上野駅地平ホームの旅立ち

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 頭端式の上野駅地平ホームには、今まで何度足を運んだことだろうか。そして私はそこで、幼い頃から、数え切れないほど多くの、北を指す列車の旅立ちを見てきた。

 まだ東京から北の方へ行ったことのない頃は、見果てぬ地を夢見て列車を見送った。歳を重ね東京から北への旅を果たした後は、その旅で心に刻まれた風景を、旅立つ列車に投影していた。この列車は、あの風景に旅立っていくんだと思うと、想いは、東北・上信越・北陸へといざなわれた。そして、ホームを離れた列車が、輻輳した分機器を越えていくとき、私の心は、確かに北に向かって旅立っていた。

 そんな私も、これまでに何度か、この地平ホームからの旅立ちを味わうことができている。

 2000年8月16日、寝台特急「あけぼの」に上野駅から乗る私は「これが幼い頃から憧れてきた旅立ちのスタイルである」と綴っている。

 翌2001年8月14日、寝台特急「北斗星小樽」で旅立つ私は、13番ホームのことを「上野駅の中で最も輝いている場所だ」と綴っている。

 さらに翌2002年8月8日、上野駅から寝台特急「はくつる」に飛び乗った私は「車窓の暗いホームがゆっくり動き出し、これで東京を離れられるのかと思うとジーンときた」と綴っている。

 いずれの旅立ちも、私には忘れられない大切な大切な思い出だ。しかし、こういう旅立ちを、いつまで味わえるかは、わからない。今わずかに生き残っている上野発の夜行列車も、先行きは長くないだろう。もう一度あの旅立ちを、と思っても、それができなくなっているかもしれない。

 だから私は、まさに今日、その上野駅地平ホームの旅立ちを味わうことにした。お金と時間の問題で、寝台特急への乗車とはいかなかったものの、この上野駅地平ホームから北を指す列車には変わりない。私はその旅立ちに、幼い頃からの万感の想いを込める。憧れた旅立ちを、この場所で迎える。


(上野駅16・17番ホームにて執筆)

by railwaylife | 2010-07-10 23:19 | | Comments(0)
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