二番目の河

二番目の河_f0113552_8524573.jpg

 かつての「水の都」とも呼ばれた江戸には、その市中に縦横無尽に水面が張り巡らされていたけれども、現代の東京ではそのほとんどが埋め立てられ、都会の水面はわずかなものとなってしまっている。

 例えば、東京駅から東海道本線で下ると、東京都を出るまでに越える水面は、浜松町-田町間の古川、品川-大井町間の目黒川、大森-蒲田間の内川と呑川、そして神奈川県との県境でもある多摩川くらいなものである。

 それらの水面のうち、東京駅から数えて二番目にあたる目黒川を、毎朝7時きっかりに、上り寝台特急「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」が越えてゆく。

 始発駅の出雲市駅から、高松駅から、この列車は、いくつの水面を越えてきたことであろうか。高松発の「サンライズ瀬戸」に至っては、あの瀬戸内海という水面さえ越えてきている。そして、岡山駅で両者が合流した後も、幾多の水面を越えてきたはずだ。揖保川、加古川、淀川、鴨川、揖斐川、長良川、木曽川、天竜川、大井川、安倍川、富士川、多摩川と、大きな河の名がいくつも思い浮かぶ。

 いや、そういう名の知れた水面ばかりではない。名も知らぬ二級河川、名前さえない小さな農業水路など、挙げればきりがない。その数を、車窓から数え上げることは、とても難しい。

 しかし、確かなのは、この目黒川を越えてゆくサンライズが、終着の東京駅までに越えるべき水面は、あと一つであるということだ。

 終着まで、駆け抜けろ、サンライズ!


寝台特急「サンライズ出雲」「サンライズ゙瀬戸」
東海道本線品川駅~大井町駅にて 2010.7.9

by railwaylife | 2010-07-09 08:55 | 寝台特急 | Comments(0)
<< 食パン電車 デカメロン >>