サンライズがある

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 子供の頃、眠れぬ夜は東京発のブルートレインの名を数え上げた。「はやぶさ」に「さくら」に「富士」に「みずほ」に「あさかぜ」に「出雲」に「紀伊」に「瀬戸」と名を挙げる。それらの列車が今も走っているんだと思うと心強く感じて、安心して眠りに就いたものである。

 その東京発のブルートレインは、もうなくなった。東京から西へ、ブルートレインで旅立つことは、もうできない。東京からブルートレインの走らない夜の闇は、空虚である。

 だが、東京から西へ、寝台特急で旅立つことはまだできる。電車寝台特急「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」があるからだ。この列車で、東京から夜の闇へ旅立てば、ブルートレインと同じ旅路をたどることができる。そしてその車窓に、ブルートレインの残影を味わうことができるだろう。そう思うと頼もしい。

 九州へ行くにも、この列車を岡山まで使えばよい。岡山からは新幹線を使うことになり、旅の醍醐味はだいぶ減るけれど、一夜を列車で明かして九州へ向かうというシチュエーションは保たれる。

 だから、これからは寝台特急「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」に、旅への想いを馳せようと思う。いつか東京から「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」で旅立つ日を夢見て、生きていきたい。


寝台特急「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」 東海道本線東京駅にて
2000.4.8


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by railwaylife | 2009-03-16 23:08 | 寝台特急 | Comments(0)
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