関門間の機関車

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 門司港で九州鉄道記念館へ行くために駅から歩いていたとき、駅の側線の隅に二両の電気機関車を見かけた。よく見ると、ナンバープレートのところにガムテープのようなものが貼られ、いかにも寂しげな表情をしていた。

 この機関車には見覚えがある。下関-門司間で最後まで寝台特急「富士」「はやぶさ」を牽引していた、EF81-410号機と411号機ではないかと思う。ブルートレインを本州から九州へ、九州から本州へと受け渡していた、重要な存在である。

 だが、寝台特急が廃止になり、職を失ってしまったのだろう。すでにナンバープレートがないということは、もう本線上を走ることもないのかもしれない。

 同じ九州寝台特急の牽引機でも、九州内を担当していたED76はまだまだ現役であり、リバイバル列車となったブルートレインの青き客車を牽いたりしている。今度はついに肥薩おれんじ鉄道も走るようである。それに比べて、このEF81の姿は無残なものだ。

 関門間の牽引機だった二両がこのようなありさまだということは、九州内でまだまだ動いているブルートレインが、関門トンネルを越えて本州へやって来ることはもうないんだろうなと思った。それで何となく寂しい気持ちになったし、このEF81二両の行く末も思いやられた。

 そんなEF81の姿が東京へ帰ってからも心に残っていたが、何日か前に鉄道ニュースのサイトで、ある機関車が検査を終えて工場から出場したというニュースを目にした。ピカピカになったその機関車の写真を目にしたとき、私は「これだ!」と思った。これなら、ブルートレインを牽いて関門トンネルを越えられるぞと嬉しくなった。

 その機関車とは、EF81-303号機である。関門トンネル用に製造された、銀色の機関車である。この機関車もかつては関門間でブルートレインを牽引していたはずである。

 しかし、このEF81-303号機は現在、JR貨物の所属である。JR貨物の機関車が、JR九州のリバイバル列車を牽くというのは、実際のところ難しいことであろう。

 それでも私は、銀色の機関車EF81-303号機が、ヘッドマークを燦然と輝かせて、青き客車を連ねながら下関駅へ滑り込んでくるさまを思い浮かべていた。それが幼い頃に憧れた、関門間の光景だからである。


EF81-410・411号機 鹿児島本線門司港駅にて 2010.2.12 (敷地外から撮影)



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by railwaylife | 2010-02-20 22:16 | 寝台特急 | Comments(0)
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