夕霞

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 夏至まで一ヵ月を切り、最近はだいぶ日が伸びてきた。この時期は、頑張って仕事を早く切り上げれば、平日でも夕暮れを目の当たりにすることができる。

 今日の日の入りは、18時47分だという。あの、東京発18時03分の寝台特急「富士」「はやぶさ」に乗ったとしても、暮れていくさまを十分に楽しめた季節である。しかし、なぜ私は日の長い時期に「富士」「はやぶさ」に乗っておかなかったのかと、未だに心残りがある。

 そんな想いを胸に、今日は夕暮れの列車を見送ることにした。お目当ては、新宿18時36分着の特急「あずさ」26号である。私が出迎えることにした東中野より292.7km、はるか南小谷から大糸線・篠ノ井線・中央本線を通ってやって来る列車だ。

 ところが特急「あずさ」26号は、新宿到着時刻の18時36分を過ぎてもやって来なかった。この列車を撮ろうと思っていた私は、やきもきしてきた。夕暮れ時は、刻一刻と空の色が変わり、どんどんと明るさが失われていく。ISO感度の低い、今日の手持ちのカメラでは、うまく捉えられるかどうか、不安であった。

 18時40分頃、列車は低速で悠々と現れた。高尾からの快速線の区間で先行列車に阻まれて遅れたのか、それとも山岳区間を行くうちから遅れていたのかわからないが、長距離列車ならではのことである。そんな列車を、ボロいカメラでどうにか捉えた後、足元をすり抜けていく列車からの風に、私は北アルプスの空気を勝手に感じていた。

特急「あずさ」26号 中央本線東中野駅~中野駅にて 2010.5.25



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by railwaylife | 2010-05-25 23:08 | 中央本線 | Comments(2)
Commented by やままさ鉄 at 2010-05-26 22:22 x
今晩は。雨はいかがですか。。
あずさで行く初夏の信州・・心が躍りますね。
車内でおいしいワインを飲めば、言う事無し・・でしょう。
実は、総武快速のグリーン車の車内販売では、甲州ワインを扱ってます。小さなカップは少々無粋ですが、それでもいい雰囲気が味わえます。

railwaylife様にとってのあずさは、私だと、毎朝、錦糸町ですれ違うしおさい1号・・でしょうか。
でも残念ながら、ビューの車内は千葉までのビジネスマンが一杯のようです。
ちょっと目をつぶって、ミュージックホーンに耳を澄ませば、遠く、九十九里や犬吠崎が見えてきます。
ときどき千葉駅で、万葉軒の駅弁を買いますが、やはり車内で味わいたいですね。
Commented by railwaylife at 2010-05-26 23:53
やままさ鉄様、ありがとうございます。雨は思ったほど降りませんでした。

甲州ワイン、いいですね。特急「あずさ」の車内で飲めたらぴったりですね。もちろん、総武快速線のグリーン車で味わうのも格別でしょう。

通勤の途中で見る「遠くに行く列車」には、特別な感慨があると思います。自分はこれから日常を生きなければならないのに、目の前のあの列車は遠くへ行ってしまう。そのギャップから、余計に「旅心」を感じるのだと思います。

特急「しおさい」も憧れます。銚子という行先も惹かれますね。

そして私も、特急列車で駅弁を食べるというささやかな「贅沢」に、いつもいつも憧れています。
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