あじさい列車2010 第4章

 今週の月曜日に東京も梅雨入りした。欝陶しい季節が始まったが、いよいよ「あじさい列車」も本番かと思うと、いくらか楽しみも出てきた。

 それで梅雨入り発表の翌日、さっそく通勤途中に井の頭線の「あじさい列車」を眺めに行った。

 ただ、この日は早くも梅雨の中休みで、朝から日差しがあった。それでもその光は弱く、あじさいを「くたっ」とさせるほどではないように思えた。だから、渋谷駅に着いた私の足は、いつも向かうJRの改札を通り過ぎ、まっすぐに井の頭線の乗り場を指していた。

 電車に乗り込んで、例のごとく先頭車両の運転台後ろに陣取り、沿線のあじさいの咲き具合をチェックする態勢に入る。車窓を見るならドア際でも良いのだが、それだと片側しかチェックできない。でも、前面展望からなら線路の両側をチェックできる。

 この日の車内は、下りなのにけっこう混んでいるなと思っていたが、先頭車両の乗客は、私以外全員が駒場東大前駅で降りてしまった。私は車内にたった一人残されてしまったが、それが何だかひどくおかしかった。

 さて、車窓のあじさいであるが、すっかり色付いて、もう見頃と言って良いかなと思った。そんな色とりどりの花が、鈍い朝日に照らされて、鮮やかに輝く。私は日差しの下のあじさいもなかなかいいものだなと思った。

 そんなあじさいをゆっくり眺めるべく、どこか途中で電車を降りようと思っていた。沿線のあじさいの「名所」は迷うほどあるが、私は思い付きで下北沢駅で下車し、新代田駅に向かって歩き始めた。その途中の踏切が「名所」の一つであり、そこで「あじさい列車」を迎えた。
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 この踏切は、ゆっくりと「あじさい列車」を眺めることができる。小さな踏切なので通行量が少ない。また、上り電車は下北沢駅に向けて減速して行くので、じっくりとあじさい越しの電車を見ることもできる。それが良いところだ。

 そんな「名所」で、次々とやって来る「あじさい列車」を何本も見送ったが、何となくこの場所だけでは飽き足らず、私は次の新代田駅のさらに向こうへと行ってみた。

 環七通りを渡ったそこはそこでまた「名所」である。切り通しを行く線路の両側に、無数のあじさいが散らばっているからである。そんなこの場所は、線路沿いの道から、あじさい越しの電車を見下ろすようになる。これもなかなかの眺めだ。
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 切り通しのあじさいは、次の東松原駅にかけてずっと続いている。私はその花に誘われて、ついつい東松原駅まで歩いてしまった。そして最後に、踏切越しの「あじさい列車」を見送って、この日の締めとした。
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 短い時間にずいぶんとたくさんの「あじさい列車」を堪能できたが、井の頭線沿いの「名所」はまだまだこんなものではない。東松原駅から先、吉祥寺駅までの間にも、あちこちに見所はある。そんな場所を、また電車の前面展望から眺めているだけでも嬉しいし、次はどこで下車してみようかと考えるのも楽しみである。


1・2枚目 京王井の頭線下北沢駅~新代田駅にて 2010.6.15
3~6枚目 京王井の頭線新代田駅~東松原駅にて 2010.6.15



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by railwaylife | 2010-06-18 23:52 | 京王井の頭線 | Comments(0)
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