カシオペアの夢

 連休最終日の5月5日は、東京の北にある王子へ妻と二人で出かけた。

 妻がこの連休にツツジを見たいと言っていたので、都内のツツジの名所を探していたところ、どうやら王子の飛鳥山公園がツツジの名所らしいということを知り、出かけたものである。また、王子には妻が行ってみたいというお店もあったので、合わせてそこにも出かけることにした。

 この日、昼過ぎに王子駅に降り立つと、よく晴れてだいぶ気温が上がっていた。それで、暑い中を飛鳥山の「山」に登るのは何となく億劫になって、私たちは明治通りを挟んで反対側の音無親水公園へ行ってしまった。水辺と木陰のあるこちらの公園の方が、その天気ではずっと魅力的であった。それでも一応、明治通りの都電越しに飛鳥山公園のツツジは見ておいた。
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 親水公園で涼んだ後に、妻のお目当てのお店を訪れ、それからまた王子駅へ戻ってきた。

 暑い中少し歩いて喉が渇いたので、駅近くのオープンカフェに入った。そこで注文したものを待つ間、妻がバッグからおもむろにあるパンフレットを取り出した。王子駅の改札近くでもらっていた寝台特急「カシオペア」の案内である。

 私の影響かもしれないが、どうやら妻は寝台特急「カシオペア」に乗りたがっているようである。特に、パンフレットの「カシオペアスイート」のところを熱心に見ていた。

 ただ、料金表を見てみると「カシオペアスイート」は上野~札幌間で片道一人約45,000円となっていた。乗車券、特急券、寝台券を含めての値段である。

 妻は「往復で20万かぁ」と嘆息をもらした。片道でも乗れれば御の字と思っていた私は「えっ?」と思ったが、北海道まで寝台特急「カシオペア」で往復するのも悪くないなと夢は膨らんだ。だが、妻はすぐに「やっぱり片道は飛行機ね」と言った。もちろん、航空券の方が「カシオペア」よりはるかに安い。まあ、それにしても、北海道への「カシオペア」の旅は高嶺の花であり、夢のまた夢だ。

 せめて、そんな夢の列車が北へ旅立つところを見届けようと私は思い立った。上野発札幌行きの寝台特急「カシオペア」は、ちょうどこの王子駅を16時30分頃に通過するはずである。

 そこで私たちは、駅近くの北とぴあ展望ロビーに上った。17階にあるこの展望ロビーからは、眼下に東北本線、京浜東北線、東北新幹線を眺めることができる。鉄道ファン垂涎の場所でもある。私も前から一度来てみたいと思っていたので、展望ロビーに着くとすっかり行き交う列車に釘付けとなった。
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 展望ロビーには南ロビー・東ロビー・北ロビーとあり、線路が見えるのは南ロビーと北ロビーである。そのうち南ロビーからは、新緑の飛鳥山公園脇を列車が駆け抜けて行く様子を眺められるが、私はあえて北ロビーから寝台特急「カシオペア」を見送ることにした。この列車が北を指して行くさまを見届けたかったからだ。

 16時28分、寝台特急「カシオペア」は北とぴあの脇を通過して行った。私が行き交う列車に夢中になっている間にすっかり退屈していた妻を呼び、二人で「カシオペア」を見送った。
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 このときに限って京浜東北線の電車や新幹線の列車が重なって、何だかごちゃごちゃしてしまったが、とにかく銀色の車体に、北への想いを込めた。そして、きっとこの列車の車窓には、まだ桜の花も映るんだろうなと思いながら、去って行く列車を見送った。


1枚目 都電荒川線王子駅前停留場~飛鳥山停留場にて 2010.5.5
2枚目 東北本線尾久駅~赤羽駅にて 2010.5.5
3枚目 東北新幹線上野駅~大宮駅にて 2010.5.5
4枚目 東北新幹線上野駅~大宮駅にて 2010.5.5
5枚目 東北新幹線上野駅~大宮駅にて 2010.5.5
6枚目 東北本線尾久駅~赤羽駅にて 2010.5.5



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by railwaylife | 2010-05-07 23:38 | 寝台特急 | Comments(2)
Commented by やままさ鉄 at 2010-05-08 06:43 x
サイフの件、ご心配をかけてすみません。。
いくつになっても、注意が足りなくて情けなくなります。
新品の定期券・・久々に見ました。

カシオペアの長編成を見ると、やはり特急列車はいいなぁと思います。
九州ブルトレ、電源車を入れると15両とかだったこともあるんですよね。
さすがにナロネ20は、一度見ただけだし、ナロ20は記憶にありませんが。

知り合いがこの5月に、夫婦でカシオペアに乗ることになりました。
どうしても上野から・・が希望のようでしたが、私のアドバイスで、上りにしたとか。
それでも、北の旅は上野から~にこだわり、はやて+白鳥+スーパー北斗を利用すると。
羨ましい限りです。。

私も来年は50歳。いよいよ大人(の休日倶楽部?)の仲間入りです。
まずは、ツーデーパスを割引で購入して、関東の未乗車路線つぶしがしたいかなって。
Commented by railwaylife at 2010-05-08 18:59
やままさ鉄様、今や「カシオペア」の12両編成も、客車列車としては貴重な長大編成ですね。

西鹿児島まで行っていた「はやぶさ」が15両編成だったでしょうか。今思えばなんと長い編成だったのかと思います。

お知り合いの方の北海道への旅、羨ましいです。上野からの旅立ちにこだわるお気持ちはわかります。素敵な旅になると良いですね。
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