夕暮れ時、自由が丘の街から帰宅する途中、東横線の線路沿いに出た。
まさに日没時刻であったそのとき、線路の向こうの空が、紅く染まっていた。
踏切の警報機が鳴り出した。私は、この黄昏の風景の中に、9000系がやって来ないかと期待した。それで、カメラを構えてみた。
自由が丘の駅構内から、電車が動き出すのが見えた。その前照灯は、鋭く白く輝くものであった。
やって来たのは5050系である。
がっかりした想いはあったが、それでも私は、その5050系に見とれていた。 ピリッと冷たい大気が闇に滲んでいく冬の黄昏時の風景が、愛想のない5050系が往く姿さえも、幻想的なものにさせていたからである。
東急5050系電車 東急東横線都立大学駅~自由が丘駅にて 2010.12.18