山手貨物線の貨物列車1 2077列車

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 貨物列車、というものには、あまり興味がなかった。

 なぜならそれは、私自身が貨物列車に乗れないからではないかと思う。人間は、逆立ちしたって貨物列車では運んでもらえない。

 鉄道の魅力の一つは、自分が目にした列車に乗ってみたい、そしてどこかへ行ってしまいたいという憧れであると思う。あるいは、自分が以前に乗った列車を目にしたなら、乗車したときの思い出を振り返って、その憧れを新たにすることもできる。しかし、貨物列車ではそれができない。そういう意味で、その列車に乗れるか乗れないかは、大きな違いがあると思う。

 だから私は、今まで貨物列車を追っかけようという気があまりなかった。例えば数年前まで首都圏の貨物列車では、かつてブルートレインの牽引機として華々しく活躍していたEF65-535号機が先頭に立ったりして注目を浴びていたが、私はそれにまったく興味がなかった。私の家から比較的近い新鶴見辺りまで出向けばその機関車は頻繁に目にすることもできたわけであるが、結局EF65-535号機を見に行くことはただの一度もなかった。

 それはそれで別に後悔していないけれども、このように貨物列車には、貨車を牽く機関車に魅力があると言うことはできる。

 かつて旅客列車にも、機関車の牽引するいわゆる客車列車というものが多く存在したわけだが、今やそれは風前の灯で、定期列車ではわずかに寝台特急の一部に見られるだけである。

 それに比して貨物列車は、M250系の「スーパレールカーゴ」の数編成を除いては、すべて機関車の牽引する列車である。そしてその分、機関車のレパートリーが豊富である。国鉄時代の機関車から、JR貨物の新製した最新式まで、さまざまな形式を見ることができる。だから、機関車の魅力に触れたいと思うなら、今や貨物列車を追いかける方が良い。

 そんな魅力に私も惹かれ始めたのか、最近は貨物列車のことが結構気になるようになってきた。それはやはり、乗れるとか乗れないの問題ではなく、牽引する機関車に対する憧れではないかと思う。もはや旅客列車だけ眺めていても、機関車を目にする機会は実に少ない。

 また、貨物列車というのは、その運転経路が面白かったりする。旅客列車では考えられないようなルートを通ったりしているからだ。そんなことを調べてみても、貨物列車って奥が深いんだなあと思ったりしている。

 そんな中で、私の注目している貨物列車がある。それは私にとって、最も身近な貨物線である山手貨物線を通る列車である。旅客列車にせよ貨物列車にせよ、初めはやはり自分の日常に近いところにあるものに興味を奪われるものである。



 さて、その山手貨物線を走る列車の中でも、私が最初に興味を持ったのは、2077列車という貨物列車である。

 以前にも書いたように、山手「貨物線」というのは、もはや名ばかりであって、日中は埼京線や湘南新宿ラインの旅客列車がひしめき合っていて、貨物列車の通る余地などない。しかし、この2077列車は、昼近い午前中の山手貨物線を悠々と走り往く列車である。

 そんなふうに、山手貨物線の本来の姿を見せてくれるところが魅力でもあるが、この列車の一番の注目点は、その運転経路である。これがなかなか面白い。

 2077列車の始発駅は東京貨物ターミナル駅で、朝9時36分に発車する。一方、終着駅は隅田川貨物駅で、11時51分に到着する。どちらも都区内の駅であるが、その両駅間のルートはとんでもなく遠回りである。

 始発駅の東京貨物ターミナル駅というのは、大田区八潮にある。東京モノレールの大井競馬場前駅の近くだ。一方、終着駅の隅田川貨物駅は文字通り隅田川の近くで、足立区南千住にある。

 もし旅客がこの区間を乗車するとすれば、東京モノレールで浜松町駅に出て、山手線か京浜東北線で日暮里駅まで行き、常磐線に乗り換えて南千住駅に出るというルートになるだろう。あるいは、浜松町駅から大門駅まで歩き、都営浅草線から東銀座駅もしくは人形町駅で東京メトロ日比谷線に乗り換えて、南千住駅に出るという行き方もある。

 しかし、貨物列車である2077列車は、この区間をかなり変わったルートで結んでいる。それが注目に値する。

 9時36分に東京貨物ターミナル駅を発った列車はまず、目的地に背を向けて、南へと下る。走っているのは東海道貨物線だ。この線路は地下にもぐり、多摩川をくぐって羽田空港をかすめ、川崎の臨海地帯で地上に顔を出す。そこからゴミゴミした工業地帯を抜け、鶴見川を渡り、横浜市に至る。たどり着くのは旅客線の鶴見駅の横だ。

 ここで一旦方向転換した列車は品鶴線に入り、新鶴見信号場で小休止となる。この先は湘南新宿ラインの列車と同じルートである。武蔵小杉駅を過ぎ、多摩川を渡り、西大井駅を過ぎ、蛇窪支線という恐ろしい名の支線を通って大崎駅に出る。

