中で、何となくシュンとしてしまった。そして、もっともっと多くの風景の中でEF65PF形牽引の2077列車を眺めておきたかったなと思った。でも、もう仕方ない。2077列車を見に行ったこと、見に行かなかったこと、見に行けなかったことも、すべて自分の選択の結果である。 ただ私は、牽引機がEF210形になったのだとしたら、その2077列車の姿もちゃんと見てみたいなと思った。山手貨物線を往く日中の貨物列車が、桃太郎ことEF210形の牽く2077列車と、金太郎ことEH500形の牽く3086列車になる。その対比も、面白い。 それでさっそく翌日曜日、2077列車を見に行くことにした。本当は土曜日一日出かけていたので、この日曜日は家でゆっくりしているつもりであったが、どうしても2077列車だけは見に行きたいと思った。それは、実を言うと、本当に牽引機が代わったのかという疑いの気持ちもあったからである。 さて、私にとって最も身近で2077列車を眺められる場所というと、やはり東急東横線と山手貨物線の交差する地点だと思っている。地元の駅から東急東横線に乗って渋谷へ出るとき、最初に山手貨物線の線路が見えてくるのがこの場所だ。私はそこで、新生2077列車を見送ることにした。いや、本当に新生かどうかはわからないが、とにかくこの日に2077列車を眺めるべき場所としてふさわしいように思った。 そこで東横線を代官山駅で下車し、そのポイントまで歩いた。つい先日、同じ場所で185系の回3493Mを見送ろうとしながらも、駅からのんびり歩いた所為でぎりぎりになってしまい、思うような写真を撮れなかったという反省もあって、この日は十分な余裕を持って代官山駅に着いていた。それでも私は、せかせかと目的の場所まで歩いた。 列車を見送るべき跨線橋へ着くと、階段のところに何人かカメラを持った人たちの姿があった。おや、この人たちもEF210形牽引の2077列車を見送りに来たのかなと私は勝手に思い、自分もカメラを取り出して階段に並んだ。 前走の湘南新宿ライン2650E快速を迎え、E259系の特急「成田エクスプレス」21号を見送ると、いよいよ2077列車の登場となる。 弧を描いた線路の向こうにぼんやりと霞む恵比寿駅構内に、二つの光が見えた。機関車の前照灯だ。その光は小さく、車体の上の方に付いている。これはEF210形じゃない。 今まで通りの、EF65PF形だ。 きっと昨日は、何かの都合でたまたまEF210形がその任に入ったのだろう。私は毎日この列車をチェックしているわけではないから確かなことはわからないけれども、EF210形が入ることも良くあるのかもしれない。 ともかく、ダイヤ改正で機関車が代わった、などというのは、私の思い込みであった。でも、思い込みで良かった。目の前を過ぎて行くEF65PF形を見送りながら私は、思わず「よかった」と小さくつぶやいていた。これからも、EF65PF形の牽く2077列車を目にすることができるからである。 ほっとした私は、いつものごとくコンテナ車の両数を数え上げた。この日もきっちり、20両編成であった。 考えてみると、今回のダイヤ改正に合わせてEF81形がEF510形500番台に交代したのは、それがJR東日本の車両だからであった。今回は、JR東日本の改正がメインで、JR貨物には関係がないのだと思う。だから、このタイミングでJR貨物所属の2077列車の牽引機が代わることはないだろう。 とは言え、EF65PF形も活躍の範囲が狭められていることは確かだと思う。そしてその交代の相手はEF210形に他ならない。だから、そう遠くないうちに2077列車も、EF210形になるのではないかと思っている。 そうなっても私は、2077列車を追い続けていくと思う。私にとって一番身近な貨物列車であることに変わりはないからである。ただ、EF65PF形の2077列車も、悔いの残らないようにできるだけ眺めておきたいものである。 山手貨物線2077列車 山手貨物線恵比寿駅~渋谷駅にて 2010.12.5
by railwaylife
| 2010-12-08 22:52
| 貨物列車
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Comments(2)
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HERO
at 2010-12-11 21:18
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こんばんは。
いつもの車両が、いつもの車両でなくなった… どきっとしますよね。 まして、塗装が変わったとは言え貴重な国鉄型。 とりあえずほっとしました。 わずかに残る国鉄塗装のEF65が先頭だったら、最高ですね! 貨物は、きっと3月にダイヤ改正があると思いますが、どうかEF65の姿が見られるように…願います。
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railwaylife at 2010-12-12 11:06
HERO様、おはようございます。
コメントありがとうございます。 EF65PF形が見えたときは、本当にほっとしました。 JR貨物のEF65PF形にはまだ、国鉄塗装の車両があるみたいですね。いつか、私が2077列車を見に行ったときに、その国鉄塗装のEF65PF形が現れる日が来たらいいなと思っています。 ただ、EF210形は着実に増えていっているみたいですね。せめて来年3月の改正では2077列車の牽引機が代わらないようにと、私も願っています。
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