あじさい列車2010 終章

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 今年の「あじさい列車」の終章に、私は間もなく去り行く車両を選んだ。寝台特急「北斗星」を牽く、EF81形電気機関車である。

 後継のEF510形500番台へのバトンタッチを目前に控え、寝台特急「北斗星」の走る東北本線沿線には、連日この列車を追おうと、かなりの人出があるようだった。私は、最後の最後になって騒いでも仕方ないかなと思って、もうEF81形牽引の「北斗星」を見に行くつもりはなかった。でも、この「あじさい列車2010」の最後を飾る列車として、ちょうど花の季節の終わりに去って行くEF81形がぴったりではないだろうかと思い付いた。

 それで、私がおそらくEF81形牽引の「北斗星」を最後に見られる日になるであろう先週土曜日に、東北本線沿線へ行ってみた。そして私は、線路際のあじさいをあっさりと発見した。私はそこで、寝台特急「北斗星」を待つことにした。

 せっかくEF81形牽引の「北斗星」を見るなら、正調の「星釜」こと赤い機関車が牽くところを見たかった。しかし、この日の牽引機は「カシオペア」専用機の「カシ釜」であることが、毎日一応「2レの釜番」をチェックしている私には、わかっていた。それでももう良かった。あじさい越しのEF81形を、私はどうしても見ておきたかった。

 この日、上り寝台特急「北斗星」は、約四十五分遅れで運転されていた。暑い中それを待っていると、やがて白と黄色の顔をした「カシ釜」が、陽炎の立ちそうな日差しの向こうから、のっそりとやって来た。それが、あじさいに近付いてきた。

 終わりかけで形も崩れたあじさいが日に照らされ、もう何の花だかもよくわからなくなっていたが、私はその向こうに「北斗星」を見た。私は確かに、あじさい越しのEF81形牽引の「北斗星」を見た。

 機関車に続き、青い客車の列が枯れあじさいの向こうを過ぎて行く。それに見とれているうちに私は、もうこの列車の機関車など、何でも良くなってきた。たとえどんな機関車が牽こうとも、私はこの青い客車に乗りたい。憧れのブルートレインに乗りたい。そう思えてきた。

 星釜でも虹釜でもカシ釜でも青釜でも茶釜でも、何でもいい。私は、この青き車体で旅がしたい。それが私の「北斗星」に対する想いである。

 そういえば、以前に「北斗星」に乗ったとき、夜明けの函館本線八雲駅で、あじさいを目にしたことがあった。そのときは八月も半ばであったから、すでに花は茶色く干からびていたけれども、きっとこの七月くらいに八雲駅を通れば、生き生きとしたあじさいが眺められるだろう。

 そんな八雲駅のあじさいを思い出した私は、ブルートレインの車窓に、あじさいの花を見てみたくなった。今年は無理かもしれないが、もし来年の初夏、ブルートレインに乗れる機会があったとしたなら、ぜひ車窓のあじさいを求めたい。そんな願いを最後に込めて、この「あじさい列車2010」の締めくくりとしたい。


寝台特急「北斗星」 東北本線尾久駅~赤羽駅にて 2010.7.10

by railwaylife | 2010-07-13 22:46 | 寝台特急 | Comments(2)
Commented by mattiew at 2010-07-14 19:43 x
こんばんは。
紫陽花ももう既に枯れかかっていますね。今年はほとんど紫陽花絡みを撮る事なく終わってしまいました。大井川鐡道沿線にも紫陽花とSLを絡めて取れるポイントがいくつもおるのですが、考える事は皆一緒でいつ行っても撮影されている方々がいらっしゃるという事なので…。

どうもここ最近はひとりのんびり撮りたいなぁというのがあります。先日行ってきた北海道も、有名なポイントへも行く事が出来たのですが、後の予定もあり駅近で一人のんびり撮影していました。

追伸・今回乗車した夜行列車のまとめたもの、また近日中にアップしますね。
Commented by railwaylife at 2010-07-14 22:25
mattiew様、コメントありがとうございます。

大井川鐡道にも、あじさいの有名なポイントがあるんですね。
あじさいとSLとは、さぞ人気が出るでしょうね。

私も、有名なポイントへいくのは気が引けます。
私の場合は、腕も機材もないので、立派な機材をもった方とご一緒するのが、申し訳ないような気がするからなのですが・・・。

今回の北海道の写真、駅近とのことですが、どこもなかなか北海道らしくていいところだなあと思いながら拝見しております。

夜行列車のアルバム、楽しみにしております!
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