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レィルウェイライフ
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日の入り前の旅立ち
東京駅や上野駅から、寝台特急で日の入り前に旅立つのが好きだった。かつての東京発16時56分の寝台特急「富士」や、上野発16時50分の寝台特急「北斗星」1号などでそれができた。
まだ明るいうちに始発駅を発ち、寝台特急の車窓から日が暮れていくのを目の当たりにすることになる。茜色に染まった空が、次第に藍色に呑み込まれていき、やがて紺色から黒一色に変わる。そうやって、一晩中付き合うことになる闇の車窓が創られていくさまを見ることで、暗い車窓風景がより一層味わい深いものとなる。だから、暮れていく空を見ることが、寝台特急の旅における最初の楽しみであるとも言える。
しかし、いまや首都圏発の寝台特急で日の暮れていくさまを見ようと思ったら、上野発16時20分の「カシオペア」に乗るしかない。それ以外の列車は、いずれも日が暮れてからの発車である。日の入り後に旅立つ寝台特急に乗って、いきなり闇の車窓が始まってしまうと、何だかもったいないような気がするものである。
だったら「カシオペア」に乗れば良いという話になるかもしれないが、豪華寝台特急「カシオペア」は高嶺の花である。簡単に乗れるものではない。
私が寝台特急に憧れていることを知っている妻がよく「宝くじに当たったらカシオペアに乗ってもいいよ」という話をする。もし宝くじに当たって大金を手にしたなら、ぜひ「カシオペアスイート」の展望室に乗ってみたいものだ。だが、この部屋の指定券を入手するのもまた非常に困難なことであり、運も必要だ。宝くじに当たって、その上「カシオペアスイート」の展望室の指定券を手にするなど、どれだけ運が必要になるのかと思ってしまう。
さて、そんな想いのある寝台特急「カシオペア」であるが、今日久しぶりに何となく上野駅へ「カシオペア」旅立ちの風景を眺めに行ってみた。どうしても「カシオペア」が見たかったというわけではなく、買い物のついでにちょっと寄ってみただけである。
上野駅の寝台特急「カシオペア」は、入線時刻から発車時刻までの時間が長く、じっくりと旅立ちのさまを眺めることができる。すでに登場から十年余りを経た銀色の車体には、風格すら出てきた。
だが、実際に「カシオペア」を眺めてみても、この列車に乗りたい!という強い想いがわいてこない。ブルートレインを見たときのような、その列車にいざなわれる感覚がない。同じ憧れの寝台特急なのに、不思議なものだ。やはり寝台特急は、幼い頃から見慣れてきた「青」でないと駄目なのだろうか。
だが、そんなことも言っていられない時代がすぐにやって来るかもしれない。老朽化したブルートレインは、もうあまり先が長そうにない。だから、そのうちに首都圏から発車する寝台特急は「カシオペア」しかないなどという状況になることも考えられる。そうなったら、この「カシオペア」に、寝台特急への想いを込めるしかない。
とはいえ、今はまだやはりブルートレインにひたすら憧れている。日の暮れ行くさまが見られないとしても、今あるブルートレインに乗っておきたいと思う。だから、寝台特急「カシオペア」に乗って、暮れていく空を楽しむのは、もう少し先のことになりそうである。
寝台特急「カシオペア」 東北本線上野駅にて 2010.1.10
by
railwaylife
|
2010-01-10 23:57
|
寝台特急
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日々の鉄道への「想い」を書き綴る日記
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