駿河路の春

 私がブログを始めたきっかけの一つに、今から十一年前の出来事がある。

 十一年前の2006年春、寝台特急「出雲」が廃止されることとなった。それにより、東海道本線に残るブルートレインは「富士」「はやぶさ」の一本のみとなってしまった。

 幼い頃から東海道本線のブルートレインに強い憧れを抱いてきた私にとっては、残りが一本になるということが何とも寂しく、心細いものに感じられた。それで、余計に「富士」「はやぶさ」への思い入れが強くなり、乗りたいなあという気持ちもどんどん膨らんでいった。

 でも、仕事がちょうど忙しい時期で、それはなかなか叶いそうになかった。そこで、インターネット上にあるブルートレインの写真を探し、眺めたりしていた。

 そのとき行き当ったのが、寝台特急「富士」「はやぶさ」の写真を中心に扱っているいくつものブログであった。それらを見て、こんなにもたくさんの人がこの列車に強い想いを持っているのかと思うと、熱いものが込み上げてきた。

 そのとき見始めたいくつかのブログは今でもずっとチェックしていて、記事の更新を楽しみにしている。

 さて、そうやって多くのブログを眺めたことが、自分でもブログを始めようと思うきっかけになったことは確かである。私がこのブログを始めたのは、その数ヵ月後のことであった。

 ところで、私が見つけた「富士」「はやぶさ」を追いかけているブログには、神奈川県から静岡県あたりをホームグラウンドとして撮影している人が多かった。と言うのも、上りの「富士」「はやぶさ」がそのあたりを通るのが夜が明けてからの時間帯で、撮影をするにはちょうど良かったのだと思う。

 それで、神奈川県から静岡県にかけての東海道本線の沿線風景を、ブログでいろいろと目にすることとなった。

 神奈川県下の風景は、自分でも訪れたことがあり見知ったものが多かったが、静岡県下の風景は、あまりよく知らない場所のものも多かった。それで、こんな場所があるんだと初めて知るところもあった。そして、そういう場所にいずれ行ってみたいなあと思うようにもなった。それは、後に「富士」「はやぶさ」が廃止になってからもずっと思い続けていたことであった。

 そんな場所の一つに、三年前の春の訪れることができた。

 東海道本線の静岡駅の四つ手前、興津駅から程近い清見寺踏切というところである。

 季節的にはちょうど今頃のことだったので、そのとき見た風景を、これから続けていくつか載せていこうかと思っている。
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by railwaylife | 2017-03-16 23:00 | | Comments(0)
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