夏曇り

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 朝から曇っていた今日の東京は、猛暑日から解放されて、30℃に達するかどうかというくらいの予報であった。出勤のために家を出てみると、確かに風はどこか涼しく、私は久しぶりに通勤の途中に歩いてみようかと思った。

 このところ、追いかける目標を見失っている所為で、通勤の途中にどこかへ寄るということが少なくなっていた。

 いや、気温の下がった今朝になって気付いたことだが、私が寄り道をしなくなったのは、単に暑さに負けていた所為ではなかったかと思った。列車を追うにせよ、花を眺めるにせよ、ぶらぶら歩くにせよ、暑くてはつらいことである。

 そんなことに思い至った私は、反省の念も込めて、歩くことを思い立ったわけである。

 白いというよりも灰色がかった空の下にある渋谷駅から、JRの線路沿いを歩いた。そこは宮下公園の緑があるので、好きな場所だ。

 だが、そんな木々の下を歩いていると、たちまちにムシムシしてきた。昨日までの酷暑で蒸された空気が、低く垂れ込めた雲に押さえつけられるかのようにして、私に襲ってきた。

 それで私は、歩き始めたことを後悔した。しかし、渋谷駅にまた戻る気もせず、予定通り原宿駅へ向かうことにした。

 原宿駅の近くまで来たところで、曇り空の下に行き交う列車を少し眺めた。白塗りの顔の215系が、いつも以上に冴えない表情で去って行った。

 蒸し暑い上にどんよりしていると、何とも嫌な気分になってくる。どうせ暑いなら、こうやって曇って中途半端な気温になるよりも、カーッと晴れて、抜けるような青い夏空なってくれる方が、どんなにか気分がいいだろうと思った。


山手線・山手貨物線渋谷駅~原宿駅にて 2010.8.19

by railwaylife | 2010-08-19 23:21 | 215系 | Comments(0)
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