分割

 成田空港駅から来たE259系特急「成田エクスプレス」は、東京駅の地下ホームで二つに分割される。そして、分割された片方は横浜方面へ、もう片方は新宿・池袋・大宮方面へと向かうようになっている。

 一つの列車が二つに分割されるさまを見るのは、なかなか面白いものだ。そう思って私は、この最近お気に入りのE259系の分割作業を、あるとき見に行ってみた。

 東京駅地下ホーム1番線に到着した12両編成の特急「成田エクスプレス」は、すぐに分割作業に入る。
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 分割作業といえば、黄色いヘルメットを被った係員がホームに待ち構えていて、列車が着くや否や線路へ飛び降り、分割する車両と車両の間に入って手際良く作業を進めていくというさまを思い描いていたが、この「成田エクスプレス」の分割にそんな作業員の姿はなかった。作業はすべて自動である。運転士か車掌が、乗務員室内で操作しているのであろう。

 まずは前方側の車両から伸びた幌が外れ、それが車体に吸い込まれていく。次に両方の車両の開いていた扉が、スッと閉まる。
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 あとは連結器を外すだけだ。空気が抜けていくように、つながっていた連結器が緩み、両者が完全に分かたれる。機関車や客車が装備しているような自動連結器の外れ方は、しっかりとつながれていた手がゆっくりと離れていくような印象があるが、このE259系が装備した密着連結器の外れ方は、お互いがパッと一瞬で手を離してしまうような感じである。

 この後、客車と機関車の分割だったらジャンパ栓を作業員が慌しく外すことになるが、そんな作業員はいないし、もとよりE259系ではジャンパ栓なんていうものがむき出しになっていない。だから、分割作業はこれで終わりである。何ともあっという間の出来事であり、文字通り機械的で素っ気なかった。

 そして、前方側の横浜方面行きが、慌しく発車のときを迎える。後方側の車両の前照灯にまばゆく照らされて、追い立てられるようにして出て行く。到着からここまで、時刻表上では二分間しかないことになっている。
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 次いで、後方側の新宿方面行きが出て行く。こちらも到着から四分で発車を迎えることになる。それだけ、分割作業が効率化されているということである。
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 こうして「成田エクスプレス」は、東京駅で分割されてしまうが、実際に二つの列車が別の道を行くようになるのは、品川駅を過ぎてからのことである。だから、両者が分岐して行ったという実感を、東京駅ではあまり得ることができない。二つの列車が時間差で、同じ方向に同じように同じ顔で発車して行くだけである。それもあって、E259系では、列車の分割というものをいまいち楽しむことができなかった。ちょっとがっかりである。


E259系特急「成田エクスプレス」
成田エクスプレス28号 総武本線東京駅にて 2010.8.10

by railwaylife | 2010-10-12 23:51 | E259系 | Comments(0)
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