 ここからは山手貨物線だ。山手線の五反田・目黒駅を横目に、恵比寿・渋谷・新宿の各駅を通過して行く。山手貨物線の旅客列車の隙間を縫って往くことになるから、ダイヤ乱れの影響を受けることもあると思う。湘南新宿ラインが通る関係から東海道本線や東北本線や高崎線が遅れると、この列車も影響を受けることになる。午前中だから、ラッシュ時の遅れの煽りも受けることもあるかもしれない。

 そういう中、都心を走る貨物列車の姿は、いかにも窮屈そうだ。私がこの2077列車を見送るのは、たいてい大崎駅から新宿駅の間くらいであるが、いつも恐る恐る走っている印象がある。

 そんな2077列車も、駒込の先でようやく山手線との併走から逃れ、田端の操車場へと入る。しかし、操車場へ進入するには、方向転換しなければならない。それで、今までの最高尾に新たな機関車がくっ付く。ここには機回しをする側線などないからだ。列車は、王子駅南側にある細い引込線に押し込められ、そこで後ろ向きに走り出す。鶴見駅に続いて、二度目の方向転換である。

 そうやってようやくの思いで田端操車場に入り、そこからさらに下町の中の狭い線路を抜け、やっと隅田川貨物駅に到着する。

 実に複雑な経路をたどっている列車だ。東京貨物ターミナル駅から品川へ抜け、東京・上野を経由して常磐線で南千住へ抜ければどんなにか楽だろうと思う。しかし、東京貨物ターミナル駅から品川まで線路がつながっているのかいないのかよくわからないし、そもそも東京駅や上野駅を貨物列車が通過することはできないだろう。やはり現状の経路を採らざるを得ない。

 それにしても、ずいぶんと時間のかかる列車だ。東京貨物ターミナル駅から隅田川貨物駅まで、2時間以上もかかっている。

 試みにこの区間を旅客が移動するとして、その最速ルートを乗換案内で検索してみると、次のような結果が出てくる。

 まず、東京貨物ターミナル駅から徒歩で大井競馬場前駅へ向かう。ヤフーの地図によれば、東京貨物ターミナル駅から大井競馬場前駅までは徒歩17分となっているから、9時36分に東京貨物ターミナル駅を発ったとして、10時01分発の区間快速浜松町行きには十分間に合うだろう。

 この列車を起点として検索すると、10時10分着の浜松町駅で10時14分発の京浜東北線北行電車赤羽行きに乗り継ぐことになる。この電車で10時31分着の日暮里駅まで行き、10時36分発の常磐線土浦行きに乗る。すると二駅目が南千住駅で、10時41分に到着する。駅の東口を降りた目の前が隅田川貨物駅であるから、11時51分着の2077列車より1時間以上も早く着くことができる。

 しかし、そんなことを競ってもまるで意味がない。鉄道の貨物輸送は、より速くということではなく、決められた時間に確実にものを運ぶということが第一の使命であると思う。この2077列車も、都区内の両駅の間を、毎日同じ時間にきちんと走り、着実に荷を運んでいるということが肝心である。

 ただ、この列車は何も、単に八潮から南千住への荷物を運んでいるわけではないと思う。推測ではあるが、おそらく東海道貨物線で西から来た貨物を東京貨物ターミナル駅で整理し、その中からさらに東北本線経由等で北へ運ぶものを隅田川貨物駅へ届けているのではないだろうか。そんな中継的な列車ではないかと思う。

 幹線の華やかな高速貨物列車とは違って、何とも地味な存在であるが、そんなところが私はまた気に入っていて、何度も見送っている。

 また、かつて寝台特急の牽引機として活躍したEF65PF形が先頭に立っているというのも、大きな魅力である。塗装も違うし、寝台特急を牽いていた機関車そのものが任に当たっているわけではないのだが、EF65PF形という形式はいつでも憧れの的である。それは、もしかしたらEF65-535号機よりも魅力的な存在であるかもしれない。

 こんなふうにして、私にとって最も身近で、最も興味のある2077列車であるが、今や旅客線としての役割が主になっている品鶴線や山手貨物線を経由する列車だけに、邪魔者扱いされないとも限らない。しかし、私としては、身近な場所を走る数少ない貨物列車の一本として、末永く走り続けてもらいたいと思っている。


山手貨物線2077列車
1枚目 山手貨物線大崎駅~恵比寿駅にて 2010.4.10
2枚目 山手貨物線恵比寿駅~渋谷駅にて 2010.6.5 
3枚目 山手貨物線恵比寿駅~渋谷駅にて 2010.6.20
4枚目 品鶴線西大井駅~武蔵小杉駅にて 2010.6.28
5枚目 山手貨物線渋谷駅~新宿駅にて 2010.7.16
6枚目 山手貨物線池袋駅~田端操車場にて 2010.8.10
7枚目 山手貨物線新宿駅にて 2010.9.6



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by railwaylife | 2010-10-29 08:12 | 貨物列車 | Comments(1)
Commented at 2018-09-04 12:01 x
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