鳥海!あさかぜ!

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 列車で何処か遠くへ行きたいと想っても叶わぬときは、遠くへ行く列車か遠くから来る列車を眺めに行く。今日は久しぶりに上野駅へ寝台特急「北斗星」の到着を眺めに行った。

 11時19分、13番ホームに札幌からの「北斗星」4号が到着した。機関車を眺めた後、青い車体に吸い寄せられるようにして後方の客車へ向かった。電源車に続く11号車を眺める。ふと方向幕を見ると、少しおかしい。
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 上野という行き先は合っているが、特急の名前が「鳥海」になっている。これは昔あった寝台特急だ。嬉々としてくる。経由が「上越・羽越 奥羽線経由」と記載されているのも良い。今の寝台特急「あけぼの」と同じルートである。かつて、上野から秋田方面への寝台特急が一本に統合されるときに「鳥海」が「あけぼの」になったという歴史がある。きっと「あけぼの」が寝台特急として由緒ある愛称だから残されたのだろうが、経由地を考えると鳥海山の名を採った「鳥海」の方がしっくり来るように思う。また、特急列車として勇ましい気がする。

 そんな感慨にふけりながら10号車へ向かうと、この車両の方向幕は正しく「特急北斗星 上野」となっていた。しかし、次の9号車に来てまた驚いた。
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 今度は特急の名前はおろか、行き先も違っていた。方向幕の表示は「特急あさかぜ 東京」である。この「あさかぜ」も今は亡き寝台特急であるが、私が幼い頃から最も気に入っていた寝台特急である。方向幕が正しく表示されていないことを喜んではいけないのだろうが、私はただ嬉しくて言葉も見つからなかった。

 東京から下関・博多を結んでいた「あさかぜ」にはかつて、この「北斗星」ほどではないにせよ、豪華な個室寝台客車や食堂車が連結されていた。この方向幕は、それを彷彿とさせてくれるものであった。いや、寝台特急「あさかぜ」もこの「北斗星」くらい豪華な編成であってほしかった、と私は思った。


 お昼を過ぎてから、上野駅には「夢空間・北斗星トレインクルーズ」の列車が到着した。JR東日本発足20周年を記念して企画された、豪華なツアーに使用されている列車である。これに連結されている特別車両「夢空間」には超豪華な個室や食堂がある。内装は有名百貨店が担当したものだという。
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 もう二十年近く前、この「夢空間」がデビューしたときには、いずれ九州行きの寝台特急にもこれくらい豪華な車両が連結されるのだろうな、と私はひそかに期待していた。当時は特急列車に「スーパー」を冠するのがはやっていたから、きっと「スーバーあさかぜ」なんていうのもできるかもしれないと思っていた。しかしその後、編成が豪華になることもなく、寝台特急「あさかぜ」は廃止となってしまった。文字通り「夢」であった。

 この「夢空間」の設備は、現在の寝台特急「カシオペア」に受け継がれているというが、どうも「カシオペア」にはさほど興味が湧かない。やはり、青くないせいだろうか。

寝台特急「北斗星」「夢空間北斗星」 東北本線上野駅にて 2007.10.9



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by railwaylife | 2007-10-09 22:39 | 寝台特急 | Comments(0)
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